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ひまつぶし要員

「ヒメオウギさん 天才ですね」
ゲラゲラわらいながら口癖のように
いつも その人は言った
私は人を笑わせるのが好きだ
天性のサービス精神?そう言えば聞こえはいいかも
しれない
何気ない一言でも 渾身のギャグでも
相手が笑ってくれると とぼけた顔をしながらも
心の中には”よしっ”とガッツポーズをとってしまう
自分がいる

ひとしきり笑ったあと”いいひまつぶしになったわ”と
友人から笑顔で言われた事がある
その時はそのままやり過ごしたが 後になり 
なんだか私の心は晴れなかった
なんか気になる
なんか嫌だな その言葉のチョイス…
芸人じゃないし別に不眠不休でギャグやネタを
考えてるわけじゃない
ただ自分にとって大事にしたい楽しかった貴重な時間は
友人からすれば単なる暇つぶしの時間だったのか?
誉め上手のその人に 訳もなく天才天才と 
おだてあげられて 笑いを提供することが こんなに
喜んでもらえる こんなに好いてもらえると
勘違いしていた…

”面白かった”  ”楽しかった”
笑顔を残して皆 去っていく
なんで こんなに心がすり減っていくのだろう?
取り残された悲しいピエロ
1人は嫌だと心が泣いている



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