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インプレゾンビ、存在論的怪物、さ、腎臓、こ、ま、生存不可能性リトマス試験紙、本と酒は俺を裏切らない、

三月二六日

感受性とはね、あらゆる美徳の根源であるように、あらゆる悪徳の根源でもあるのよ。大泥棒カルトゥシュを断頭台へ導いたのも感受性であれば、善行の年代記にティトゥスの名前を金文字で銘記したのも感受性だわ。あたしたちが美徳に身を捧げるのも、感受性にみちていればこそであるし、あたしたちが大悪を犯すことを好むのも、やはり同様、感受性にみちていればこそなのよ。

マルキ・ド・サド『悪徳の栄え(上)』「クレアウィル夫人のこと」(澁澤龍彦・訳 河出書房新社)

午後十二時十二分。日清チョコフレーク、紅茶。できれば午前十一時半には紅茶の湯を沸かしていたい。でないとまたずるずると起床時間が遅れて昼夜逆転してしまう。昼夜逆転するとますます怪物的になってしまう。「早朝覚醒」とでも呼ぶべきものにさいきん見舞われやすい。また寝ようとしても手足がムズムズして寝られない。安眠まで奪われた抑鬱人間は白昼なにをするか分からないぞ。読みおえた本もないので書くことがない。ほとんど期待もされていないのにどんな日も1000文字以上の散文を書くというのは大変なことだ。こんな愚行は俺だから出来ているんだ。今日の読売新聞の一面には「二階氏 衆院戦出馬せず」。自分とは無限に縁遠い誰か。その絶大らしい権力とは不似合いのあのおちょぼ口を見ていると生きるのがますます嫌になる。まだマリアナ海溝にいる生物とのほうが仲よくなれそうだ。俺は死ぬまで投票所には行かないだろう。同新聞の連載記事「情報偏食 ゆがむ認知」はなかなか踏み込んでいて面白い。一月の能登地震のさいに偽情報がSNS上におびただしく出回ったが、そのほとんが海外(10か国以上)から発信されたものだという。人目を引きやすい偽情報でインプレッション(閲覧数)を稼いで広告収入を得るためだ。SNSは結果的にこんなゴミみたいな連中をも膨大に生み出してしまった。連載担当記者は能登地震でも「インプ稼ぎ」をしていたパキスタンの男と直接連絡をとり取材している。なんと顔出しだ。インタビューに際して相当の謝礼金を用意したんだろう。

アリ氏は大学卒業後、18年間公務員を務めた。親族約10人で暮らし、生活は安定していたが、医師を目指す長男(16)のため、さらに稼ぐ必要があった。

読売新聞(日刊)2024年3月25日

生活に窮した末じゃないのかよ。息子を出世させるためか。しかもこの男は「これからも投稿を続け、お金をもうけたい」といけしゃあしゃあと語る。こういう「我が子のため」とか「妻子を養うため」なんて言いたがるやつにはだいたいろくなやつがいない。「家族というのはなんて不潔なんだ」と思わずにはいられない。もっともこの種の問題のうちに「われわれ」は「南北問題」をも見なければならない。記事のなかでは、「途上国の貧困層にとって、Ⅹからの収益はうまくいけば一家を養う金額になる」という学者の言葉が紹介されている。「インプレゾンビ」という言葉を私はこんかいはじめて知った。X(Twitter)などで「バズッた投稿」に無内容なリプライを繰り返す収益目的のアカウントのことなどを指すと言う。俺はnoteしかやっていないのでそのへんのことには疎い。noteにもスパムアカウントみたいのが蔓延っているから一掃してほしいんだけどね。利鎌で草を薙ぐように。あんなクソみたいなアカウントが跋扈し俺の優良アカウントがこんなに閑散としているなんて許せん!

ひじょうに空しくなってきたのでやがてベーコンエッグと十六穀ごはんを食って孤独な俺をいつも温かく迎えてくれる図書館に行くとしよう。外は雨降り。怪物くんに踏みつぶされたい。きらきら光る暗黒の未来。絶滅危惧種ホモ・サピエンス。仁義なき引きこもり。さなだむしふせいん。

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