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冬の八幡平、温泉宿の日本酒ソムリエと意気投合した蔵人の酒 2024,02,03

今年(2024年)の2月、
スキーをしに岩手県へ行きました。
1日目は夏油(げとう)温泉。
2日目に八幡平。

八幡平の宿で、
素敵な女性日本酒ソムリエとの出会いがありました。

*****

近年は全国で年々積雪量が減っていて、
岩手県も例に漏れずといった様子で、
いつもスキーに誘ってくれる仕事関係の方からも
「誘いたいけど雪がなくて~」
と言われていました。

しかし、
普段まとまった休みを取れない旦那さんと調整した日程だったので、
ズラすのも止めるのもイヤだ。

というわけで強行しました。

結果、
行ってみたら初日は暴風雪!
次の日は晴天の中の新雪!!
(最高のやつ!!!)

八幡平下倉のツリーランの新雪厚さは、
膝には届かないものの
場所によっては吹き溜まりも適度にあって、
ベクターグライドのメイクBC(センター幅90mm)がちょうどいい!

「雪、あるじゃ~~~ん!」

めちゃくちゃ堪能。
上機嫌のまま、ホテル形式の温泉宿にチェックインしました。

ホテルの方が部屋まで案内してくれるということで、
制服のスーツを着た小柄な女性が現れました。
笑顔が人懐っこい印象の方です。
思わず、お姉さん、と呼びたくなってしまう感じの方です。

部屋までの道中、
「雪、ないないって言われるけど、
 やっぱり八幡平はありますね~」
とお姉さんに言ってみると、
うーん、と唸りながら、

「やっと昨日降ったんですよ~」

とのこと。
1月は雨も降ったそうです。

「日本の方もですけど、
 外国からせっかく来た方には
 ほんとに申し訳なくて・・・」

お姉さんのせいではない!のは
誰もが分かるところです。が、

遠くからいらっしゃるお客様の期待に応えられない、
冬の八幡平を満喫させてあげられない、

という悔しい気持ちが伝わってきました。
こちらまで悔しくなります・・・。
(いちおう、私は岩手県ゆかりの人間なので)

優しいお姉さんだなあ、
と思いました。

*****

宿は、
部屋は広くて清潔、
お風呂は内風呂も露天風呂も広くて最高、
夕食は八幡平の杜仲茶ポークを含む美味しい和食!
のんびりゆったり過ごしました。

翌朝は朝食前に、
小雪がちらつく極寒の薄曇りの中で朝風呂。
岩作りの露天風呂を独り占め。

湯に浸かって空に顔を向けると、
空から次々と落ちてくる雪が顔にあたって気持ちがいいです。
舞い降りてくる雪をぼおっと眺めていると、
いつの間にか頭の中がからっぽになっていました。

この瞬間が気持ちいいんだよなあ~・・・。

3日目は帰るだけなので時間いっぱいゆっくりしました。
チェックアウト後にお土産コーナーでお酒を(数本)買い、
三重に転勤したお友達への配送を頼みました。

この時購入したお酒は・・・

八幡平の地酒、
鷲の尾!!

このお酒は、5年前にお仕事繋がりの方から教えてもらいました。

岩手の銘酒といえば、
南部美人、あさ開、赤武
などが思い浮かぶかなあと思います。
私は久慈の浜千鳥も好きです。
が、

一番好きなのは、鷲の尾!です!!

