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「在日コリアン高齢者の福祉アクセシビリティ」木下麗子(2014)『ソーシャルワーク学会誌』第29号

副題:地域包括支援センターによる夜間中学校へのアウトリーチ実践から

 在日コリアン高齢者の福祉アクセシビリティについて、阻害要因、促進要因の分析を行い、その構造と構成要素を明らかにしている。調査対象者は、夜間中学校と地域包括支援センターの職員(インタビュー調査)、夜間中学校の生徒(量的調査)としている。
*管理者:注)アクセシビリティとは?
 →高齢の方や障害をもっておられる方などを含め、誰でも必要とする情報 に簡単にたどりつけ、提供されている情報や機能を利用できること意味する(国立障害者リハビリテーションセンターHPより)

 <引用>
阻害要因:
・区役所の人たちも地域包括支援センターのことが何なのか分かっていない。
・役所への問い合わせで主訴が伝わらず認知症と勘違いされることや色々な所を回されるケースが未だに多い。
・住所を書くのが難しいから区役所へ行くのはハードルが高い。
・病院の先生、学校の先生が難しいことを言われると、耳が遠いこともある「うんうん」というけれど本当は分かっていない場合があり、どの病院に行っていいのか分からないという相談もある。・・・など

促進要因:
・申請の手続きには手助けが絶対にいる。個別訪問などで申請の手助けをしてもらう、というのが理想。
・マイノリティの人たちに対しての人権は常に意識をしなければならない。そこに格差があることを認めないから逆差別という発想になる。
・連携は個人の力とは違う大きな力となる。

 
<つぶやき>
マイノリティの人たちに対する働きかけは、点ではなく、線ではないといけないことは周知の事実である。この働きかけは時間も労力も必要となる。できれば関わりたくないという雰囲気は、あくまで個人的な印象であるが、行政機関に色濃く残っていると体感している。
そしてこれもまたあくまで個人的な印象であるが、在日コリアン高齢者は、とても陽気で人懐っこい。こちらが話をすると、何倍にも返して反応してくれる。
でも本論文を通して、これはもしかしたら「つないだきっかけを離したくない」という必死の表現なのかもしれない。そうも思った。
そうであるならば、いま目の前にいる人たちの声は、できる限りいろんな人や機関につないでいかないとならないと、強く思った。

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