ラグビーワールドカップ2023 準々決勝振り返り

ラグビーワールドカップ2023 準々決勝を振り返る。

 ウェールズ (C1) 17ー29 アルゼンチン  (D2)
 アイルランド(B1) 24-28 ニュージーランド(A2)
 イングランド(D1) 30-24 フィジー    (C2)
 フランス  (A1) 28-29 南アフリカ   (B2)

 プール戦1位を北半球が独占したが、決勝トーナメントでは南半球が意地を見せた。結局、南半球3カ国、北半球はイングランドのみが準決勝進出となった。プール2位が3チーム準決勝進出するのは、第7回(2011年)以来2度目。

各大会のプール1位と2位の準々決勝の成績
        プール1位/プール2位
第1回(1987年) 4勝    -
第2回(1991年) 3勝    1勝
第3回(1995年) 4勝    -
第4回(1999年) 4勝    -
第5回(2003年) 4勝    -
第6回(2007年) 2勝    2勝
第7回(2011年) 1勝    3勝
第8回(2015年) 3勝    1勝
第9回(2019年) 3勝    1勝
第10回(2023年) 1勝    3勝

 プール2位がプール1位を倒した試合をアップセットとすると、第5回大会まではほぼアップセットはなかった。第2回のアップセットは、開催国で5カ国対抗戦(当時)優勝のイングランドがなぜかニュージーランドと同じプールになるという組み合わせのため生じた。イングランドはプール2位で決勝トーナメント進出し、準々決勝を勝っている。つまり第5回まで準々決勝で波乱らしい波乱はなかった。
 それが第6回大会以降変化する。アップセットが常態化している。つまりプール1位と2位の国の実力差が縮まっている。あるいは実力差が縮まるなかで、組合せ以降にその力関係が変化し、結果、組合せがいびつになるケースがある。まさに今大会がそうであるように。

 そして今大会は各国の実力差が接近していた。準々決勝4試合のうち、実に3試合がワンプレーで逆転できる点差(6点差以内)。準々決勝各試合の点差の平均値は大会史上最少だった。
 下記は左から各大会の準々決勝4試合の①点差の平均値、②6点差以内の試合数、③2点差以内の試合数。

           ①    ②   ③
第1回(1987年) 18.3   -   -
第2回(1991年) 12.0   1   1
第3回(1995年) 18.3   1   -
第4回(1999年) 17.8   -   -
第5回(2003年) 17.5   -   -
第6回(2007年)  6.8   3   2
第7回(2011年) 11.0   1   1
第8回(2015年) 19.3   2   1
第9回(2019年) 20.0   1   1
第10回(2023年)  5.8   3   1

 過去、準々決勝で接戦が多かったのが第6回大会、奇しくも今大会と同じフランス開催。この大会では今大会とは逆にプール1位で突破した南半球のニュージーランドとオーストラリアが、それぞれプール2位だった北半球のフランス、イングランドに2点差で敗れた。この時と異なるのは、第6回大会はニュージーランドとオーストラリアが圧倒的に有利と評される中で敗れた波乱に対し、今回の戦前の評価はがっぷり四つでどちらが勝ってもおかしくない評価だったということ。
 今大会、ニュージーランドと南アフリカが準々決勝で勝ったのは経験においてアイルランド、フランスよりも一日の長があったからではないか。アイルランドは常々プール戦から全力で来る印象があるし、今大会のフランスは開幕戦からエンジン全開だった。一方のニュージーランドと南アフリカは、ピーキングを決勝トーナメントにおいている感じで、プール戦は調整途上という印象だった。
 しかし、北半球と南半球の実力差が縮小しているのは明らか。次回大会以降、南半球と北半球の力関係はどうなるのか、またフィジーやジャパン、サモア等も実力接近しており、第3国にも注目です。特にアイルランドの次回大会のパフォーマンスに注目している、気は早いけど。

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