かかさん

ソーシャルワーカー、ケアマネージャーに続き、図書館司書の勉強をしています。 自分自身の…

かかさん

ソーシャルワーカー、ケアマネージャーに続き、図書館司書の勉強をしています。 自分自身の読書録も兼ねて、論文等を紹介しています。 gooブログもしています⇒https://blog.goo.ne.jp/naonao0706

最近の記事

「成年後見人と医療・介護従事者との合意形成における現状と課題」永野叙子(2022)『社会福祉学』第63巻第4号

副題:身寄りのない認知症高齢者の医療合意に焦点をあてて 第三者後見人への半構造化面接調査を実施し、語りを丁寧に分析している。面接対象者は1名であるため一般化するには限界があるとは思うが、先行研究をうまく活用し、リアルな現状と具体的な課題を提起している。 <引用> ・多くの場合、後見人は専門的な医療知識を持ち合わせていないため、医療の選択では医療従事者によるエビデンスに基づいた医療的情報に委ねざるを得ない実情がある。本事例では後見人と医療従事者との間には医学的情報の格差がみ

    • 「自殺企図後のうつ病患者の企図前・後における感情および状況の分析」長田泰子、長谷川雅美(2013)

      副題:ナラティブ・アプローチによる語りから 『日本精神保健看護学会誌』 Vol.22 No.1 <概要>自殺企図後のうつ病患者(11名)を対象に、非構造化インタビューを実施。自殺企図前後の感情と状況を丁寧に分析し、まとめている。 <引用> ・本研究における「自殺企図」の定義…「自殺とはどういう行為かを知っている者が、自らの意志で死を求め、致死的な手段・方法を用いて自らの命を絶とうとすること」 ・インタビュー結果より。自殺に至るまでの感情 【生への絶望感】<病気がよくならな

      • 「一般市民への老衰死に関するインターネット調査」今永光彦、外山哲也(2021)『日本在宅医療連合学会誌』第2巻・第2号

        インターネット調査を実施しその結果を用いて、一般市民は「老衰死」についてどのようなイメージを抱くかを論じている。 <引用> ・「老衰と死亡診断されるのに妥当だと感じる年齢の目安について」は、90歳以上が最多で、次いで85歳以上、95歳以上であった。 ・先行研究を提示し…上記と同様の質問において、「年齢的な目安はない」が最も多く、次いで80歳以上、85歳以上、90歳以上であった。 ・死に対する否定的態度である「死からの回避」のスコアが高いと、有意に老衰を志望診断時の死因として

        • 「ケアプラン作成支援AIを活用したケアマネジメントの展望」西口周(2023)『日本在宅ケア学会誌』Vol.27 No.1

          ケマプラン作成業務について、AIが支援できる可能性について紹介している。すでに何段階かの検証は済んでいるとのことで、現実味を帯びた取り組みであることが分かる。 <引用> ・AIを活用してケアプラン第2表原案を作成することで、第2表原案作成時間が3~4割短縮された。また、約6~7割のケアマネージャーが業務負担軽減や新たな気づきの獲得を実感した。 ・AIはケアマネジメントの一部を代替し専門職を支援するという位置づけであり、ケアマネジメントにおける専門職としての価値は変わらない。

        「成年後見人と医療・介護従事者との合意形成における現状と課題」永野叙子(2022)『社会福祉学』第63巻第4号

        • 「自殺企図後のうつ病患者の企図前・後における感情および状況の分析」長田泰子、長谷川雅美(2013)

        • 「一般市民への老衰死に関するインターネット調査」今永光彦、外山哲也(2021)『日本在宅医療連合学会誌』第2巻・第2号

        • 「ケアプラン作成支援AIを活用したケアマネジメントの展望」西口周(2023)『日本在宅ケア学会誌』Vol.27 No.1

          「独居高齢者の自己決定権に基づいた退院支援の一考察」福田順子、他(2018)『日本看護倫理学会誌』

          1事例を深く掘り下げた実践報告論文。自己決定について、丁寧に説明されている。 <引用> ・介護に対する思考にはジェンダー差が存在し、女性特有の「介護の現実思考」と男性特有の「家族一体規範」があること、そして、両者の視点がよりよい形での「家族一体」を作り上げ、高齢者の自己決定をサポートする一助となることが示唆された。 <つぶやき> 本論文内には、「傾聴」「自己決定」「尊厳」という言葉がよく登場する。病棟看護師としての専門性(立場)を退院支援にいかに生かすか、その“もがき”、

