たけのこbot

不定期でたけのこをお知らせします(未成人)

たけのこbot

不定期でたけのこをお知らせします(未成人)

最近の記事

短編 筋少と傘なおし

私は今傘をなおしている これはいつもやっていることじゃない だからこんなに手こずっている 昨日の夜の雨は予報よりひどくなった だからびしょびしょになって帰った 4月にあんな寒い思いをするなんて 折り畳み傘の存在なんて無かったかのように 全身ずぶ濡れで家に着いて その状況がおかしくて玄関で一人で笑った 寝て起きて貴重な休日を過ごして 玄関で半開きにしておいた折り畳み傘が乾き 私はそれを畳もうとした 一度畳んでみると 傘の布が一箇所変に飛び出ている 開いてまた畳み直す

    • 短編 伸び(1095文字)

      小中学校と怒涛だった背の伸びはもう完全に止まったのに、毎日毎日喉仏の右隣、剃りずらい所でヒゲは伸びている。 にもかかわらず、あらゆる場面での成績というものは伸び悩んでいる。 切り餅を4個、オーブントースターに入れる。 朝5時43分、試合のある日の朝は餅とうどん。 小学生の時からずっと変えていない。 水と、酒とみりんと白だしと麺つゆと砂糖を、鍋に入れ火にかけ、沸いたタイミングでちょうど温まった冷凍うどんをレンジから取り出し、入れる。うどんを煮て、焼け上がった餅も後から入れて煮

      • 短編 床屋

        実家から最寄駅までの道の途中にある床屋「コロン」 くたびれた私服姿の爺さんが、くたびれた髪の爺さんの散髪をしているのを何度か目撃したことがある。ハサミを持っているのが婆さんの時もあった。 私はある時、ここに入ってみた。興味と、もうじき地元を離れることになっていたので、次戻ってくる時にまだ営まれているか確証が持てなかったからだ。 いつもの美容院に行く格好で、駅に向かわず、例の店に入った。 やたら良い音で鈴が鳴り、開いた扉の隙間から古い建物の臭いがした。そしてその臭いのよう

        • 自分の目が小さいかどうか知る方法(449文字)たけのこbot

          もし自分の目が小さいかどうか知りたかったら 誰かとの会話の途中で突然 「誰の目が小さいだ」と言ってみましょう この時なるべく親しい間柄の人との会話の方が結果が正確です 「いや誰も言ってねぇよw」と答えられたら あなたの目は小さいです 他にも「誰の足が短いだ」など応用も出来ます 例えば阿部寛が私の目は小さいなんて言っても何を言っているんだこの人はとしか思わないでしょう 「誰も言ってねぇよw」には「それは周知の事実ではあるが今この瞬間においては誰も口にはしていない」

        短編 筋少と傘なおし

          短編 手羽先を見ると (3392文字)

          鍋が美味しい季節になって、手羽先と出くわす回数も増えた。今日はどうやら塩ちゃんこらしく、私は柚子胡椒を冷蔵庫に取りに行った。 手羽先は昔から好物だし、作ってもらってる立場なのだから文句なんて言わない。 ただ、そのやわらかく調理された手羽先の肉を骨から外し、食べ、関節を外し軟骨を食べる。 その感触を指と口で感じれば感じるほど、須田のことを思い出してしまう。 高校3年の冬、クラスメイト達が部屋の中で受験勉強に追われている中で、我々サッカー部だけはいつもグラウンドに居た。

          短編 手羽先を見ると (3392文字)

          たけのこbot はやっぱり

          noteを始めた理由は、文を作る練習がしたかったからであって、短編を書くためでは無い。というのが最近定番の言い訳になってしまった。 実際はバリバリ影響を受けて始めたのであって。自分の中で完結させておいた方が後の身のためであるような物が死ぬほど出てくるんだろうなぁとやはり早い段階で思ったわけで。だから誰にも言ってないのであって。だから言い訳を吐く相手も自分しか居ないわけであって。 ただまぁ、本読んでるとやっぱりやってみたくなると言いますか、出来てしまうのではないかと思ってし

          たけのこbot はやっぱり

          たけのこbot の幼少期「脅し文句」

          お前は実は川から拾った子なんだ、という脅し文句が世の中にはあるそうで。これがなかなか怖がる子は怖がるそうで。私はそんな事言われたこと無かったので、小さい頃の自分がどんな風に感じるのかはわからないです。なんせあそこまで何も考えずに行動出来る天性の脳みそを持っていた頃の記憶なんて全くありませんので。かの室伏広治のようにどちらかと言うとおさるのジョージ寄りの遺伝子を持っていたのでしょう。今も身体のどこかに眠っているのかと思うと自分も捨てたもんじゃないなと思えます。 そんなだったので

          たけのこbot の幼少期「脅し文句」