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地域包括支援センターのソーシャルワーク#4~ACPの普及啓発「もしバナゲーム」~

先日、高齢者が集まって体操・カラオケ・お茶会をやっている地域サロンに行き、「もしバナゲーム」の体験会をやりました。

ACP(アドバンス・ケア・プランニング)・・・本人の今後の医療やケアについて、 家族や親しい人そして医療・介護の関係者等が繰り返し意向の確認と共有を行い、本人による意思決定を支援するプロセス

「人生会議」とも表現されているこの「ACP」の考え方を一般の方にも広めようと、私の働く自治体では包括が中心になってこの「もしバナゲーム」を活用しています。もともと米国で開発されたこのカードゲームを千葉の亀田総合病院の医師が日本語版として再構成したものらしいです。
https://www.i-acp.org/game.html

もしバナゲームのカード

「家族と一緒に過ごす」「清潔さが維持される」「いい人生だったと思える」「ユーモアを持ち続ける」「怖いと思うことについて話せる」「誰かの役に立つ」「主治医を信頼する」・・・といった35種類の内容が書かれたカードで、自分にとって何が大切かを選び取り、最後に発表をしていきます。

始める前は、「なんだかこわいわ~」「縁起でもない」と苦笑い気味の参加者もやってるうちに、「やっぱり何だかんだ娘と一緒に過ごしたいわ~」「今はまだ死にたくないから延命を望んでしまうかも」「わたしは逆に家族に迷惑かけたくないからさっさとぽっくり逝きたいわ~」「最期に優しく扱ってくれるドクターがいてくれたらいいわね」「私は50年住んできた家でひっそり死にたいから最期は包括さんよろしくね」など話は盛り上がりに盛り上がり、最初はおそるおそるでしたが最後はみんな爆笑の渦と化しました。


もしバナゲームには様々な選択肢がありますが、その内容の後に『でもそれが実現できるだろうか』をプラスで考えることが重要だと思っています。我々が大事にしているのは「あらかじめ考えておこうね」という投げかけを住民に行うと同時に、「あなたの希望を叶えられる社会資源(医療や介護の体制そしてインフォーマルを含めて)があなたの住む街にも機能しているよ」と知ってもらうことです。

「エレベーターのない団地の5階、ひとり暮らし、介護してくれる家族はいない、80代の高齢者」の方が「がん末期」で、でも『自宅で死にたい』と言ったら、それは実現できるのでしょうか?一般の多くの人が「いやいや無理でしょ」と思うかもしれません。しかし訪問診療・訪問看護・訪問介護・福祉用具・ケアマネ・包括ががっちりタッグを組んで、実際にご自宅で最期を迎えることができた、というケースが実際にあります。

自分が備えること、家族と備えておくこと「以外の部分での」その人が望む最期を実現することは果たして可能なのか。その希望に添えられるよう「提案をする→選択してもらう」ためには、医療介護福祉の人間がこの地域でどれだけの用意をしているのかを知ってもらうことがまず一歩だと思っています。そして住民の望む最期のために、毎度おなじみ「困ったら包括に相談してね、一緒に考えるからね」の言葉でいつも締めくくっております。

入院してからでは、しゃべれなくなってからでは遅く、本人も家族も支援者も悔いが残ります。自分の最期をどんな風に迎えたいか、何を大切にしたいか、考えられるうちに考えて話し合っておきたいですね。

あらかじめ考え、話し合いましょう!

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