          「独居高齢者の自己決定権に基づいた退院支援の一考察」福田順子、他(2018)『日本看護倫理学会誌』

          「在日コリアン高齢者の福祉アクセシビリティ」木下麗子(2014)『ソーシャルワーク学会誌』第29号

          副題:地域包括支援センターによる夜間中学校へのアウトリーチ実践から 在日コリアン高齢者の福祉アクセシビリティについて、阻害要因、促進要因の分析を行い、その構造と構成要素を明らかにしている。調査対象者は、夜間中学校と地域包括支援センターの職員(インタビュー調査)、夜間中学校の生徒(量的調査)としている。 *管理者:注)アクセシビリティとは?  →高齢の方や障害をもっておられる方などを含め、誰でも必要とする情報 に簡単にたどりつけ、提供されている情報や機能を利用できること意味

          「在日コリアン高齢者の福祉アクセシビリティ」木下麗子(2014)『ソーシャルワーク学会誌』第29号

          「やがて訪れる春のために」はらだみずき(新潮文庫)

          表紙のうつくしさに魅かれて手に取った。読み物として秀悦でありながらも、認知症ケアにたずさわる者として、「症状」から人を見るのではなく、「人」をまず見たうえで、その人をとりまく環境やしんどさを見ていくことの大切さに気付かされた。 <引用> 認知症と診断されたハルが娘に向けて…「だれだって忘れることはあるでしょ」「じゃあ、あなたは忘れたことがないの?」「忘れることはそんなにわるいこと?」 <つぶやき> 一人暮らしの家に、「あの子が来るから」と言う。 ●●さんのおすすめの物が欲

          「やがて訪れる春のために」はらだみずき(新潮文庫)

          「人生の最終段階に向けた医療・ケアの話し合い経験の関連要因ー埼玉県A市における横断的調査の結果から―」山口乃生子、他(2023)

          『日本エンドオブライフケア学会誌』Vol.7,No.1 <概要> 死が間近に迫ったとき、もしくは意思表示ができない状態になったとき。そんな「もしも」の時に備えて、家族間で話し合いをしているのか? もししているのであれば、何がきっかけとなって話し合いをしたのか等の要因を明確にすることを目的としている。 調査方法は、20代から80代以上の地域住民を対象とした質問紙調査である。 *本研究における「もしも」の時の定義、「例えば事故や病気などで死が近い時、あるいは自分の意思を誰かに

          「人生の最終段階に向けた医療・ケアの話し合い経験の関連要因ー埼玉県A市における横断的調査の結果から―」山口乃生子、他(2023)

          「在宅療養支援診療所における相談支援・連携業務の多面性とその実践状況:社会福祉専門職の特徴分析」西岡大輔、他(2022)

          『日本在宅医療連合学会誌』第3巻・第4号 <概要> 在宅療養支援診療所において、相談連携担当者が関わる重要な業務の多面性とその種類を統計的に抽出することを目的としている。さらに、社会福祉専門職が果たしている役割と可能性に関して検討している。 <引用> ・相談連携担当者が社会福祉専門職である場合に、地域活動業務や連携業務、スペシフィックな支援業務が重要と認識され取り組まれやすいこと、医事関連業務が実践されにくい傾向があることが計量的に明らかになった。 <つぶやき> 本研究

          「在宅療養支援診療所における相談支援・連携業務の多面性とその実践状況:社会福祉専門職の特徴分析」西岡大輔、他(2022)

          「自治体の保健師に求められるジェネラリストとしての専門性-チームで対応した事例による考察-」崎村詩織(2018)

          『保健医療科学』2018 Vo.l67 No.4 <概要> 保健師の専門性のひとつとして、ジェネラリストとしての側面があるということを事例を通して考察している。活動実態が見えにくい、自治体の保健師の活動について、分かりやすく紹介している。  *管理人 注:ジェネラリストとは?幅広い知識を持つ人のこと。 <引用> ・保健師が事例のケースマネージャーを担った理由を考察すると、保健師は公務員かつ専門職という立場であるため、事例および関係機関から、高い信頼性を得られたためではな

          「自治体の保健師に求められるジェネラリストとしての専門性-チームで対応した事例による考察-」崎村詩織(2018)

          「地域包括支援センター保健師の専門性に関する研究ーテキストマイニング分析を用いた内容分析からー」古賀佳代子、他(2020)『日農医誌 68巻5号 2020.1』

          <概要> 地域包括支援保健師の専門性を明らかにするため、半構成的面接法を用いて調査している。 <引用> ・地域包括には3つの職種が配置されており、保健師は保健医療、社会福祉 士はソーシャルワーク、主任介護支援専門員はケアマネジメント等、専門性を発揮することが期待されている。 ・今回のインタビューから、住民の生活に入り込み医療的知識を活用しながら予防的に関わり、包括的に保健指導を行うことが求められていた。 ・(調査結果から)地域包括保健師の専門性として、「相談を受け、関係性を

