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地域包括支援センターのソーシャルワーク#1~地域の高齢者を見守り支え続けるには~

小嶋と申します。地域包括支援センターで社会福祉士として勤務しており、介護支援専門員(ケアマネジャー)でもあります。自分の担当地域では住民の皆様に包括のことを知ってほしい、という活動を熱心にやってきたつもりですが、今年からもう少し自分の見識やアウトプットを広げるため、ちょっとずつ広域に発信したいと思っています。

とてもざっくり言うと、地域包括支援センター(包括)は「高齢者とご家族のよろず相談窓口」として全国の中学校区を単位として設置されていて、行政が直接運営していたり、社会福祉法人等が行政から委託を受けて運営(私はこちらです)しています。

病気やけがをした、生活に負担が大きい、介護のサービスを利用したい、どこか運動できる場所はないか、などなど、困っている→相談しに来られる(連絡があり訪問する)→介護保険をはじめ様々な制度・サービスあるいは地域の社会資源に繋げる、という総合相談対応が業務の基本です。※他にも介護予防ケアマネジメントなど、色々な業務がありますがそれはのちのち書きます。

私の働く自治体(包括は8か所)では、見守りネットワーク事業(通称みまもっと)を平成16年から実施してきました。市が電気・水道・ガス・警察・消防・銀行・医師/歯科医師/薬剤師会・老人クラブ・商工会・証券会社・公社・商業施設等60あまりの企業・団体と見守りの協定を結び、日々の業務の中で心配な高齢者がいた際の対応など包括と連携をしています。また、各包括に1名ずつ見守りネットワーク(通称:みまもっと)担当を配置し、担当する地域住民や地域関係者とのネットワークづくりを行っています。私も5年前にこの見守りネットワーク担当者を拝命し、地域住民や関係機関に対して包括のPR活動を積極的に行い、担当地域の中でネットワークの構築に尽力しています。

包括の広報紙やチラシ、ポスター等を持って自治会、団地・マンション、図書館・スーパー・コンビニ等に配布・掲示をしたり、介護保険や認知症に関する講座(5年間で100回以上)を開催したり、3つの小学校の地区協議会の会議に出席したり、広報協力員(包括のPR活動のお手伝いボランティア)や民生児童委員と情報交換や勉強会をしたり、地域ケア会議を開催し地域関係者とケアマネジャー等の医療介護関係者が集い地域課題の共有する場を設けたり、社会福祉協議会(社協)の開催する地域のお祭りでブースを出したりティッシュ配りをしたり、社協の地域支え合い推進員や地域福祉コーディネーターと随時地域の情報交換をしたり、Twitter等のSNSで随時イベント情報やフレイル予防・詐欺被害防止等の情報発信をしたり・・・。

これらの活動はただ単に包括のことを知ってほしい、認知度を上げたいということだけはありません。「とにもかくにも、困っていそうな高齢者がいたら包括に通報(便宜上みまもりの’通報’と呼んでいます)してね」という意識づけを地域関係者にひたすら繰り返し行っていることと同時に、何でも包括に丸投げというわけではなくて「包括がフォローするので地域で高齢者を一緒に見守り支えていきましょう」という意味もあります。

たとえば『となりのおじいさんが転んでいた、包括で関わってほしい』とご近所さんから通報をもらったとします。その後、通報者に『こないだの方、受診して大事には至らず無事に自宅に戻ってきたようです。ひとまずいろいろサービスを利用しましょうと包括から提案しています。連絡ありがとうございました。』という感謝を伝えますが、この出来事は「1つの問題の解決」であると同時に「継続的な見守りの開始」でもあります。通報をくれたご近所さんととなりのおじいさんの生活は今後も続いていきます。見守り続けてほしい、何かあれば再度通報してほしい、この見守り意識の輪、連鎖をいかに多く作っていくかが大切なのですが、それを考えると包括に対する信頼感が大切になってきます。

地域住民や関係者からの「心配な方がいる、関わってほしい」という通報に対してできるだけ早く、丁寧に対応を繰り返す(年間100件以上あります)こと、そして医療・介護・包括の関わりへの拒否、セルフネグレクト、認知症で独居の方、虐待など困難なケースであっても関わりをあきらめず、放置せず、職員と関係者と地域住民でどうにかこうにか検討し関わりを続けていくこと。量的にも質的にもヘビーな仕事も多いですが、続けていくことでやがて地域からの信頼感や存在感が増していると感じています。「困っている(困っていそうな)高齢者がいたら包括と一緒に支えていこう」という味方をいかに増やしていけるか、が包括の課題であり実践であります。「包括を知っているか」と「包括に頼れるか・一緒にやれるか」は別問題です。すでに何年もやっていますが、より一層顔の見える関係、イメージできる連携を形にして積み上げていきたいと思います。

次回ではもう少し具体的に、困っている(困っていそうな)高齢者を見かけたり噂で耳にした時にはどんな対応をすればいいのか、そして包括はそれに対しどんな対応をしているのかを書いていきたいと思います。


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