33.【読書と私】③本の読み方 スロー・リーディングの実践:能動的に取り組む学習参考書
この本を読もうと思ったのは、この記事がきっかけでした。
この記事の前に、u1…さんの他の記事から『スロー・リーディング』の話は聞いていた気がしますが、ここで紹介されて読もう!という気になりました。新聞の書評とか、雑誌で紹介されている本とか、読もうとメモをとったり検索するところまでは度々しても、日常に忙殺されてそうした本を読んだ試しがほとんどなかったところ、とうとう行動に至ったのです。今後の記事に続きますが、同じようなタイミングで平野啓一郎さんの別の本が気になったこともあり、これは平野啓一郎フェアだわ…と私の中で横断幕が掲げられました。
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思ってから実際読むまでにはかかったんですけどね。諸事情で落ち着いて読書する環境でなかったし、上記記事の日付をみても、2か月は過ぎてからでした。もう、読み始めまでがスローです。。。
さて、実際読んでみると、u1…さんが紹介記事の中に記した「甘美、あまい、美しい」という評よりは、すっきりとした赴きの丁寧な文章(イメージ作りすぎたかもしれない。それは小説の時かと自分の中におさめる)になるほど…と読み耽っていきます。
速読については「〇〇〇〇」(もしくは〇〇の〇〇)「〇〇のための読書」「〇〇〇を使わない読書」ときっぱり言っています。(※ネタバレ防止のためモザイクにします)
大江健三郎氏が説く「リリーディング」についても触れられています。リリーディングとは、ただ二度目に読むことではなくて、「構造の全体を視野に入れて読むこと」(大江氏著書よりの引用)とありました。確かに、試験問題によく出ていた文章、リリーディングしないと(リリーディング出来ても)難解だった… それは、この後さらに出てくる小林秀雄氏もそうだった。「受験にも役立つスロー・リーディング」早く出会いたかった…けど、平野氏は私よりも若干若い世代だから間に合わず。
本著は、基礎編・テクニック編・実践編からなっていて、実践編は「古今のテクストを読む」として近代現代、国内外の名作から筆者の著作を引用しての問いかけ、解説となっています。実践編に差しかかった時、それで「スロー・リーディングの方法」ってどんな方法!?と頭に残ってない自分を悟りさっそく、実践編よろしくさかのぼって読み返しです…。それにしても、読み返して改めて思うのは、文章の精緻さ。何度の繰り返し読みにも耐えられる吟味されつくした文章。
遡って読みながら、これがよくある参考書、特に「わかりやすい!」とか謳うようなものだったら、重要箇所が大きく見出しになってたり、カラーになってたり、枠で囲まれてたり、チャート化してるだろうな…いや、この内容をそういう形で表すこともできなくないということが頭をよぎります。
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実際の本著は、細かい見出しや部分的に太字の表現が親切にあるものの、もちろん文章のみ。自分で考えながら読み取っていくことになります。スロー・リーディング必須の参考書です。自分で書き込みながら自分でチャート化していく用になっている…そう仕掛けられているのでしょうか。
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仕事上、研修講義を受ける機会がオンラインも含めて(コロナ以降その点はいい時代になったと思います)あり、今や資料はほとんどがパワーポイントのものでそれは便利だと思っています。そんな中、「自分はパワーポイントは合わなくて…」とレジュメ(要旨のかなりの長文資料)を出してきた講師の先生のことをふと思い出しました。また、その内容が濃かった。パワーポイントが速読術と言いたいわけではないですけどね。
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本に書き込みするなんて、教科書やゼミで読んだ本くらいだわ…と、手持ちの本に書き込みするのはどことなく憚られる気がしますが(ブックオフ持っていきたいばかりでなく)高橋源一郎氏はきちんと机について、赤線を引きながら読むという話も出ていました。DaiGoも書き込みしたり、付箋したりしてたような…有識者がそうしてるのだから、凡人が眺めるような読書していてもつかめるものはないですよね。
40代で記憶の低下を感じてきて、メモを活用して予定を考えていくのが仕事の向上につながったように、アララフィフの今からは、書き込みでより深い内容理解につとめていこうかと思いました。
そして、この本は、然るべくというか、後日、平野啓一郎氏の小説を読む時に、そのエッセンスが発揮されました。
『本の読み方 スロー・リーディングの実践』平野啓一郎
2006/2019(文庫)
📚他に読んだ本
『私とは何か「個人」から「分人」へ』2012
『マチネの終わりに』2016
『本心』2021
『死刑について』2022
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