          「地域包括支援センター保健師の専門性に関する研究ーテキストマイニング分析を用いた内容分析からー」古賀佳代子、他(2020)『日農医誌 68巻5号 2020.1』

          「がん闘病中の夫婦のコミュニケーションにおける困難-話題にしづらかった内容とその背景要因ー」鈴木いつ花(2019)『家族心理学研究』第32巻 第2号

          <概要> 夫(妻)をがんで亡くした配偶者を対象に、インタビュー調査を実施。その結果を踏まえ、がん闘病中の夫(妻)を抱える配偶者を支援する際の視点を考察している。 <引用> ・がん闘病中の夫婦の間には、互いに察したり配慮したりするが故に齟齬が生じてしまうという、周囲からは捉えにくい複雑なコミュニケーションが存在していることが示唆された。 ・配偶者は、自分自身が夫(妻)のがんを受け入れることと同時に、夫(妻)のがんの体験過程を理解しようとしており、二重の過程があると言える。

          「がん闘病中の夫婦のコミュニケーションにおける困難-話題にしづらかった内容とその背景要因ー」鈴木いつ花(2019)『家族心理学研究』第32巻 第2号

          「終末期がん患者の看取り時に死の文化的特性である ヌジファを取り入れた家族ケア」謝花小百合 、大城真理子ら(2022)『沖縄県立看護大学紀要第23号』

          <概要> 終末期がん患者の看取りを経験した看護師を対象に、インタビュー調査を実施。沖縄独自の文化的特性を取り入れた看取り支援について、考察を深めている。死を取り巻くことについて、地域ごとの特性があることをあらためて知らされた。また、インタビュー解答には具体的な様式が紹介されており、大変興味深い。 <引用> ・沖縄では、病院で患者が亡くなると身体を離れたマブイ(霊魂)が、亡くなった病室に残り、成仏できないと 信じられている。民間信仰において、人が自分の家以外の場所で亡くなると

          「終末期がん患者の看取り時に死の文化的特性である ヌジファを取り入れた家族ケア」謝花小百合 、大城真理子ら(2022)『沖縄県立看護大学紀要第23号』

          「死が近い高齢者をケアする際の葛藤:ケアスタッフが僧侶と研究者に語ったこと」岡村毅、小川有閑ら(2021)『日本老年医学会雑誌』58巻1号

          僧侶と研究者の共同研究。終末期ケアに従事する介護職、看護職らを対象に調査を実施している。 宗教者に対する期待、医療機関に対する失望など、率直な言葉が印象的である。 <引用> (インタビュー調査、発言要旨より) ・かつては施設での看取りは考えられなかった。ただでさえ、自転車操業な大忙しの毎日の中の片手間としてやっている。片手間でやっちゃいけないことを片手間としてやらざるを得ない今の職場環境はつらい。 ・本人が求めているものにこたえられる何かを宗教者は持っていると思う。 ・入退

          「死が近い高齢者をケアする際の葛藤:ケアスタッフが僧侶と研究者に語ったこと」岡村毅、小川有閑ら(2021)『日本老年医学会雑誌』58巻1号

          『死者の力 津波被災地「霊的体験」の死生学』高橋原、堀江宗正(2021)岩波書店

          被災地住民と宗教者への聞き取りに基づいた、調査研究をまとめている。 宗教者が真摯に住民に寄り添う姿が読み取れる。 <引用> ・「悲しみや苦しみを一皮ずつ剥いていく」のが宗教者の役割であり、葬式   の機能なのではないか。 ・霊にまつわる相談に対する宮城県の宗教者たちの対応  →宗教者の多くが「心霊現象」に対して合理的、あるいは心理学的に理解   しているにもかかわらず、「幽霊を見た」「霊に取り憑かれている」と     いった相談者の主張を頭ごなしに否定せず、受容するとい

          『死者の力 津波被災地「霊的体験」の死生学』高橋原、堀江宗正(2021)岩波書店

          「図書館員の世代交代と非専門職化の影響」松本ゆかり(2022)

          『薬学図書館』67(3) 大学図書館の司書による論文。専門職員が継続して雇用されなくなることを危惧し、そのメリットとデメリットを提示している。司書のみならず、他の専門職種にも通じる点が多くあると感じた。 <引用> ・世代交代のメリット:  業務の見直しが進む、新しい取組が生まれる、マニュアル化が進む ・世代交代のデメリット:  昔のことが分からなくなる(図書館業務のスパンは長い!)、目録作成等    基本的な経験が抜けてしまう、非常勤・委託職員への指導力が不足する

          「図書館員の世代交代と非専門職化の影響」松本ゆかり(2022)