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学会遠征編ショート版 第16話 ビジネスホテル

ホテルに戻って

 ホテルに帰る道で、別のバーを見つけた。いや、さすがに寄らない。鍋屋もあったが、お腹いっぱいだ。帰ってきたのは21時より少し前。まだまだ早いと言えば確かにそうだが、22時から彼女と電話する約束をしていたのでもうお風呂に入ることにした。その前に洗濯でもしようかと一度1Fに降りたが、すべて使用中だった。ホテルの向かいに銭湯もあったが、今回は行かないことにした。ホテルのユニットバス、通称ユニバで十分だ。少しでも疲れをとるために湯船につかることにした。出た後に風呂掃除をしなくていいというのは気が楽である。とはいえ、できる限り雑なホテルの使い方はしないように心掛けた。僕にだって最低限の良識くらいはある。お風呂を上がり、備え付けの浴衣を着て再度洗濯機へ。幸い一つ空いていたので、使用権を得る。こうして22時になったので電話をかけた。彼女は、僕と同じタイミングで実家の札幌に帰っていた。そのため、今僕のいる徳島と違ってかなり寒いところにいるということである。実際どれくらいなのかと聞いてみたら、全然寒くないと言っていたので、気温はどれくらいなのか尋ねてみたら、3℃だった。道民をなめていた。確かに、彼女は普段から10℃の外ではマフラーひとつしないくらいには丈夫なので、氷点下を下回らなければ問題ないという認識なのだろう。電話の途中で洗濯物の回収などもしながら、お互いのここまでの道のりについて語り合った。向こうは近日中に地元の友達と会ったりするらしく、春休みを満喫していそうである。楽譜が読めるそうなのでドイツ館で撮った楽譜を見せてみたら、だいたいわかったという。タイトルが見えていたからかもしれないが、本格的な楽器の経験がない僕にとっては読めるだけですごいと思う。こうして2時間くらい喋ったところで、明日に備えて寝ることにした。明日も早起きするからだ。明日は、夕方に明石に行くことは確定している。そこで父親が単身赴任しているのだが、いったんそこで荷物を預かってもらうためだ。16時に会うとしたら、それまで何をしようか。香川方面に行くと遠回りになりすぎて時間が間に合わない。早めに本州についたとしても、姫路まで行くのも行き過ぎである。さて、どうしたものか。4日目に続く。

おまけ

13日の近鉄で、りんごは15日に学会主催の施設見学会と懇親会に行くと言っていた。直属の先輩から研究の引継ぎを行うためについて回るのだという。その先輩は3月をもって卒業となるのでチャンスはこの時しかないとは言うが、先輩からすればいい迷惑だろう。その僕は先輩との面識もあるので会う機会を設けてもよかったが、イベントが1日拘束されそうなので申し込まなかった。後日感想を聞いたら、懇親会ではありとあらゆる先生たちが踊り狂っていたと言っていた。確かに、ここは阿呆になる土地である。

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