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100倍、身につく国語力(79)帰国子女篇

❤小~高校生と,母親向けのレッスン
(1年間で国語力の悩みが解決できる!)

帰国子女編 ①
 
【帰国子女の言語感覚】
(1) 帰国子女の受け入れ問題
 現在では、「帰国子女」という言葉は
しっかり市民権を得、だれでも理解でき
るようですが、今から約50年前の昭和
50(1775)年頃は、まだ目新しい表現とし
て扱われ、世間に登場したばかりの新語
でした。
 
 私は当時名古屋のN学園で、帰国子女
の担当教師として、今ではとても考えら
れないような出来事を多く経験し、毎日
その指導に忙殺されていました。今にし
て思えば、実際の教育現場での経験が
なつかしくさえ思われるのです。

 そこで、それを日本で育った普通の
日本人に対して、海外滞在の経験のある
日本人が、国語を学ぶ上でどのような
問題を抱えていたかを、わかりやす説明
したいと思います。
 
 帰国子女というは、日本の高度経済
成長にともない、海外駐在員が激増した
中で、親と一緒に海外に出た子どもたち
が、日本に帰国した生徒のことを意味
していました。
しかし、子どもたちは
海外に数年間滞在後に帰国すると、日本
語力や国語力の不足から大学や高校受験
にも困難に帳面し、社会問題にもなって
いったのです。

 そのような時期に、私は社会人からの
出戻(でもど)りで、ちょうど大学院を終
えた30代前半の年齢でしたが、名古屋の
N学園に縁あって、帰国子女の教育を
担当することになりました。実際子ども
たちに接してみると、日本語や日本文化
から遠ざかる海外の生活空間にあって、
普通の日本人のように、日本語能力を
維持することの難しさを感じたものです。
 
 まず、帰国子女といっても、海外での
生徒の教育環境は様々なため、帰国後の
指導は個々に対応する必要があります。
ところが、日本の教育現場は一斉指導が
前提となっているので、帰国子女の個別
指導には、学校も教師もとても対応しき
れないという実情がありました
。これが
帰国子女の適応教育に問題を起こす主な
原因となっていました。
 
 さらに、それに拍車をかけたのは普通
の日本人にとって、「帰国子女は外国で
いい思いをして来た」という先入観が
あり、何も特別の指導などは必要ないと
いう考え方が主流だった
のです。そのた
め、帰国子女は普通クラスに編入され、
ひどいときは外国人扱いされる始末で、
精神的にも苦労が絶えなかったのです。
 
 事実、ある中1男子の日記に、「どう
して、みんな僕をジロジロ見るんだ。僕
は普通の日本人だ。僕は外国人なんか
じゃないんだよ。もう英語なんか絶対に
しゃべってやらないから!
」と書いて、
自分の気持ちを訴えているのがありまし
た。

ネットのイラストから転載


 
 当時は今のように、だれもが自由に
外国に行ける時代ではなかったので、
他の生徒から羨(うらや)ましがられる
ところがあったかも知れません。だから、
はじめは外国帰りの子が珍しく、「英語、
ペラペラだろ、しゃべって、しゃべっ
て」と頼まれると、ついそれに応じて
いたのが、次第に新鮮さも薄れると無視
されるようになり、しまいにはイジメの
対象というパターンになったのです。
 
 ここで考えなければならない点は、
外国語とはいえ、英語圏だけの帰国子女
ばかりではないのですが、他の言語圏の
帰国子女はどう対応したのか、少し考え
ても難しい状況だと想像できるのでは
ないでしょうか。
 
 そんな時代からみれば、今では、毎年
1万人以上(ただ、ここ最近は減少傾向
にあるが)もの帰国子女が帰国しており、
生徒も多くの学校で受け入れ体制が整い、
特別に受け入れててもらえるようになっ
たのです。

 ❤これは、まさに隔世の観があり
  ます。これは文部科学省が率先
  して受入れ校の充実を図り、国
  の政策的なバックアップも大き
  かったといえるからです。
 
アナミズ (2024.05.01)
 
 
 
 

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