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パリのZTL(交通制限区域)は五輪後も都心から自動車を排除する予定

case | 事例

パリは2024年のオリンピック・パラリンピックをきっかけに、公共交通を促進し、自転車を含むアクティブ交通を推奨し、公害や騒音を減らすことを目的とした交通制限区域(ZTL)を市中心部に導入する予定である。このZTLは、マドリード、ミラノ、ローマなどの都市に倣い、指定エリアの通過交通を制限するものだ。警察との協力のもとパリに計画されているZTLは、1~4区を含むパリ中心部をカバーしている。また、対象区域の拡大も警察本部や国と協議中である。

2024年秋に実施予定のZTLについて、パリ市ウェブサイトのプロジェクト概要によると、その目的は以下の通り:
1. 自動車交通量を減らし、交通の安全を高める。
2. 大気汚染と騒音レベルを下げる。
3. 歩行者、公共交通機関、自転車の移動を促進するため、公共空間のバランスを調整する。
4. 居住者、観光客、交通弱者など、エリア内の利用者をサポートする。
5. 生活環境を改善し、パリの歴史的遺産を保存する。

ZTLは、居住者、勤務者、配達員、その他様々な利用者のアクセスを可能にする目的地移動を許可するが、停車せずに区域内を横断する通過交通は禁止される。また、優先車両、公共交通機関、タクシー、「モビリティ・インクルージョン」カードまたは身体障害者用駐車カードを提示した車両は例外となる。パリ市は、欧州都市の動きやEUの勧告に沿う形で、より持続可能で歩行者に優しい中心市街地を作ることを目指しており、五輪後もZTLはパリ中心部の生活の質に永続的な影響を残し、より緑豊かで活気のある都市景観を育む取り組みになることが期待されている。

insight | 知見

  • 大型イベントの開催は賛否両論あるので、パリ五輪の開催に反対する声はきっとフランスにも多いのだと思います。だからこそ、イベント開催に伴う経済効果や、イベント後の都市のよりよい変貌を説明し、維持・検証していくことが重要になっているのだと思います。

  • 日本は大阪万博が2025年に控えており、これまた賛否両論飛び交っていますが、開催会場跡地のレガシーをどう残すかという議論以上に、開催に際して良い方向に変わった都市をどのように未来に制度として残していくのか、という議論が大事なのではないでしょうか。