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雪の都心

昨夜はどうなるのかと
心配になりましたが、
夜中は大して降ることなく
オオゴトにはならなかったので
良かったです(*^^*)

都内は雪に激弱なので
積雪があると大混乱が起きるので
困ります^^;


10年前、都内15センチ積雪があった時のこと、
今も忘れられず…
また思い出したので置いていきます。

10年前の今頃のこと。
信じられない程、都心に雪が積もりました。
午後からは本格的な雪になり
朝方まで降り続いたのです。

わたしは小売販売店の銀座の職場におりました。

雪の予報は出ていて、
その日は朝から人出が少なく、 
昼休憩を回すまで売上ゼロ。
来店ゼロ。

若干、店内はピリピリモード、笑
(私の苗字)ちゃん、ここらで
パパッとダイヤ出してよ!
窮地に割と強いよね、アンタ…期待してる!と
圧をかけられながら、昼休憩へ。

昼休憩から戻ると、
16 時に百貨店はみんな臨時休業することが
決まったと。

私達のお店はどうなるか…
外を見れば道路に雪が積もり始めていたし、
数メートル先が曇って見えない…
そんな状況でした。

続々とJRの運休、メトロの運休も発表され
いよいよ、16時に。
すぐ目の前の三越も、松屋も閉店。

その他のお店もシャッターを下ろし始め、
帰路を急ぐ従業員達の姿しか見えなくなりました。

17時頃、近くのビルの管理人さんが
大丈夫?まだ営業続けるの?
予約待ち?お客様来るの?
外、誰も居ないよ!
メトロも止まりだしたよ、
みんな帰れなくなる、早く閉めた方がいいよ。

当時わたしは東京に転勤して
数ヶ月、その時住んでいたマンションに引っ越して
僅か数日のときでした。

電車止まったら
帰り方が分からない(´・ω・`)
土地勘もないからどちらの方に向かって
歩けばいいんだろうか…とヒヤヒヤしていました。
もちろんタクシーに乗るお金はない。

でも、本社はそんなことで
閉めれないというのですwww
うちはうち、だ、と。

結局18時に本社はいつもより早く終業。
なのに、私達は20:00まで営業を継続。
中央通りもたまにタクシーが通るだけ。

横須賀線の運休が決まり、
横浜在住のスタッフが早上りに。
当時の店長と副店長の2人。(←酷くない?
あんたら、役職者やんけ。
給料多いやんけ、しかも、責任者やん)

都内住みだから、貴方が1番近いと
わたしは1人店に残されました。
もう泣きそうでした。当時24歳。

同じビルにあった美容室が
予約のお客様と連絡が取れないから
店を閉めれないとのことで
残っていることが分かり、それだけが救い。

わたしは、通常営業終了時刻の20時まで
1人でひたすら店頭に居ました。
いよいよガラスが曇り外も見えない状況に。

あと30分で閉めれる!
あと少しだ。頑張れわたし!と思っていると、
突然ドアが開いて、ドサドサとお客様が!!

みんな肩に雪を乗せて、
助けを求めるかのように
流れ込んで来たのです…

え…なにごと?

皆様、中国からの観光のお客様で、
さっき羽田から銀座に来たけど、
どこもやってない。
ここが電気ついてたから…とのこと。

寒くてどこかに入りたかった、
ハイヤーがここに迎えに来るまで
待たせて欲しい。
いま、電話する、住所を紙に書いて欲しい、

というのです。(全部英語)

なんて可哀相な旅行者なの…
こんな大雪でどこもやってない銀座に
投げ出されて彷徨っていたのね、、、
と最初は、思いましたが…
途中から、、、、ヤバい
強盗かもしれない…
雪を理由にナチュラルに入って来たけど
わたししか居ないことバレたら、
商品を持ってかれたりしてwwwww怖

と思ってしまいました^^;

