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早期退職 第24話(最終回) 今後について ② -再離陸-

 人生を仮に飛行機に例えるならば、始めは主力エンジンを使って高いところを飛んでいる。やがて、主力エンジンにガタがきてメンテナンスが必要になる時がいつか来る。その時に補助エンジンがあれば、高度を落として低空飛行で飛び続けるという選択もある。主力エンジンが弱ってきたときには補助エンジンに切り替え高度を落として飛び続けるか、一度着陸して休むか、あるいは陸路を走るしかない。もし無理をして高いところを飛び続けたならば、いずれ墜落と言うことになりかねない。
 
 戦にも戦略的撤退というものがある。戦況が如何にもならない時には、一旦撤退する。その後、態勢を立て直し、戦略を練り直して再度挑むというものである。十分な休養と充電ができたならば、再度離陸して高度を上げていけばいい(再度、挑戦すればいい)。
どれだけ高度が上がるかわからない。もとの高度に戻るかもわからない。ただ、はっきりしているのは再び上昇しているということである。
 
 これからは自分の大空を飛べばいい。今度は、他人がデザインした空ではなく自分がデザインした空である。自分にとって適度な高度と適度なスピードで生涯そのまま飛び続けていけばいい。
 他人を羨まない。他人を羨むと言うことは、他人の人生を歩むことである。他人がデザインした人生を歩むのではなく、自分のための自分の人生を歩む。参考とするのはいいと思うが、やはり自分の人生は自分で作りたいものだ。
 
 お金は、あるに越したことはないが、必要以上に持つと生活レベルが上がり、それを維持する為に余計に働かなければならないハメになる。そして苦しくなる。自分らしく、無理なく続けられる生活ができるお金があるのであれば、それ以上働く必要はないと思う。それより、自分にとってもっと有意義なことに時間を使った方が良いと思う。(働くことが大好きな人は別であるが。)
 
 他人が何かを買ったとか、どこそこに旅行に行ったとかと言うのを聞いて自分もと思うのはいかがなものか?それは本当に自分がやりたいことなのか自問してみるようにすればいいと思う。
 
 退職後当初は、生活面、家族関係のことなど不安だらけであった。数年経った今、とくに大きな問題もなく日々平穏に過ごしている。人間、わからないことに対しては過剰に心配するものだと思った。生活費については、月間百万必要な人もいれば十万で充分と言う人もいる。要は人それぞれなのである。だから、早く自分が心地良く生活できる水準を見つけ出し、そこを基準に生きていくことを考えた方がいいと思う。
 
 あと、家族関係については、退職前よりも良くなってきているような気がする。家族全員が揃う日が多くなったため、以前より家族間の会話が増えたことによるものだろうか。
 
 今は本当に毎日、平和で穏やかな日々を過ごしている。
嫌なことをしなくていい、嫌な人とも付き合わなくていい。それがどれだけ幸せなことかしみじみと思う。
 
 周りで早期退職した人たちの中には一度休んで再就職をする人、自分の好きなことに打ち込んでいる人、やることリストの作成を始めた人、青春十八きっぷで全国を旅する人、海辺のマンションを購入してのんびり過ごす人など、それぞれ新しい人生のスタートを切っている。すべての人に共通しているのは、目がイキイキしていることだ。見ているこちらも何だか嬉しくなってくる。もう、あの通勤電車にいたような死んだ目をした人は周りにはいない。
 
 そろそろ、私も再離陸する時が近付いてきているような気がする。まだ、五十代、まだまだやれるし、時間も十分にある。 
 
最後に退職後、自分を支えてくれた家族と友人たちに感謝したい。

おわり

 最後までお読みいただき本当にありがとうございました。今回で最終回となります。初めての投稿のため、不安でいっぱいでしたが、読んでいただいている方がいるということが、励みとなり何とか続けることができました。今後も新たな記事の投稿は継続していく予定ですので、よろしくお願いいたします。


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