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声に考えさせる|わたしが過去に書いた文章を音声配信で読み上げる理由


外山滋比古先生の名著「思考の整理学」の〝声には考える力がある〟と書かれている部分に共感して、今年から音声配信をはじめてみました。

主に、去年一年間書いた二十四節気通信というものを読み上げているわけですが、それはただ過去に書いてきたものをなぞる行為ではありません。


「声」を通すことで、声に考えさせているのです。


声には声の思考する力があって、それは時に書くだけではわからない文章の穴を見つけたり、自分でも気がつかなかった新たな思考を発露させるはたらきをすることもあります。


ただ、じゃあなんでも喋ればいいかといえばそうではなくて、声に出すことの副作用もあります。それは、頭の中の内圧を下げてしまう、ということ。

声に出すことで頭の内圧が下がり爽快感を覚える一方、もっと考え続けようとか文章にしてみようという意欲を下げてしまうときもあるのです。

だから、「これは口に出すタイミングか」を考えることはとても重要で、生まれたてほやほやのアイデアや思考はまだ頭の中に置いておいたり、誰にも言わずにノート書くなど内圧を高めておくことが大切です。まるで時が来るまで保育器で大事に育ててあげるかのように。


しかし、しっかり練られてもう外に出たいよ、という思考に関しては頭の中に置いておくよりは、声に出してみて、声に思考させながら新しい循環を生み出す力として使うのがいいでしょう。


音声配信をはじめてから時々、「音声配信をやってみたいけれど、何をしゃべったらいいのかわからない」と友達に相談されます。もし音声配信でフォロワーを増やしたいとかそれをビジネスに、とかだったらおそらくわたしに相談することはないので、そういう相談を受けた時は「きっと自分自身の声の力に触れたいんだな」「頭の内圧を下げる時が来たのだな」と思っています。

それで、もしその人がブログなどで今まで書き溜めてきたものを持っていたら「自分が過去に書いてきたものを声に乗せて発信してみてはどうだろう」と話してみたりします。そうしているうちに、声の考える力が新しい思考を生み、話題を見つけてきてくれることもあると思うのです。

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