どのお酒も米の味がしっかりあって、
でも雑味も変な尖りもなくパンチが効いていて、
先付け、刺身からメインまでなんでも合います。
特に好きなのは・・・・・・

なんて思いながらほくほく顔で酒瓶をぶら下げて、
エントランス横のフリーラウンジで待っていた旦那さんのところへ戻ると、
昨日お部屋へ案内してくれたお姉さんと話していました。

「お車までお見送りいたします」
と笑顔で、私たちのでかいスキーバッグ2つを乗せたキャリーを押してくれました。

*****

小雪とはいえ、日中の気温が氷点下も珍しくない八幡平なので、
敷地内は除雪しきれない雪が固まって残っています。
旦那さんが車を取りに行き、お姉さんと私は玄関前の車寄せで待つことにしました。

「私、岩手のお酒は鷲の尾が一番好きなんです」
お姉さんに声をかけて、さっき買ったお酒の入った袋を掲げると、お姉さんの顔がぱあっと輝きました。
「私もです!!」
おおっ。

私「浜千鳥も好きなんですけど、鷲の尾の旨さはピカ一だと思ってて」
お姉さん(以下、姉)「ああっ、私も浜千鳥は鷲の尾の次に好きです!」

ええー!嬉しい!
「合わせて言ってるんじゃないですよ!」って、お姉さん。
顔を見ればわかります!!

私「鷲の尾は、『蔵人の酒』が一番好きなんです!」
姉「わかります~! ちなみに、2種類あるんですけど・・・」
私「あっ、うん! えっと・・・濃い方が好きです!(おい、語彙力)」
姉「吟醸酒ですね!!」
それ!!(名前を覚えられない)

私「濃くて、旨くて、力強くて、何とでも合うのが好きなんです~」
姉「ちょっと度数高いんですけどね」
くすっと笑ったお姉さんに、つられて私も笑いました。

寒空の下、のんべえを隠し切れない未熟女がふたり。笑

姉「私、お酒好きが高じて唎酒師の資格を取ったんですよ~」
私「えっ! すごいっ!!」
私は呑むのが好きなだけで知識が全然ないので、
唎酒ができる人は大尊敬です。
姉「ワインソムリエも持ってるんですよ~」
私「ワインも?! 私、エーデルワインが好きです~」
やばい、酒トークが盛り上がってきた!

楽しくなってきたところで、旦那さんが車を持ってきました。
こんないいところで帰らなければならないのか・・・

お酒の話で盛り上がり続けながら、車に荷物を積み込みます。
別れはもうすぐ。あとは車に乗るだけ・・・。

去るのが惜しくて、最後の挨拶代わりに
「唎酒師を持っている方と好きなお酒が一緒って、すごい嬉しいです」
と言ってみると、
「お帰り際にお酒好きなのが分かるなんて~・・・」
昨日から変わらない笑顔だけど
お姉さんもちょっと残念そうなのがわかって、
気持ちを共有できた気がしました。

交わした会話がたった数分でも、二言三言でも、
「この人とは気が合いそうだなあ」
というのは直感で分かる。気がします。
お姉さんと呑むのは絶対楽しいだろうな! と思いました。

「また来ます!」
こういう場面でよく言うひとことだけど、
今日はだいぶ本気を込めて言いました。
「次は飲み明かしましょう!!」
満面の笑みで返してくれたお姉さんの雰囲気に、
本当にそう思ってくれているような感じがしました。

お姉さんの名札を見ると
青森にある地名と同じ名が・・・。
ぜったい、忘れない。

「はい! 次に来た時、お声をかけます!!」

車に乗って、お姉さんに手を振るために窓を開けると、
いつの間にか青空が覗き始めていることに気付きました。

いい演出してくれるなあ・・・

旦那さんが車を発進させました。
「また来まーす!」
大袈裟なくらい手を振ると、
お姉さんも大きく手を振ってくれました。
寒い中、私たちの車がホテルの敷地を出て見えなくなるまで
手を振ってくれていました。
私も、お姉さんが見えなくなるまで
後部座席越しに手を振り続けました。

前を向くと、青空がもっと広がり出していて、
昨晩の降雪で真っ白になった林の樹々が
明るい光を反射させていました。

帰るのが少し惜しい。だけど、
『この出会いは次もありそうだなあ』
という根拠のない想いも湧いてきました。
来年も八幡平へ滑りに来よう、と決めました。

きりっと寒い、東北の明るい朝でした。

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