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【LDLアソシエイト インタビュー】クレソンの食文化を日本に広げていきたい〜田中 教之さん〜

LDL(Locally Driven Labs)とは、継続的なオンラインコミュニティを作り、アウトプットまで持っていくことを目的にして、始まったラボです。詳しくは下記をお読みください。

パートナーがプロジェクトを立ち上げ、リサーチアソシエイトが関わりながら活動が進められています。
プロジェクトを動かすパートナーはもちろん凄いのですが、アソシエイトも個性的で多様なスキルをお持ちの方が多く参加されています。

今回は熊本県菊池市でクレソンの生産者・日本クレソン協会会長で、菊池市議会議員でもあります田中教之さんにお話をお伺いしました。

Q.あなたのプロフィールを教えてください!

熊本県菊池市出身で、大学卒業後に東京のIT会社に就職し、ベトナムで支店立ち上げなど立ち上げる業務を複数経験。
その後菊池市にUターンし、立ち上げ事業の腕を買われ海外で和食レストランの立ち上げを任される。再び熊本に戻り、九州の食材をアジアに輸出する事業を任された時に、飲食店を経営している友人から「クレソンが欲しい。」と頼まれるも生産者はおらず。
その友人から「簡単だから作って送ってよ。」と頼まれたのをきっかけに週末にクレソン栽培をし出荷をしていたらやりがいを感じてきて、クレソンの専業農家に。

Q.どのような活動を行っていますか?

2018年、菊池市がまちづくりに力を入れるというタイミングで周囲からの勧めもあり市議会議員に立候補・当選。2022年に再選し、現在二期目。
また、日本で数少ない全国のクレソン農家と手を組み、日本クレソン協会を発足。
クレソンの食文化を日本に広げるために、栽培技術や販路などの情報交換をしながら新規生産者を増やしていく活動も行っています。

Q.どうしてラボに入ったのですか?

議員として市民の話を聞く中で、地元菊池市のまちづくりをやっていることで有名だった岡崎パートナーと話をする機会があり、「まちづくりの活動をするならLDLに入った方がいいよ。」と勧められて加入しました。
また、地方議員の中でも木下斉所長は有名で、本を読んでいたのもありました。

Q.アソシエイトになった理由を教えてください。

まだやりたいプロジェクトは具体的には無く、色々な方の話を聞きながらゆくゆくはパートナーとして何かやりたいと思ってます。
興味関心があるのは「教育」と「食事」で、地方はその切り口でまちづくりをやっていかないと、難しいと思います。

Q.元々クレソン農家・議員には興味はありましたか?

地元の菊池市は農業と畜産が盛んな地域で、西日本では大きい産地。
ですが、父親も母親も農業家系ではなく興味はありませんでした。
「誰でもできるから!」と頼まれたことがきっかけで始め、ネットや本で調べ、周りに生産者がいないから自己流でトライ。
課題が明確になってくると、一大産地である山梨県道志村の生産者のもとで数日研修を受けるなど、だんだんと力を入れていきました。

議員についても選挙には行っていたが自分で政治家になるイメージはなく、周りに政治家もいないので興味はありませんでした。
興味を持つきっかけは、熊本地震の時。
市議会議員・県議会議員の活動を初めて「見える形」で目にし、興味を持つようになりました。
地元で地域のいろいろな人に育てられた自分のことを振り返り、「学校教育を含め教育という切り口でのまちづくりが必要」と最初の選挙で訴え、当選します。

Q.クレソン農家・議員についての課題を教えてください。

クレソン農家については、生産量の増加が課題です。
販路はある程度確保したものの、田舎の人は自分の食文化に無いものを作りたがらないので、生産者の仲間を増やさなければいけない。
なので熊本県・静岡県・福島県の合計4農家で日本クレソン協会を立ち上げ、栽培技術や販路などの情報交換をしながら新規生産者を増やしていく活動も行っていますが、同時に場所の確保も大きな課題です。
クレソンを育てるには水が流れる場所が必要なのですが、その場所はお米を作る田んぼとして使用されています。
今後は高齢化でお米を作れない方も増えてくると思うので、その場所をお借りし、クレソン栽培に利用できればと考えています。
また、新規生産者が菊池市で栽培を始めるなら農地の地主さんに紹介もできますが、近隣の市町や阿蘇の方で始めたいとなると地主さんも知らないので、訪ねてきてくれても力になれないこともありました。

議員については、議員のなりて(特に30代、40代)がいないのが課題です。
(現在は46歳の田中さんが最年少)
二期目の選挙の時には定員ぴったりで無投票選挙となりました。
仕事が多く、人間関係にも気を遣い、休みもあるようで土日昼夜問わず出ていかなきゃいけないというのは、報酬に見合わないと思っている人が多いのではないかと思います。
逆に議員として楽しそうだったり、やりがいを持って活動し、それをちゃんと広報することも必要だと考えています。
それと、「議会」に住民の方に足を運んでもらうのではなく、「委員会」の範囲で地域に議員が足を運び、ちっちゃな意見交換をどんどんしていきたいと思っています。
住民の意見を聞いて、それを次の議会の予算に反映して対策をとっていく。
その活動を通して議員の仕事も見てもらえるようになるだろうし、「議員に何を言っても変わらない。」と思っている人にも「聞いた意見を理解し議会で議論し決めていくのが仕事です。」というのをこの二年間やっていこうと思っています。

Q.今の悩みはなんですか?

クレソン農家と議員活動の両立です。
今は知り合いの農家さんにクレソンの栽培を委託しています。
だけどクレソンを買いたいってお客様とのコミュニケーションは自分で常にとっていて、そういった役割分担をしていくしかないのかなと思います。

Q.ラボに入っていない人に一言お願いします!

メンバーそれぞれ地域の現場の話が聞けるのは魅力的なので、自分でやっちゃう人はもちろん、私みたいにアソシエイトからでもいいと思います。
月額のコストはかかりますが、それは自分への投資!
オンラインで定期的に意見交換したり、リアルのイベントで全国あちこちいくのも楽しいでしょうし、「まちのために何かしたい。」と考えていることがあるならぜひ入ってもらいたいです。
先日隣の市で開催された「狂犬ツアーin山鹿」で取り扱った「観光」は、まさに私が問題視もったところで、外貨を稼ぐには「安くたくさん」の脱却など、まさに悩んでいたところの解答の一部なんかがラボに入って見つけられました。

食物や植物や酪農や漁師さんなど、一次産業に関わる人がもっと増えると、違った見方ができそうだなと思います。
「田舎から農産品を売るのは共通課題だと思いますし、販路とか値付けなど悩みは一緒だと思うので、そこをクリアすることでまちづくりになる。」そういった勉強会ができればいいですね。


素敵なお話をいただきました。
当たり前ですが、クレソンにも栽培に適した環境があって、自生しているところもあるようで。
そこに住む人から見れば、「なんでわざわざ栽培するの?」と思うのだそうです。
でも必要とする人からすれば、クレソン農家はなくてはならない存在。
脱サラして専業農家になれるのはとてもすごいことです。
私もダリアの生産者なので、ニーズと販路があっての生産がいかに重要かは身にしみるところです。
そして耕作放棄地になる前に別の生産者に田畑をスライドすることの重要性も、身にしみています。(荒れてからの開墾は本当に大変!)
大変だとおもいますが、今後も議員と農家の両立を頑張って欲しいです。

最後に、以前取り組まれていたクラウドファンディングの紹介もさせていただきます。
クレソンへの想いが溢れています。


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