スガモチ@サウナ小説家

小説感覚でサウナ体験について書いてます。 ごゆるりと。

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最近の記事

サウナ小説 ~サウナ音頭~ 第10話 アイデア(ウェルビー福岡)

私は朝に弱い。 目は覚めるのだがどうしても動けない。 ボンドが敷かれたベッドで寝ていたかと思うほど、自分とベッドの設置面積が減らない。 そんな心の弱さを溶かすために有効な方法はただ1つ。心踊る予定を朝に入れるしかないのだ。 九州サウナ旅行3日目。そんな予定はサウナしかあるめえよ。 本日は2サウナ回る予定。その1施設目こそが、 ウェルビー福岡 サウナーなら誰もが知るウェルビー系列。福岡を代表するサウナ施設だ。 鼻先にニンジンをぶら下げられた馬の如く、私はベッドから出た。

    • サウナ小説 ~サウナ音頭~ 第9話 栄光の架橋(湯らっくす)

      旅先でご当地のものを食べることにほんの少し抵抗がある。 せっかく○○まで来たのだから。 ここの××は有名だから。 そんな合理性に自分の意思を預けることへの漠然とした違和感。 あくまでその時の気分で、自分が食べたいものを食べたい量食べる。それが1番美味しいと考えていたので、札幌で醤油ラーメンを食べたこともあった。 しかしここでは、絶対にこれを食べる、と心に決めていたものがあった。 湯らっくす の 麻婆豆腐定食 サ道のドラマで泰造さんが食べていたものである。 せっかく熊本まで

      • サウナ小説 ~サウナ音頭~ 第8話 値札が付いたとして(遊倶楽部)

        思い出せない。 最後に夕焼けを見たのはいつだろう。 家の鍵を閉めたか分からなくなるのと同じように、当たり前すぎて記憶に残っていないのだろう。 そんな当たり前の素晴らしさを、私はここで再認識することができた。 遊倶楽部 福岡県福津市にある海の家だ。 ここではテントサウナと海の水風呂を体験することができる。 福岡・熊本へのサウナ1人旅。その第1弾として、私はこの家に赴いた。 博多駅から電車で揺られること30分。 福間という駅でバスに乗り換える。 バスではなんと、現金もしくはWA

        • サウナ小説 ~サウナ音頭~ 第7話 身近な幸せに気付けたなら(向島銭湯 薬師湯)

          温泉、サウナ、銭湯〜♪ 温泉、サウナ、銭湯〜♪ キャッチーなメロディーが玄関でお出迎え。 昭和な雰囲気漂う店構えとは対照的だ。 ここはスカイツリーから最も近いお湯処。 向島銭湯 薬師湯 そして自宅から最も近い銭湯サウナでもある。 近すぎるが故に訪問が先延ばしになっていた。 自宅から徒歩2分。私は 銭湯のススメをくぐった。 受付にて、入浴・サウナ・タオル料金を支払う。730円。やはり銭湯は安い。燃料代高騰してるけど大丈夫かな。 タオルを受け取って脱衣所へ向かう。 古き良き銭

        サウナ小説 ~サウナ音頭~ 第10話 アイデア(ウェルビー福岡)

          サウナ小説 ~サウナ音頭~ 第6話 経験はやがてスタイルに(カプセル&サウナ ロスコ)

          無性に眠たい。 無性に辛いものを食べたい。 無性に人肌が恋しい。 人という生き物は誰しも、そんな欲求への衝動に駆られる。これは愚かなことだろうか。 そしてサウナーという生き物には、人間の3大欲求に加えてもう1つ。 サウナ欲というものがある。 そしてサウナを知れば知るほど、その欲望はより具体性を増していく。 アツアツノサウナイキタイ、、、 ハジメテノサウナイキタイ、、、 そんな願望を叶えてくれたサウナがこちら。 カプセル&サウナ ロスコ 名前は知っていたが、玄人向けと聞いていた

