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パリは気候変動対策としてSUVsの駐車料金を3倍にすることを検討

case|事例

パリ市はSUVsの路上駐車の料金を現状の3倍に値上げすることを検討している。値上げによってパリ市内へのSUVs車両の流入を抑制することで排気ガスの排出軽減や大気汚染の改善を期待している。パリ市のイダルゴ市長は「SUVsの駐車料金の値上げは社会正義のひとつの形態だ。」とコメントしている。SUVsは他の車種より約6,000ユーロ(約100万円)効果で、富裕層が所有する傾向にある。今回の施策は、SUVsで日ごろからパリ市内に乗り入れている気候変動に対して行動変容を起こそうとしていない富裕層をターゲットとする。大幅な値上げによって富裕層の公共交通機関への利用転換を促す

正式な値上げの実施可否は2月4日の住民投票によって決定される。市民投票による政策決定は、今年のはじめに実施された電動キックボードのシェアリングの禁止に関するもの以来となる。

仮に値上げが可決された場合、路上駐車の料金は、対象となるSUVsもしくは四駆車で、都心部が1時間18ユーロ(約2,800円)、都心部以外が12ユーロ(約1,900円)となる。対象となる車種は車両重量で決定され、ガソリン車もしくはハイブリッド車は1.6トン以上の車両が、電気自動車は2トン以上の車両が対象となる。なお、パリ在住者の駐車場には値上げは適用されない。

路上駐車料金の値上げによって、年間3,500万ユーロ(約55億円)の増収が期待され、それは気候変動対策や交通安全対策、大気汚染改善などの財源に充てられる予定。リヨンも2024年から同様の施策導入を検討している。

insight|知見

  • 12月の週末は天神も博多も自動車の交通量が増えています。天神の都心部では昼前から満車状態になりますが、駐車場の待ち行列が一般道路まで伸びて渋滞の原因となっています。そのうちのいくつかの駐車場では警備員が立っていますが、他の駐車場を案内したり一般道での入庫待ちに対して注意するような光景は残念ながら見られません。

  • この渋滞によって発生する社会的なコストは誰が負担するのだろうかと思いますが、善意ベースの取り組みで渋滞緩和や混雑緩和は進まないのではないかと考えてしまいます。

  • そう考えると、啓発や微々たるインセンティブでは行動変容は期待できず、パリのような一見過剰かと思うようなディスインセンティブが効果的なようにも思えます。

  • 天神都心部の警固公園の地下駐車場が廃止されるようですが、聞く限り政策的な廃止ではないようなので、無策ならばうろつき交通などによる混雑悪化が懸念されます。配置や供給容量を含む都心部の駐車場のあり方を再考するタイミングなように思います。