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世界の都市・地域の最新事例を紹介するマガジンです(平日毎日更新)。 「case」では海外記事を抄訳して海外の都市計画関連の最新事例を紹介しています。「insight」では海外の最…
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#制度設計

NZウェリントンは契約違反により電動キックボード事業者のライセンスを剥奪

case|事例 ニュージーランドの首都ウェリントン市は、契約違反があったとして電動キックボードのシェアサービスを手掛けるBeam社のライセンスを剥奪した。内部告発によって情報が寄せられ、調査の結果、契約で定められた配備台数の上限を超過していることが明らかとなった。2023年7月26日から2024年6月21日までの間に1日平均100台の上限超過があった。ウェリントン市は信頼を損なう重大な違反であるとして、8月30日にライセンスを停止し9月1日に配備されている車両を撤去したのち

Beam社は豪ビクトリア州でAIを用いた電動キックボードの歩道走行検知技術を実証

case|事例 電動キックボードのシェアサービスを手掛けるBeam社は、オーストラリアのビクトリア州メルトン市でAIを用いた歩道走行検知技術の実証を9月1日から開始した。この実証はDrover AI社との協働で、利用者のコンプライアンスと安全性の向上を目的としている。また実証結果は、市議会および政策立案者と共有され、インフラの改善や安全対策に活かされる。各自治体の規制が異なるオーストラリアで、今後の政策や規制の策定に影響を与える実証になると期待が寄せられている。 AIを用

マドリードは違法駐輪と安全性への懸念から電動キックボードのシェアサービスを禁止

case|事例 マドリード市議会は、市内で電動キックボードのシェアサービスを運営する3社が、入札時に定めた駐車管理とデータ共有の要件を満たしていないとし、電動キックボードのシェアサービスを禁止することを決定した。市長は、今回の決定について、「市場に任せたままで安全性を確保することができないと判断した。」とコメントしている。 市議会の決定を受けて、Lime、Dott、Tierの3社は、20日以内に控訴を申し立てることが可能だが、控訴をしなければ10月にライセンスが取り消され

英国政府がドローンの目視外飛行の実証を開始

case|事例 英国民間航空局(Civil Aviation Authority :CAA)がドローンの目視外飛行の実証を許可した。この実証には6つの組織が参加し、洋上風力発電所の検査や航空交通管制、警備、緊急医療物資の配送などに焦点を当て、管理された環境における機体のナビゲーションや他の機体の検出などの技術検証が行われる。その後、検証結果を受けてドローン技術の広範な利用に向けた規制の決定が行われる。CAAの担当者は、この実証ではイノベーションの促進と航空分野の安全性および

メルボルン市は電動キックボードのシェアサービスを廃止

case|事例 メルボルン市は、安全面の理由から電動キックボードのシェアサービスを禁止することを決定した。2022年に電動キックボードのシェアサービスを導入以降、人気が高まり、利用は着実に増えている一方で、歩道走行や二人乗り、ヘルメットを着用しない利用、飲酒運転など違反利用が後を絶たず、市民から不満が寄せられていた。 メルボルン市は、2022年にビクトリア州政府の実証スキームに参加し、Newron社とLime社と協働で2年にわたって事業を運営してきた。この間、サービスを提

バンクーバーはLimeを電動キックボードシェアのパートナーに選定

case|事例 バンクーバー市は電動キックボードのシェアサービス導入において、Limeをそのパートナーに選定した。バンクーバー市は2023年11月に公開された提案依頼書(RFP:Request for Proposals)に則って審査を行いLimeを選定した。Limeはバンクーバー市内でサービス提供を行う唯一の企業となる。シェアサービスは今夏から開始される予定。 バンクーバー市とLimeの契約期間は5年間で、その後は5年単位で最大3回の契約延長が可能なオプションが設定され

バンクーバーは市内全域ですべての用途に対して駐車場附置義務を撤廃

case|事例 バンクーバー市議会は、市内全域のすべての用途の開発を対象に、附置義務駐車場の最低整備台数要件を撤廃することを決定した。現在、バンクーバーでは、都心部とブロードウェイ・プラン・エリア以外で新規開発時に駐車場の最低整備台数が定められており、開発者にその整備義務が課されている。最低駐車台数は、住宅の戸数や各用途の床面積に応じて、定められた原単位に基づいて算出される。 今回の附置義務制度の改正は、ブリティッシュ・コロンビア州政府が小規模住宅開発と公共交通指向型エリ

