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御朱印GIRLS〜第二幕ノ小咄〜

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カクヨムで公開中の作品・御朱印GIRLSシリーズ2のこぼれ話です。オチがついたあとの話だったり、本編には関係ないから省いた話だったりを、残していきます(ФωФ)ノ"
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注意散漫ガール。

注意散漫ガール。

 
「袋、1つにします?」
「ほんま?」

 歩き回ることを前提にしてコンパクトにした手荷物に、授与品が収まる隙間はなく、4人はそれぞれに買い物袋を持つことになった。
 それを小幸は1つにまとめてくれるという。
 
「ええの? 助かるー」
「私、持つよ?」
「いいえ、今回は私が。写真撮ってもらいましたから」

 遠慮がちな未沙とは違って、小幸と幼なじみの2人は、何のためらいもなく自身の荷物を小幸に

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撮影は行儀良く。

撮影は行儀良く。

「撮影が終わりましたら、次の方に代わってください。ここで立ち止まらないでください」

 有名な橋の上。
 警備服のおじさんが、観光客に向けて声を上げていた。

「ここ、有名な撮影スポットなんですよ。確か、通天橋言いますねん」
「ほな、行ってこい!撮影隊」
「アイサー」
「アイサーって古ない?」

 未侑と未沙が人込みに紛れて撮影している間、奈々枝と小幸の2人は人混みのはずれに見つけた隙間から紅葉を

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観光地で笑われる。

観光地で笑われる。

「今日は曇天やから、よう見えへんかもしれへんね」

 田舎のマチュピチュにて、祖母は言う。
 あいにくの曇天。うっすら雲どころではない、重く暑苦しい灰色が視界を埋める。
 祖母の言う通り、マチュピチュはどこにも見当たらない。

「ズームしたら、良いんちゃう?」

 スマホを掲げて、ピントを合わせてみる。
 ……。

「もろ日本家屋」
「当たり前やろ」

 弟に爆笑された。