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わたしが支えている時、わたしも支えられている|裏の畑Body work部


2021年7月13日。

月に一度通っているシュタイナーの絵の教室「裏の畑」の前半で、ボディワーク講座の時間を持たせてもらっています。

この講座では「季節と身体の調和」をテーマの中心におき、ここのメンバーの今の状態に合わせて、二十四節気や医療占星術の考えを取り入れたワークをデザインしています。

二十四節気と占星術は洋の東西こそ違えど、ともに見かけ状の太陽の通り道(黄道)に名前を与え、身体と森羅万象とのつながりを知るにはとても良い叡智です。

先日は二十四節気では小暑の時期。
小暑は夏至の次の節気で、内側に溜まった陽気(熱)を吐き出しながら、陽の頂点から下りていこうとする時期です。

また、占星術では蟹座の時期。
蟹座は身体でいうと、胃や胸腺、胸郭にその性質が現れているといわれます。
蟹座は、その神話のように自らの組織を守るために、積極的に外部のものを取り入れ、時には吐き出すという人間の身体の性質の現れとして夜空に輝いていると古代の人は考えました。母性・献身性というシンボルでもありますね。

「自分が支える」という側にばかり意識がいってしまう時、蟹座の性質は過剰に働き自らを痛めつけてしまったり、外のものに対して柔軟になれなかったりします。

例えば胃。
胃は外の世界にあるそれぞれに個性を持ったものを自分という組織の中に取り入れようとします。その過程で、粥状にしてそれぞれの個性という境界線を崩し一つにまとめようとします。そして、時に取り込もうとしたそれらが自分という組織に合わない場合は嘔吐という形で排除しようとします。

また、胃は責任感やストレスにとても敏感な場所でもあります。
自分で追いきれない責任感を抱えた時、よく私たちは自らの胃を痛めることで抱え込みすぎた責任感の量や質を知ります。

よって、今の自分という組織に適切な「受け止められる量」をわかっている胃はとてもパワフルです。自分の受け止められる量がわかっている時、新しいものを積極的に取りに行くフェーズと、中にあるものを守りきちんと消化すべく取り入れないフェーズとが調和し、とても柔軟でバイタリティに満ちています。

では、そのような調和をとるためには何ができるだろう?と考えて、メンバーそれぞれの顔を思い浮かべた時、「わたしが支えている時、わたしも支えられている」というキーワードが思い浮かびました。

そこで、今日はリラクゼーションをやってみようと思いました。

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私たちはごくごく自然に身体を動かし過ごしているけれど、実は身体ってとても重たいのです。例えば腕の重さは体重50kgの人で約3kgもあるといわれていますが、ということは、私たちの肩からは計6kgの重さがぶら下がっているわけです。

改めて考えてみると、それってとてもすごいことだなと思うのです。
毎日何もしなくても、私たちって本当によく頑張っているなぁと。

時には、そんな腕の重さを誰かに預け、委ねるという時間があってもいいんじゃないかなと思ったのです。

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お互いの呼吸を揃えて、施術する側は目の前に寝ている人の重さを預かります。
その時大事なことは、施術者が苦しくない体勢・やり方を模索し続けること。

実際には注意しないとわたしの場合なかなかできないのだけれど、これはリハビリの現場で働いている時から本当に大事なことだなと思ってきました。

施術者が苦しくない体勢ややり方を模索していると、受けている方の身体は自然と緩んできます。そして、施術者はその手に人の重みをずっしりと感じられ、深いところで信頼して委ねられている喜びを感じる人もいるでしょう。


最後はみんなでゴロンと横になり、大地に身を委ね、ある物語を読みました。


そのある物語とはこちら。

「空は父大地は母」というアメリカの大統領から土地を買いたいと申し出があり、住みなれた土地を追われる身となったネイティブアメリカンの首長が大統領に宛てた手紙です。


大地は わたしたちに属しているのではない。
わたしたちが 大地に属しているのだ。

(中略)

あらゆるものが つながっている。
わたしたちが この命の織物を織ったのではない。
わたしたちは そのなかの 一本の糸にすぎないのだ。

生まれたばかりの赤ん坊が
母親の胸の鼓動を したうように
わたしたちは この大地をしたっている。
もし わたしたちが どうしても ここを去らなければならないのだとしたら
どうか白い人よ わたしたちが大切にしたように この大地を大切にしてほしい。
美しい大地の思い出を 受けとったときのままの姿で 心に 刻みつけておいてほしい。
そして あなたの子どもの そのまた 子どもたちのために この大地を守りつづけ わたしたちが愛したように 愛してほしい。

いつまでも。

どうかいつまでも。

出典:「空は父 大地は母」 寮美千子訳編・パロル舎刊


目の前にことに一生懸命になったり、大事な人、何かを守ろうとするとき、わたしはついつい肩に力が入ってしまう。

そんなとき、この手紙を読み返します。

「わたしが支えているとき、わたしもまた支えられている」

今こうして頑張っているわたしだって大地に支えられ、空に見守られているんだということを思い出して、そっと自分にハグをしてみるのです。

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