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【官能小説】 Cerberus 第12話 『性奴隷の誕生』


▼第11話 『真夜中の噴水』はこちら▼



あれから数日。


あの夜の事を2人は胸にしまい、
出張前と同じように上司・部下として
振る舞っている。


同じ部署で働く中ではMTGや報連相など
何かと接点も多く、目が合うたびに
若干の気まずさと、あの夜の官能的な
映像が頭の中で再生される。


互いを意識しないようにすればするほど
逆に相手の事が気になってしまうのだから
人の心というのは不思議なものだ。


そんなぎこちない日々を送っていたある日、
定年退職する立花さんの送別会の案内を
香澄が一ノ瀬の元へ持ってきた。


一ノ瀬は入社以降、会社の生き字引のような
立花をたびたび頼りにしてきた。


本来ならば参加したい所ではあるが、
あいにく当日は北海道へ出向く予定があり、
送別会には間に合いそうにも無かった。


『部長、どうされますか?』


『ちょっと間に合いそうに無いな… 』


『そうですか… 』


『立花さんには前もって挨拶しに行くよ。』


『わかりました。』


そう言って踵を返しデスクへ戻ろうとする
香澄を一ノ瀬が呼び止める。


『香澄さんは…行くの?』


『はい。参加させていただく予定です。』


『そっか。 
 もし早く帰って来れそうなら連絡するよ。』


『はい。帰って来れると良いですね。』


どこか他人行儀で事務的な対応に寂しさを
感じる反面、あの日以降、
集中して仕事に取り組むようになった
香澄の姿に少しホッとしていた。


◆ ◆ ◆


そして送別会当日。


一ノ瀬は朝から分刻みのスケジュールをこなし、夕方に予定していた最後の商談が早く
終わったため、立花へのお土産を買い込み
1便早い飛行機に乗り込んだ。


(一旦オフィスに戻って残務処理しても
 2次会には間に合いそうだな…)


シートに着座して離陸するまでの間に
スマートフォンから香澄にメールを入れた。


するとすぐに返信が届いたので確認すると


件名:Re:送別会の件
本文:かしこまりました。
   お気をつけてお戻りください。


(なんか… 事務的だな…)