          サウナ小説 ~サウナ音頭~ 第6話 経験はやがてスタイルに(カプセル&サウナ ロスコ)

          サウナ小説 ~サウナ音頭~ 第5話 名は体を表せる(精神と時の部屋)

          彼の姿が見えない。 それでも外は明るいので、いる事は確かだ。 曇天の午後4時。私はある部屋を探していた。 どの物件サイトにも載っていないだろうその部屋の名は、 精神と時の部屋 まさか実在するとは。1番驚いているのは鳥山明先生だろう。 なんでも静岡初の個室サウナだそう。 一応会員制だが、非会員の単発利用も可能。 そしてキャンペーンとしてモニター利用ができ、驚くべきことに無料でサウナ体験が可能だ。(2/13時点) ビルに着くと、エレベーターで8階へ上がる。 到着したのは、マ

          サウナ小説 ~サウナ音頭~ 第5話 名は体を表せる(精神と時の部屋)

          サウナ小説 ~サウナ音頭~ 第4話 やさしさ(サウナしきじ)

          無数の小さな水滴が、頭で跳ね踊る。 ホテルから出た私は、小走りでコンビニへと駆け込む。 最悪の朝。それでも気分は下がらなかった。 コンビニで手に入れた傘を片手に向かったのは、俗にいうサウナの聖地。 サウナしきじ 前日に静岡で用事があったため、ついでに1泊して足を伸ばしてしまおうという魂胆だ。 突然の雨は予想外だったが、こんなものに負けていてはしきじの天然水の滝を受けることなどできない。 期待に胸を膨らませながら、私はバスに乗った。 登呂コープタウン入口というバス停で下車する

          サウナ小説 ~サウナ音頭~ 第4話 やさしさ(サウナしきじ)

          サウナ小説 ~サウナ音頭~ 第0話後編 きっかけ(サウナ錦糸町)

          生まれて初めて行ったサウナ、天然温泉 楽天地スパ。 予備知識がなさ過ぎたせいで数々の失敗をし、全くととのうことなく帰還。 それでももう一度サウナを体験したいと思い、向かったのは  サウナ錦糸町 しかしこのサウナがどんな場所であるか、私はまだ知らなかった… ※前編の続きとなります。良ければこちらもあわせてご覧ください。 冬、午前6時半。 日はまだ昇っていない。 前回、人の多さに負けてサウナを堪能できなかったため、今回は早朝にサウナへ赴いた。 Googleマップで"サウナ"

          サウナ小説 ~サウナ音頭~ 第0話後編 きっかけ(サウナ錦糸町)

          サウナ小説 ~サウナ音頭~ 第3話後編 個性と書いて主役と読みたい(サウナ&ホテルかるまる 池袋)

          ※前回の続きです。前、中編がまだの方はこちらを先にご覧ください。 池袋をひっそりと見守るように佇む、 サウナ&ホテルかるまる 池袋。 その頂上には薪サウナ。 フィンランドを想起させる完璧な空間に、私の心は満たされていた。しかしそれとは裏腹に、お腹はもはや空き終わりそう。 足早に食事処に向かうのであった。 とりあえずビールが飲みたい。カラッカラに乾いた身体に、思いっきりビールを流し込みたい。 そう思いながら食事処へ。かるまるは私語禁止を重視しているため、食事処も会話している

          サウナ小説 ~サウナ音頭~ 第3話後編 個性と書いて主役と読みたい(サウナ&ホテルかるまる 池袋)

          サウナ小説 ~サウナ音頭~ 第3話中編 個性と書いて主役と読みたい(サウナ&ホテルかるまる 池袋)

