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145. すてっこしのススメ

Bonsoir!🇫🇷 毎週金曜日に更新のフランス滞在記をお届けします。

2020年4月末。
桜が散って、時折初夏の風が吹いていた頃。
わたしは燃えていた!

何にって?
物を捨てることに・・!



コロナ禍にフランスから日本へ帰国し、引越し業者は使わず自分たちの力だけで引越しをすることを決意したわたしたち。

当時暮らしていた筑波山麓ののどかな里山は、とても気に入っていたのだけれど、夫の職場にやや遠く、ネット環境があまりよくなかった。さらに、家の近くに幼稚園や学校などの教育機関や医療機関がなく、当時3歳の娘の今後を考えるとやはり夫の職場近くの市の中心部に住まいを移した方が良いだろうと思ったのだ。

それで。
これは、自分が管理しなくてはならないものを手放す千載一遇せんざいいちぐうの大チャンス!
そう思って、「断捨離をしながら荷造りをしよう!」と夫に提案したのだった。

時を同じくして、お友達の北林ちか子さんが、お片付けの小さなグループを開いてくださっていた。元チーフ断捨離トレーナーのちか子さんから「引越しは物を片付ける絶好のチャンスですよ!」と背中を押され、

よぉーーし!

と腕まくり。

一日目は洗面台
二日目は冷凍庫
三日目は靴下



というように一日に一つずつお題が与えられて、そこでご縁の切れた要らないものを手放し、これは新しい家に入れたいなと思えるものだけ段ボールに詰め込んでいった。

毎日のミッションを窓ガラスに書いてみた
あっいうまに縁側の外と内がいらないものでいっぱいになった


初めはあまり乗り気ではなさそうだった夫も、楽しそうな妻の熱意(狂気?)に押されて(巻き込まれて?)一緒に参加してくれたのだった。ありがたし。

5ヶ月間のフランスの短期滞在から帰ってきたというシチュエーションもまたとても良かった。5ヶ月間は旅行というのには長すぎるが、生活というには短すぎる。
おびに短したすきに長しな、中途半端な期間だなぁと思っていたが、「生活に必要な荷物はどれくらいか」知るにはぴったりな期間だった。

さらに、コロナ禍の緊急帰国により、日本に「本当に持ち帰りたいもの」以外全て手放し帰ってくるという経験をした。

家族3人で、
いずれも、スーツケース二つ分。
つまり、わたしたちの人生に最低限必要なものってスーツケース二つ分に収まってしまうのだ。

この事実に気づいた今、家の中の物をとりあえず段ボールに詰め込んで引っ越すなんてできようか!
と拳を突き上げ、連日連夜、物とその思い出に一つ一つ向き合いながら、持っていく荷物を軽くしていった。

それはやがて、家族全体に広がって、みんなで作ってきた思い出や習慣、家庭というものとも向き合うこととなり、時に喧嘩をしながらも家の中に漂っていた空気がどんどん軽くなり変わっていくのをはっきりと感じた。

そして、わたしたちはこうして生まれた「捨てながら引っ越す」という生活観、いや、人生観を「すてっこし」と名付けた。
響きが可愛いし、子どもとも共有しやすいということでとても気に入っている。


お引越しをするとき。
キャリアプランが変わる時。
進学・進級をする時。
大きな決断を要する時。

その人折々、家族折々に、さまざまな節目があるけれど、それがもし人生の大きな転換期であるのなら、わたしは「すてっこし」を強くおすすめしたい。

過去の思い出に生きるのでもなく、未来を憂いたり予想を重ねるのでもなく、「今、この瞬間に、わたしが作り上げたい生活」だけをまっすぐ見つめてみるのだ。その時の熱い意志や光は、あれから3年経った今現在のわたしを力強く支えている。


こちらは北林ちか子さんのブログ。


そしてこちらは、ちか子さんの過去のブログ。
今でも時々お訪れて、お片付けの参考にさせていただいています^^


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