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「図書館員の世代交代と非専門職化の影響」松本ゆかり(2022)

『薬学図書館』67(3)
大学図書館の司書による論文。専門職員が継続して雇用されなくなることを危惧し、そのメリットとデメリットを提示している。司書のみならず、他の専門職種にも通じる点が多くあると感じた。

 <引用>

・世代交代のメリット:
 業務の見直しが進む、新しい取組が生まれる、マニュアル化が進む

・世代交代のデメリット:
 昔のことが分からなくなる(図書館業務のスパンは長い!)、目録作成等  
 基本的な経験が抜けてしまう、非常勤・委託職員への指導力が不足する

・非専門職化のメリット:
 大学全体の業務の流れが見える・視野が広がる他部署のやり方を学べる(業務の見直し、効率化)、学内の繋がりができる

・非専門職化のデメリット:
 研修が終わったころに異動、キャリア形成が難しい、倫理的・法的な知識 
 不足の恐れ、将来像を考える人材の不足

・専門職というのは学び続けることを前提とした職種であり、図書館員は常に情報収集をしていることを前提とされている

 

<つぶやき>
 財政的に維持が困難であるから、安価の対応で人材を確保する。この流れはどの業界でも起こっている(起こりうる)ことである。
しかしその対応はもたらす弊害は、長期的に見れば取り返しのつかないことにもなりかねない。専門職者が誇りをもってキャリアを積んでいけるよう、自身の努力ももちろんであるが、組織(環境)の整備も必須であると考えさせられた。
現役の大学職員がよくぞここまで書き切ったと、その勇気に敬意を表したい。

 

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