バルセロナは観光向けの短期住宅賃貸を市内全域で禁止

case|事例 バルセロナは、賃貸住宅の家賃高騰や住宅不足は観光向けの短期賃貸に原因があるとして、市域全体で短期の住宅賃貸を禁止する。市長は、中産階級が市外に引っ越さなくて済むようにするためには住宅供給が必要で、時間をかけて解決する必要があると今回の決定に至った背景を説明している。 バルセロナは、今回の決定によって、新規の短期住宅賃貸のライセンス発行を停止すると共に、既存ライセンスの更新も行わない。そのため現在10,000件登録されている短期賃貸住宅は2029年には市内か

ベルギーは2026年に自動車中心の道路法規を刷新

case|事例 ベルギー政府は自動車中心の道路法規集を2026年に刷新することを目指し、その改訂作業を進めている。現在の法規は50年前に制定されたもので、これまで100以上の修正が施されているが、幹線道路の自動車利用を想定したものであることは変わりなく、移動手段のパラダイムシフトに対応していないことが課題となっている。 今回の刷新では、幹線道路の自動車を想定したものから広範な道路利用者を含む法規へとすることを目的としており、その名称も「Highway Code」から「Pu

制限速度を20マイル/hに引き下げたウェールズは保険請求額が20%減少

case|事例 大手保険会社は、2023年9月に制限速度を上限20マイル/h(約32km/h)に引き下げたウェールズで、車両の損害賠償請求額が20%減少していることを公表した。ウェールズは、世界ではじめて市街地の制限速度を20マイル/hに引き下げた国のひとつで、2024年2月に公表された平均走行速度のデータでは平均4マイル/hの走行速度の低下が確認された。 保険会社によると、通常、保険請求額が増加する時期においても保険の請求額は減少しており、今もその傾向は続いているという

アイルランドは制限速度を20km/hとして公道での電動キックボードの通行を許可

case|事例 アイルランド政府は電動キックボードの公道での通行を認める新たな制度を施行した。アイルランドでは公道での電動キックボードの利用は違法であるにもかかわらず利用が増加しており、警察もそれを黙殺する状況が続いていた。今回の制度によって地方議会はシェアサービスの実施も可能になるが、各基礎自治体で条例を改正をする必要がある。そのため、現時点で公道走行が認められるのは個人所有の電動キックボードに限られる。 運輸大臣は、電動キックボードの違法での利用はますます増えており、

アメリカでは走行距離に応じた通行料徴収への支持が高まっている

case|事例 ミネタ交通研究所(MTI)は、連邦政府の交通財源政策に関するレポートを公開した。レポートでは、全米から抽出された2,522人を対象とする意向調査が実施されており、現在のガソリン税を排出量ベースの走行距離に応じた通行料としての徴収に置き換えることが51%の支持を集めた。また64%は低所得者に対する料金の引き下げについて好意的に評価している。他にも事業者向けの通行料徴収への賛否も問われており、車種やサービス別に割合が異なるが、貨物トラックで58%、タクシーおよび

シアトル市の増税案に対して市民グループが持続可能な交通と住宅への投資を要求

case | 事例 シアトル市は、同市史上最高額の8年間で13億5000万ドルに及ぶ、戸建住宅所有者への固定資産税増税案を提案している。「交通賦課金案(Transportation Levy Proposal)」と題されたこの法案では、税収を幹線道路の改善と舗装、特定橋梁の補修、歩道の整備と補修、自転車専用レーンの拡充、新規交通信号の設置に充てることとしている。これに対し、市民団体は税収の用途として、徒歩や自転車での移動も含め、公共交通機関の利用機会の拡大と、住宅への投資を

米タンパは電動キックボードの違法駐車に対する罰金制度を導入

case|事例 フロリダ州の都市タンパは、不適切な電動キックボードの駐車に対して新たな取り締まりを開始することを発表した。今後、指定された区画や場所に駐車されなかった電動キックボードに対して最大5ドル(約770円)の罰金が課される。罰金徴収は、Lime、Spin、Helbizの3社が手掛けるシェアサービスの車両が対象となる。また、併せてリワード(報酬)制度も導入され、放置された車両や違法に駐車された車両を駐車しなおした利用者には0.5ドル(約77円)から2.5ドル(約385