少し寂しさも感じつつ、上司と部下なんてこんなものかと変に納得しながら羽田へ到着した。


空港から会社までタクシーで移動する間、
中島から送別会の写真が何枚もしつこく
送られてくる。


写真には主役の立花、高木、中島をはじめ
30名ほどが写っており、営業部の面々も
ほぼ全員参加している様子だ。


やがてタクシーは会社の前に到着し、
残務処理をするために営業部のフロアへ向かうと誰もいないはずのフロアに電気が付いている。


カードキーをかざすとロックが解除され、
扉を開けるとそこには香澄だけがポツンと
座っていた。


『香澄さん、ただいま。
 立花さんの送別会行ってないの?』


『…はい。』


『どうして?行くって言ってたじゃない… 』


『中島課長のセクハラが酷いので
 一旦戻ってきました… 』


『…。 またか〜。
 本当仕方の無い人だな… 』


『…。』


『中島課長が写真送ってくれたの見たけど
 高木君もいたよね…
 助けてくれなかったの?』


『…。』


『それはちょっとがっかりだね… 』


『…。』


香澄は少し鼻を啜りながら話していたので
もしかしたら泣いていたのかもしれないと
一ノ瀬は思った。


『香澄さん、ちょっと待っててよ。
 急いで仕事片付けるからさ。
 終わったら一緒に行こ!』


何も言わずにコクンと頷く香澄。


しばらくの間、フロアにはタイピングの音と
微かに鼻を啜る音が響く。


そんな静寂を破るように香澄が口を開く。


『一ノ瀬部長、私…
 部長のペットになりたいです… 』


『…。』


『ご家庭の邪魔は絶対しません…
 だから… 』


『ペットは飼わない主義なんだ。』


香澄に視線を向ける事も無く、
仕事を黙々と処理しながら答える。


『じゃあっ… じゃあ、どうしたら
 部長のそばに置いてもらえますか…?』


『…。』


『…。』


『香澄さん… 残念ながら
 私は香澄さんが思っているような
 立派な人間では無いんだよ… 』


『…。』


『香澄さんを信用して打ち明けるけど、
 私は酷い男なんだ。
 この前の夜、香澄さんにした事よりも
 ずっと酷い扱いを… 』


『…。』


『異常だろ?
 香澄さんが思っている以上に酷い扱いだと
 思うんだよ… 』


『…。』


『だから香澄さんをそんな世界に
 引き摺り込んではいけないと思うんだ。』


『…。』


『わかってくれる…?』


『はい。わかりました。』


『そっか!良かった〜。』


『私を…
 私を一ノ瀬部長の性奴隷にして下さい。』


『…!?』


リリリリン… リリリリン…
  リリリリン… リリリリン…


予想外の答えに目を丸くして驚く一ノ瀬の
スマートフォンが無神経に鳴り響く。


慌てて電話に出ると電話の主は課長の中島。


『部長!いつ来るんですか?
 もうみんな待ちくたびれてますよー!』


『あっ… ああ、すみません。
 もう少しかかるけど必ず行きますから。』


電話の向こうからはガヤガヤとした
賑やかな声が漏れてくる。


『部長!早くしてくださいよー!
 今どこですか?』


『あ〜、
 今オフィスに立ち寄って残務処… 』


そう言いかけた瞬間、香澄は一ノ瀬の腰掛ける
椅子の前に跪き、ズボンのチャックを開けると
その中へ手を差し入れた。


香澄はその勢いのまま肉棒を取り出すと
一気に口に咥え込んだ。


『あっ、今…あのっ…


『え?なんですか部長っ
 よく聞こえないんですけど!』


『いやっ、だからですね…


『すいません!
 周りが騒がしくて全然聞こえないです!』


チュパッ… グチュッ… グチュッ…
  グチュッ… チュルッ… ハァ… ハァ…


フロアには香澄が肉棒をしゃぶる音と
スマートフォンから漏れる喧騒が交錯する。


一ノ瀬が下へ目をやると、
潤んだ瞳でこちらを見上げながら
丁寧に肉棒を舐め上げる香澄の姿。


万が一、このタイミングで誰かがこのフロアを
訪ねてきたらまずいと思い、
咄嗟に足で香澄をデスクの下に移動させる。


『部長〜、聞こえますか〜。
 もしも〜し。』


グチュッ… グチュッ… グチュッ…


『はい。聞こえますか?』


ズルズルッ… グチュッ… グチュッ…


『あ〜、
 今店の外に出たので聞こえま〜す。』


グチュッ… ハァ… グチュッ… グチュッ…


『あ、中島さん、聞こえます?
 今残務処理してましてもう少しで
 終わるんですけど1次会はちょっと
 間に合わないかもしれませんが
 2次会から合流しますから。』


ズルズルッ… グチュッ… グチュッ…


『あ〜、了解しました〜!
 てゆーか部長ラーメンでも食べてます?
 なんか音が聞こえるんですけど。』


グチュッ… グチュッ… ズルズルッ…


『あは… いや、気のせいじゃないですか?』


グポッ… グチュッ… グポッ… グチュッ…
  ハァ… ハァ… チュルッ…


『そうですか〜。
 じゃまあ、早く来てくださいよ〜!』


ツーッ… ツーッ…


色々な事が一気に起き過ぎて情報処理が
追いつかない様子の一ノ瀬に香澄が話しかける。


『一ノ瀬部長。
 私を一ノ瀬部長の性奴隷にして下さい。』


(それはさっき聞いた台詞…)


そう思ったが、一ノ瀬の性癖まで飲み込んだ上でこのように言うのだからこの際調教してやるのも良いかと思い直した。


『香澄さん、私の調教を受けてみたいか?』


『はいっ!一ノ瀬部長。
 私を部長好みのメスに調教して下さい。』


『ふぅ〜…。仕方ない、わかったよ。』


『ありがとうございます!
 部長に命じられた事なら何でもします!』


キラキラした目で奴隷堕ちを懇願する香澄に
少し愛おしさが芽生えた一ノ瀬だったが、
香澄が人生を棒に振らないよう釘を刺した。


『その代わり条件がある。
 恋人や家族を優先する事。
 私の存在が香澄さんの幸せや結婚の
 邪魔になるような事はしたく無いからね。 
 OK?』


『はい!ありがとうございます!
 フフッ!』


『じゃあとりあえず口マンコで抜いて
 もらおうかな。』


そう言ってニヤリと笑うとデスクの下に収まった香澄の髪を鷲掴みにして喉の奥まで押し込んだ。


苦しそうに眉間にシワを寄せながら
こちらを向いて満足そうに微笑む香澄。


その姿に愛奴としての可能性を感じた一ノ瀬は、香澄の瞳を見つめたまま鷲掴みにした頭を激しく上下に振り続け、小さな口の中へ大量の精液を
吐き出した。


香澄も精液を一滴たりとも溢すまいと
口を離さず、しっかりとその口で受け止めて
そのままゴクッと飲み込んだ。


『オフィスでこんな事するなんて
 お前は悪いメスだな。』


『はい。 一ノ瀬部長の奴隷ですから。』


『ははっ。』


よく出来たねと褒めるように頭を撫でる一ノ瀬と性奴隷としての1歩を踏み出した香澄。


そのいずれの表情にも幸福感が溢れていた。


その後2人は上司・部下という表向きの顔を
演じながら送別会の2次会へ向かった。


寄り添うように腕を組み会場へと歩を進める
2人を包むのは、この日もまた、
秋の涼やかな空気と金木犀の香りだ…




第1章 『金木犀の咲く季節』 終わり

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