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外務大臣会見記録 2023年11月7日(火)1

11時05分 於:本省会見室

冒頭発言

【上川外務大臣】
私から1件ございます。

本日夕刻から明日にかけて、飯倉公館におきまして、G7外相会合を開催いたします。
日本の議長下では対面で5回目、私自身にとりましては、対面で2回目のG7外相会合となります。

日本は、今年のG7議長国として、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序の維持・強化、国際的なパートナーへの関与の強化等を優先課題として、G7の議論をリードし、成果を上げてきました。

9月のNYでの会合後、1か月余りの間に国際情勢は様々な変化がありました。特に、イスラエル・パレスチナ情勢に関しては、G7間で緊密に連携してきております。
10月17日には、G7外相電話会合を開催し、今般のテロ攻撃に対する断固とした非難を確認するとともに、ガザ地区の人道状況の改善が必要であるということ、また、G7間で、引き続き、連携していくということを確認をいたしました。
その後も、事態は刻一刻と動いておりまして、緊張感が日増しに高まっている状況であります。

こうした状況において迎える今回の会合では、まず、私のイスラエル・パレスチナ・ヨルダン訪問も踏まえ、中東情勢について、G7外相間で改めて突っ込んだ議論を行いたいと考えております。

また、戦略的にも、最も重要な地域でありますインド太平洋に関する議論や、これまで様々な形で議論を積み上げてきたウクライナも重要な議題であります。
特に、中東情勢の緊張度が増す中でも、G7として結束をし、厳しい対露制裁と強力なウクライナ支援を行っていくというコミットメントは何ら変わらないことを改めて確認し、発信していくことが重要と考えております。
また、こうしたG7の姿勢を直接ウクライナ側にお伝えすべく、クレーバ・ウクライナ外相とオンライン形式で対話するセッションも調整しております。

更に、今年の優先課題の一つであります、国際的なパートナーへの関与強化という観点から、中央アジア5か国とオンライン形式で対話をするセッションも調整しております。
G7として、中央アジア諸国と対話する初の試みであります。
我が国は、来年に、中央アジア諸国との首脳会合を開催する予定でありますが、米国やEU、ドイツといった他のG7メンバーも、これらの国々との関係強化を推進しております。
この機会に、各国のそれぞれの取組に加えまして、G7全体としての力強いメッセージを発出することは、大変有意義と考えております。

G7議長国としての任期は「残り2か月」ではなく、あと「2か月も」あります。
我が国が議長国としての責任をギリギリまで果たし、今述べたような現下の様々な課題に、G7として連携して対応できるよう、引き続き精力的に取り組んでまいります。

私からは以上です。

G7外相会合

議長国としてどう主導するか

【NHK 五十嵐記者】
G7外相会合の関連で伺います。
冒頭ご紹介がありましたように、本日、このあと、G7外相会合が開かれますが、イスラエル・パレスチナ情勢が緊迫化する中、人道目的の一時的な戦闘の休止など、事態の打開に向けた議論を、議長国として、どう主導する考えかお伺いします。

【上川外務大臣】
まず、人道目的の一時的な戦闘休止に向けまして、一致できるかどうかということも含めてということでありますが、今回の外相会合の議論ということにつきましては、予断することについては控えたいと思います。

その上で、今回の会合におきましては、10月17日のG7外相電話会合後も、イスラエル・パレスチナ情勢を巡る緊張が日増しに高まっていることを踏まえまして、G7外相間で、改めて突っ込んだ議論を行いたいというふうに考えております。

私からは、ガザ地区の人道状況の改善が最優先であるということ、そのための人道支援や、また人道的休止・人道アクセスの確保等が必要であることといった点も含めまして、我が国の立場に基づき議論に貢献するとともに、議長としての務めをしっかりと果たす考えでございます。


成果文書

【アナドル通信社 メルジャン・フルカン記者】
(以下は英語にて発言)

アナドル通信、フルカンです。

上川外務大臣は、週末の中東訪問を通じて、イスラエルとパレスチナのカウンターパートと直接会談されました。
今週は、東京で、G7外相会合を主催されます。
議長国は7年に一度回ってきます。
日本が議長国を務めるG7外相会合は、イスラエルによるガザへの激しい攻撃が続く中で行われます。
ガザでは、これまで、イスラエルの攻撃によって、5,000人近い子どもを含む約1万人のパレスチナ人が命を落としています。
イスラエルは、テロリストを標的にしていると宣言していますが、この攻撃で、1万人近い、罪のない一般市民が命を落としたことは、明白な事実です。
日本として、G7外相会合の共同宣言に、何を期待しますか。
日本の外務大臣として、人道的な一時停戦を求めるのではなく、罪のない市民の死を食い止めるために、ガザでの停戦を求める予定はありますか。
ありがとう。

【上川外務大臣】
ただいまのご質問でございますが、今回のG7外相会合に際しまして、何らかの成果文書を発出する方向でG7間で調整しておりますが、調整中であることから、この具体的内容について、今の段階でお答えすることについては差し控えさせていただきたいと思います。


アウトリーチ・セッション

【読売新聞 上村記者】
冒頭でも少し触れられていましたけれども、今回のG7外相会合で、アウトリーチの中央アジアとのセッションがありますけれども、これは、どのような国々が参加予定かと、今回の狙いと併せてお聞かせください。

