終わったなっていう瞬間

水曜日の午後、私は大学の授業を受けていた。

気が合うその人もその授業を受けていた。

私が公欠したため、1週間ぶりにその授業に行くと、
もう最終回の授業だった。

正直、その人には何度もご飯を断られていた。

希望的な話は一つもなかった。

これまでなんとかして話題を作ろうとしていたが、それも今日が最後だ。

でも、今日はとびっきりの話題があった。

それは文化祭の話題だった。

私とその人は同じ演劇サークルに入っている。

私が文化祭で脚本と演出をするので、その人に出演してほしい。
それがとびっきりの話題だった。

授業が早めに終了した。
いつものように、私はその人のもとへ向かった。

その瞬間、その人は後ろの人のほうを向いた。
どうやら同じ学部の人らしい。

今まで聞いたことのないくらい、生き生きした声だった。

おそらく、私の存在にも気づいていた。でも話は終わらなかった。

授業終わり、続々の周りの生徒が帰っていく。

気まずさで私の頭は、真っ白になった。

私はメモを取り出した。

用件だけ書いたメモをその人に渡してその場を去ることにした。

教室を出て、階段を上る私は目まいがした。

すべてが終わった。もうこれ以上のことはないのだ。

私はどこで過ちを犯してしまったのだろうか。



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