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Vol.35 消えていく記憶の中で必死にカメラを回していた


やむにやまれぬ衝動に駆られて、昨年より毎週金曜日に更新しはじめた、フランス滞在記。


なぜ、わたしは滞在記を書くのだろう。

毎週金曜日がくるたびに考える。


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過ぎ去った在りし日に、意味らしい何かを求め、
書き起こそうとするこの衝動は、いったい何なのだろう。

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そのままにしておいた方が、
美しいことだって、あるんじゃないだろうか。

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だけど、書かずにはいられない。
この突き動かすような衝動の原動力はどこにあるのだろう。

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世界中の誰もが大きな時代の転換点を迎えた2020年。
わたしがその転換点を迎えたのは、住み慣れた日本でなく異国の地。



なぜ、日本じゃなかったんだろう。

なぜ、ヨーロッパだったんだろう。

そしてなぜ、フランスだったんだろう。


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あの体験は、わたしにとってどんな意味を持つのだろう。

毎週金曜日がくるたびに、わたしは問いかける。

この時間や、行為の意味を知るのはきっと、
ずっとずっと後のことだろう。


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だんだんと当時のフレッシュな記憶は薄らいでゆく。

「いかないで」

と、思わず手を伸ばす。


しかし、
一旦その手を緩めてみると、
背後の今までとは感触の違う時間の流れの存在に気づく。
過去も今もなく、全部がシンクロしている不思議な流れ。



かえろう。

フランスに。


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ドイツ・オランダからフランスへ戻る時、気づくと私は必死にカメラを回していた。そして、フランスへ帰りつくと、当時、もうすぐ3歳になろうとする娘のためにショートムービーをつくりはじめた。

まるで、もうすぐ枯れてしまう花をつんで、
押し花にするかのように。


(写真は、オランダ・アルンヘムにあるアーネム野外博物館、最後の一枚はフランス・グルノーブル)



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