【上川外務大臣】
今回の外相会合におきましては、今年の優先課題の一つであります、国際的なパートナーへの関与強化、この観点から、中央アジア5か国とオンライン形式で対応するセッションも調整しているところであります。
我が国は、来年に中央アジア諸国との首脳会合を開催予定しておりまして、米国やEU、ドイツといった他のG7メンバーも、これらの国々との関係強化を推進している状況であります。
この機会に、それぞれの取組に加えまして、G7全体としての中央アジア諸国との関係強化につきまして、力強いメッセージを発出すること、これは大変有意義と考えているところであります。

また、中東情勢の緊張度が増している中であります。
G7として結束をし、厳しい対露制裁と強力なウクライナ支援を行っていくという、このコミットメントは何ら変わらないということを改めて確認をし、このことにつきましても、発信していくということが重要と考えております。
こうしたG7の姿勢を直接ウクライナ側に伝えるべくということで、クレーバ・ウクライナ外相とオンライン形式で対話するセッション、これも調整しているところであります。


イスラエル・パレスチナ情勢

国際法上の評価

【共同通信 桂田記者】
中東情勢について伺います。
イスラエル軍によるパレスチナ自治区ガザへの攻撃では、多数の犠牲者を出しており、国連のグテーレス事務局長は、国際法違反と表明されていますが、改めて国際法違反だと指摘し、即時停戦を求めるお考えはないか、理由も含めて教えてください。

日本は、ロシアによるウクライナ侵攻については、国際法違反と判断していますが、その理由も改めてお願いします。

【上川外務大臣】
まず、国際法上の評価と即時停戦についてのお尋ねでございます。
イスラエル軍の行動につきまして、我が国として、確定的な法的評価を行うことは控えさせていただきますが、一般論として申し上げれば、いかなる場合におきましても、国際人道法の基本的な規範は守らなければなりません。
例えば、無辜の民間人を無用に巻き込む攻撃は、国際人道法の基本的な原則に反するものであり、正当化することはできないと考えております。

こうしたことも踏まえまして、我が国は、全ての当事者が、国際法に従って行動するということを一貫して求めてきております。
イスラエルに対しましても、これまで、ハマス等によるテロ攻撃を断固として非難する旨を伝えた上で、一般市民の保護の重要性、国際人道法を含む国際法に従った対応等を要請してきているところであります。

先般の日・イスラエル外相会談におきましても、私からコーヘン外相に、改めて直接お伝えをしたところでございます。

目下の最優先課題、これはガザ地区の人道状況の改善ということであります。
状況は、深刻化の一途をたどっておりまして、一般市民、とりわけ未来のある子供たち、また、女性や高齢者が被害に遭っているということに対しまして、大変心を痛めているところであります。
まずは、同地区の一般市民に必要な支援が行き届くよう、人道的休止、すなわち人道目的の戦闘の休止、及び、人道支援活動が可能な環境の確保、これをイスラエル側に求めるなど、様々な外交努力を行っているところであります。
こうした点につきましても、私からコーヘン外相に直接、お伝えをいたしました。

引き続き、刻一刻と動く現地情勢でございますので、そういったことも踏まえまして、関係国・国際機関等との間で意思疎通を行い、事態の早期の沈静化、また人道状況の改善等に向けまして、外交努力を粘り強く重ねてまいりたいと考えております。

2点目の御質問でございますが、ロシアによるウクライナ侵略については、ロシアが一方的にウクライナに侵攻し、ウクライナの主権と領土一体性を侵害しているものであります。
我が国も賛成いたしました、関連する国連総会決議におきましても、国連憲章第2条4に違反するものとされております。
ロシアによるウクライナ侵略が、武力の行使を禁ずる国際法の深刻な違反であるということにつきましては、これまで我が国や、また、G7を含む国際社会が述べてきたとおりでございます。

イスラエル閣僚による核兵器使用をめぐる発言

【パンオリエントニュース アズハリ記者】
(以下は英語にて発言)
ありがとうございます。

パン・オリエント・ニュースのカルドン・アズハリです。

イスラエル防衛当局者が、ガザに対する核兵器の使用を呼びかけた、と報じられました。
この脅しは、イスラエルが核兵器を持っていることを認めるものでした。
このような発言は、アラブや中東諸国が自衛のために核兵器を保有することを促すものです。
核兵器を使用すると脅したイスラエルを非難しますか?
イスラエルにNPT条約に署名するよう圧力をかけたり、北朝鮮と同じように制裁を科したりする予定はありますか。
ありがとうございました。

【上川外務大臣】
まず、御質問のイスラエルの閣僚の発言についてでありますが、報道につきましては承知しているところであります。
ネタニヤフ首相は、この同発言につきまして、現実からかけ離れている旨述べ、当該発言を行った閣僚を当面の間、閣議に出席させないこととしたと承知しております。

また、イスラエルは、既にCTBTに署名はしておりますが、批准はしていないと承知しておりまして、我が国の立場といたしましては、従来から様々な機会を捉えて、CTBTの発効促進を呼びかけておりまして、こういったことにつきましても、各国に署名批准を働きかけているところであります。

今のご質問につきましては、報道の中で承知しておりますけれども、それに対してのネタニヤフ首相の対応ということ、このことについて承知をしている状況であります。

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