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やわらかな耳と感性を育てるワークショップ@井筒屋


2021年6月10日、笠間市の歴史交流館「井筒屋」さんで、未就学児の親御さんを対象に、音と身体に関するワークショップを開催致しました。

(※トップの写真はかさま歴史交流館『井筒屋』さんのFacebookより)


ワークショップ前日の音声配信はこちら。


リトミックでもない、なんとかテクニックでも、なんとか教育法でもない。一見「これは一体なんの講座なんだろう?」というタイトルのワークショップでしたが、当日は0〜1歳のお子さんを持つ親御さんが集まってくださり、ほっこりとした時間をご一緒させていただきました。

わたしがこのワークショップでお伝えしたかったことは、
『音は子供達にとってこの世界への入り口なんだよ』ということ。

楽器の演奏の仕方を学ぶ前に、まず子どもたちが音の世界に自分自身をひらき、興味を持っていくことに寄り添うことが大切なんだよ、ということ。


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まだ小さな子どもと、大人のわたしたちの知覚や五感の使い方は違います。おんなじ場に生き、一緒に過ごしていたとしても、大人と子どもでは認識している世界がまるで違うのです。

大人は外の世界を認識するための情報の8割ほどを視覚からの情報に頼っていますが、暗い子宮の中から出てきたばかりの赤ちゃんの目はまだぼんやりとしか見えていません。人の目の感覚は、お母さんのお腹から外の世界へ出てはじめて育っていくのです。

一方、耳はかなり早い段階から発達をはじめ、お腹の中ですでにお母さんの声を聴いています。そして、お腹の外の世界へ出たら、聴覚を頼りにお母さんを探します。一番近しい保護者であるお母さんとはぐれないように。そう。生まれたばかりの赤ちゃんにとって「音」はこの世界への入り口であり、耳は世界と自分と繋ぐ役割を果たしているのです。


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そして、段々とお母さん以外の音にも興味を持つようになると、その音の鳴る方へと体を動かしはじめます。

なんの音なんだろう?
どこからくるんだろう?
どうやって鳴っているんだろう?

そして、やがて自分の声や、体の動きや、道具や、今の自分ができるありとあらゆる方法を用いて、その音を真似して、音と一体になろうとしはじめるでしょう。

その音とのやりとりの過程で言葉を知り、絵を描き、踊りを踊り、歌を歌い、さまざまな表現活動を通してこの世界に子どもたちは自分自身を開いていくことを知っています。

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今、世の中にはたくさんの音楽教育と言われるものがあるけれど、『まだ名前のない音』に対して、子どもたちの耳や感性が自然とひらかれていくのをサポートできる環境があったらいいな。サポートの仕方を学べる場があったらいいな。

そう考えながら娘を育てる日々の中で、紡がれたものやアイデアを少しでもシェアできた場であったら幸いです。


今回会場となった井筒屋さんは、笠間稲荷神社のすぐ近くに鎮座し古くから街のシンボル的な旅館を改装し、交流館として生まれ変わった素敵な建物です。
他にもたくさんの魅力的なイベントが開催されています。


今回、会をサポートしてくださり、最後に素敵な演奏を届けてくださったピアニストの小林萌里さんのブログはこちら。


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