          ※前回の続きです。前編がまだの方はこちらを先にご覧ください。 池袋にそびえ立つ圧倒的なサウナ。 サウナ&ホテルかるまる 池袋 私は9Fの大浴場で、王様ゲームの真っ最中。 薪サウナ入場券をかけたこのゲーム、制することがらできるのか、それとも… …。 はい、外れました。 何の変哲もない裸の男が、何の変哲もない竹串を引き抜くだけの時間でした。 別に悔しくないですよ、と言わんばかりの滑らかな足取りでその場を去り、そのまま流れるよう岩サウナへ逃げ込んだ。 大半の人が薪サウナくじ引

          サウナ小説 ~サウナ音頭~ 第3話中編 個性と書いて主役と読みたい(サウナ&ホテルかるまる 池袋)

          サウナ小説 ~サウナ音頭~ 第0話前編 きっかけ(天然温泉 楽天地スパ)

          天然温泉 楽天地スパ。その名に違わぬ楽園であり、私がよく訪れるサウナだ。 サウナ激戦区の錦糸町でも珍しい、アウフグース体験ができる。 広々としたサウナでは、男共がきれいに鎮座し、無言でただただ蒸される。 水風呂は4人ほど入ることができ、ととのい椅子も8脚ほど。また、足を水平に伸ばすことができるようになっており、ととのわせる気満々の良サウナだ。 実はこの楽天地スパ、私が生まれて初めて訪れたサウナである。今回は当時の事を思い出してみる。 最初に言っておくが、全く良い思い出ではな

          サウナ小説 ~サウナ音頭~ 第0話前編 きっかけ(天然温泉 楽天地スパ)

          サウナ小説 ~サウナ音頭~ 第3話前編 個性と書いて主役と読みたい(サウナ&ホテルかるまる 池袋)

          東京、池袋。言わずと知れた繁華街だ。 人、物、お金、情報… そういった類の何かを求め、人々はこの街にやってくる。そしてその1人1人が、この街の喧騒を織り成していく。 そんな喧騒を見下ろすかのように、もしくは見守るかのように、そのビルは存在していた。 サウナ&ホテルかるまる 池袋 都内屈指の人気を誇るサウナだ。 湯に つかる 宿に 泊まる 古来より伝わる日本の至福が、「かるまる」には込められている。 にもかかわらず、私は「まる」の部分を経験したことがない。 その想いを余すと

          サウナ小説 ~サウナ音頭~ 第3話前編 個性と書いて主役と読みたい(サウナ&ホテルかるまる 池袋)

          サウナ小説 ~サウナ音頭~ 第2話 サウナは人生における句読点(両国湯屋 江戸遊)

          久しぶりに両国の地に降り立った。目的は相撲観戦…ではなくサウナ。 両国湯屋 江戸遊 領域展開しそうな名前はさておき、私のお気に入りサウナの1つだ。 仕事が忙しく最近ご無沙汰だった。 今回は贅沢にも、平日昼からお邪魔させていただいた。 入口でふと気付いた。仕事がうまくいっていない時によく来ている気がする。 1年前の冬。恥ずかしながら、洗い場で涙が止まらなくなってしまったことがあったなあ。 そして今も似た状況に置かれている、が、それは後ほど… 受付でコースを聞かれる。3時間コ

          サウナ小説 ~サウナ音頭~ 第2話 サウナは人生における句読点(両国湯屋 江戸遊)

          サウナ小説 ~サウナ音頭~ 第1話 個室という贅沢(SAUNA RESET Pint)

          午後8時1歩手前。私は浅草にいた。 ホッピー通りという心地よい喧騒から、少しだけ離れたビル。それは確かにあった。 SAUNA RESET Pint 個室サウナという甘美な響き。 なのに3000円。 予約サイトに映る○の文字。 気がつけば、私のVISAが仕事を終えていた。 エレベーターで9階に上がり、扉を開ける。 なぜかは分からないが、素晴らしいサウナに出会う、そんな予感がした。 サウナ歴2年程度の私でも分かるくらい確かな予感、それは何の裏切りもなく的中することになる。

          サウナ小説 ~サウナ音頭~ 第1話 個室という贅沢(SAUNA RESET Pint)