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発達障がい|パニックの記録と次の作戦

 またパニックを起こした。
 5月12日あたりからなんとなく調子は悪く、言語化できないもやもやを抱えて過ごしていた。なんなんだこれは、と初の感情に戸惑いながらも、なんとか生活していた。「今日駄目かも」と毎日のように母にラインしながらも、結局1日も休まずに学校に行った。
 18日くらいから明確に調子を崩し始め、これはまずい、と友達に相談しまくり、一時的に回復したものの、20日は朝起きた瞬間「こりゃだめだ」と悟り、休むことに決めた。
 そのあと、確か昼の2時までこんこんと寝続け、2時過ぎにお昼ご飯を食べて、もう一度寝た。だんだん雲行きが怪しくなってきていた。
 それでも、月曜日の休息で溜めた力によって、その週もほかの日は授業に出た。ただ、「月曜日、欠席します」とメールした先生から帰ってきた返事が私の「すごく嫌なこと」に触れたことで母に泣きながら怒ったりはしていた。これは今でもメールを見返すとむかつくほどの怒りで、母曰く「ちょっと言葉が足りないだけで普通のメールだよ」とのことだが、信じられない(笑)。
 金曜日はすべて遠隔授業であり、学校に行かなくてよかったので、結局この日も1日寝ていた。
 このあたりからもう怪しかった。不安がむくむくと心を覆うような感覚。あれはどうしよう、これはどうしよう、と私の思考とは別に頭のどこかが心配している。コントロール不可の部分だけが暴走し始め、まともな頭は動かなくなっていく。

 結局その日の夜、一回目のパニックを起こした。「もう行きたくない」「楽しくない」「帰りたい」「もういやだ」というようなことを泣きながら母に訴えたように思う。その中で印象的だった言葉は「学校のための私になっている。私のための学校じゃないといけないのに。私が使われてる」というものだ。確かに、己の生活を学校に行くための準備時間として見ている節があった。
 母は「大学を辞めてもいいんだよ」と言ってくれる。私自身も、やめてもいいなとも思った。しかし、不安が強すぎる今は大学を辞めるという決断をするのも不安だし、自分で言うのもなんだが、この状態の己が大きな決断をするのは良くないだろうと思った。
 この日の結論としては、今、専門科目ふたつを担当している教員とわたしの相性が悪く、それが影響しているのだろうということになった。泣きつかれて寝た。

 次の日の夜もパニックを起こした。「頭が止まらないの!」と号泣しながら述べた。実際、私のパニックとは不安や焦りで脳が暴走し、ブレーキの利かない車のように走り続ける状態なので、その通りである。そこでは「辛かったらやめてもいいよというけど、辛いことから逃げてばかりではだめだとも言う。一体どの程度の辛さだったら逃げてもいいんだ」というようなことを言った。

 今回のパニックで思ったことは、「最近の自分が好きじゃない」ということだった。学校に行くために日常生活を使い、己の心をなだめすかす自分のことは好きじゃなかったし、全く理想と違っていた。それを「ずっとカチコチの私でおるねん。ふわふわに全然なれない」とパニック中の私は表現していた。常に外部からの攻撃に備え、やらねばならないことに身を固くしていることは疲れるし、己の心を削る。ほんとうはもう少し柔らかい自分でいたいのに、そうあれない辛さがあった。
 
 しばらく経った今の私の見解としては、今回パニックが出た理由は大きく分けて三つ。

 一つ目は、シンプルに疲れがたまっていたこと。これは二つ目とも密接な関係にあるが、心から休息できる時間がすごく少なくなっていたのだと思う(=ふわふわでいれなくなっていた)。また、担当教員との相性が悪く、余計に心理的な負担が増していたこともあげられる(=常に攻撃に備えたカチコチの私でいる時間が増えた)。

 二つ目は、メールのやりとりをする必要があること。授業を休んだ際、休んだ旨と課題についてメールのやりとりをするのだが、家にいても大学とつながっているという感覚は私にとって相当辛かったようである。家が心から休める場所ではなくなり、結果的に疲れを溜めた一つの要因になった。
 三つ目は、テストが控えていたこと。次の週にテストがあり、相性の悪い担当教員がこのテストの重要性について脅すように語るので、これが私の焦りにより拍車をかけていたように思う。

 パニックは、たぶん「焦り」と「疲れ」が合わさって起きる。「疲れ」だけならば対処できるようになってきたが、焦りと結びつくともうこれはだめだ。疲れが焦りを助長させ、頭がどんどん走っていき、さらに疲れ、……という最悪のループに入るのである。たぶん。そして、焦りを生むものは不安だ。だから不安を抱きにくい環境を整えることが効果的なのだと思う。

 今のところ、パニックを予防するための方法はこれまた三つほど思い浮かんでいる。

 その①、疲れを溜めない。単純明快な解決策であるが、意外とこれがむずかしい。

 その②、よくない形の焦りが現れていると思ったら薬を飲んで強制的に眠る。私はリスペリドンとエビリファイを頓服として出してもらっているが、リスペリドンを一錠飲むと12時間くらいは寝れるので、強制的に頭の機能を停止することができる。これは結構有効だが、なんとなく人間としてあんまり使いたくない手である。

 その③、「テスト勉強は気が向かなかったらしない」というマインドで生きる。定期テストの場合はこの限りではないが、小テストの場合、意外と成績を占める割合は多くないこと、また、課題をこなしていればある程度点数が取れることから、無理にやろうとしない。仮に勉強をしなかったことで、単位を落とすことになっても、それは縁がなかったと諦める。という、「なんとかなるさ思考」を導入すること。

 私は基本的に思い詰めるタイプの人間なので、③の思考を導入できるようになることが理想だと言えるだろう。

 どの項目にも言えることだが、「先に決めておく」というのが非常に大きな力を持つ。「不安」というのは基本的に未知の状況に対して抱くものであるし、焦りというのはなにかを迫られたときに強くなるものだから、事前に決めておくのはどちらにも有効なんだろう。

 具体的な解決策というか、作戦としては今のところ三つだ。
 一つ目、火曜日と金曜日以外は課題をしない。課題をする日を決めることで、それ以外の日は学校のことを考えないことができる(といいな)という作戦。

 二つ目、メールは母と共有する。大学からのメールアドレスを母と共有することで、私の余裕がないときは母が確認・返信できるようにする。

 三つ目、授業に出るたびに「出席」のスタンプを押す。大学の授業は基本的に四回までしか休めず、五回休んだら落単が決定する。だから、つい「あと三回しか休めない」「あと二回しか休めない」と思って不安になるので、11回出席したらよいと考えることにして、Excelで表を作り、出席するたびに「済」ハンコを押していくようにした。これは目に見える形で達成感が出るので、意外と嬉しい。

 これは、あくまでも今の作戦であって、改善の余地があると思えたり、不備を見つけたりしたらもちろん変更する。
 でも、「もう無理だ」「もう終わりだ」と思うのではなく、「どんな作戦がありえるだろうか?」と考えれるようになってきたのは大きな成長だと思う。

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