ハイヤーの運転手に住所を伝えると、
道路状況に問題がなければ
20分で着くとのこと。

なんとか…残業にはならなそう…
一刻も早く帰りたい。
電車動いてて欲しい。

そう思いながら、
こんな雪は珍しいなどと話しながら
何人かの中国からのお客様と過ごしていました。

ハイヤーに電話をしたり
リーダーのような振る舞いの男性の
お連れと思われる女性が
お店で1番高いコーナのショーケースの
商品を見たいと言い出した…

わたしは一瞬、時が止まって、
生唾を飲んだ、、、、
開けた瞬間に手を突っ込んで奪い去られたら
どうしよう…って悪い想像をしました。

…もしここで何かあったら…
あしたの新聞の1面だなwwww
わたしは殺されるか、生かされても
安全管理のなってない販売員として
全国に名前が出るのかな…w
それとも誰か同情してくれる?
地元の知人たちからは
あいつ、せっかく東京に栄転したのに
いきなりクビだな、って言われるかもな…
その前に、もう本社も終業してて
誰に連絡する?
頭の中でこの後の起きてもない事態を
シュミレーションしまくる。

でも、出さないわけにいかないじゃん?
お客様が見たいって言ってて
出さない理由はない。
防犯カメラ、よく見ておけよ!と思いながら
ご希望の商品をトレーにお出しして、お見せした。

試着してもいい?
もちろんです。

普段通りに接客して、
お客様も商品をとても気に入ってくれた。
似合っていたし、わたしも個人的に
好きな商品だったので、話も盛り上がった。

女性のお客様:
これにするわ、いい?
トレーに乗る数点のアイテムを手でなぞる。

リーダー格の男性のお客様:
良い出会いだね、一生忘れない

わたし:(心の声)え?全部買うの!?

全部ご購入頂いた\(^o^)/笑
わたしの数カ月分の給料…
わたしの数カ月分のノルマ、一撃!

大雪の奇跡だった。
お包みしているとハイヤーがお迎えに来た。

心配してたような悪いことは起きなかったし、
観光バスで大量に来て、ショーケースに
ハンバーガーやチョコレートが
ベタベタについたドーナツをそのまま置く、
みたいな悲しい人はいなくて助かった。

明日、エルメスに行くんだけど
ここから近く?
が、最後の会話だった。

雪で視界不良だったが、
わたしは指を指してあちらです、
晴れていれば見えたのですが…ね、、、と。

夢みたいな40分間が一瞬で終わり、
店中点検。商品は無事。

レジ締めもして、日報を送信。
タイムカード切る、
携帯を見る、大量のライン。
みんなからの大丈夫?(´・ω・`)

それよりも、銀座線は動いているのか?

…メトロ運行状況。
赤字で雪の影響で全線運休。

OMG!!!

わたし、どうやって帰る?
銀座の次は、確か京橋、、、
日本橋…その次なんだっけ?
しかも京橋って、店出て、どっちの方向?

毎日メトロでドアtoドア生活。
地下を走ってるから景色がない。
方向なんて1ミリも分かりません。

美容室のスタッフが顔を出してくれて
俺達は遠くて帰れないので泊まることにしました、
帰られますか?と。

本当に分からなくて沈黙、、、
事情を説明。

タクシーしかないと思いますよ、
でもタクシーも走ってないから…、、、。

でも、わたしはあした休みだから
泊まらずに帰宅がしたかった。

携帯をフル充電にして、
グーグルマップを唯一の頼りに帰ることに。
所要時間、2時間35分。

雪のせいで、倍かかっても4時間。
1時には家に着ける。朝までここに居るよりはマシ。

そう思って歩き出しました。
雪は降り続く。
タクシー乗り場の行列を横目に
とにかく歩く。

自販機もHOTは全部完売。
信号待ちの度に、帰宅難民仲間が何人か居ることに気付かされながら、歩く、歩く歩く。

全然進んでないのに
時計だけは進んでる。
顔に雪が当たる(´;ω;`)
まつげに雪が着く。
足も手も、もう冷たくて感覚がない。

もうどこでもいいから
どこか飲食店に入りたい。
でも、やってない(´;ω;`)
吉野家もドトールもタリーズもやってない。

あと自宅最寄り駅まで3駅!
のところでガストがやっていた。
(当時は24時間営業)

外の階段、1階まで人が並んでた。
みんな裾のぐちょぐちょのスーツ。
帰宅難民仲間だ。

帰宅難民達が入っていて
出ないから、回転していない。

私の前の女性が
2 時間近く並んでるけど誰も出てこないから
立って待ってても寒いから、諦めようかと思ってます…と言い出した。
こんな時は相席にして欲しいですよね…

そう言って、わたしも諦めて
あと3区!頑張ろう!とガストの駐車場の自販機で
HOTのココアを2つ買ってポケットに入れて
また歩くことにした。

もう泣きそうで
ぶつぶつ独り言を言ってたと思う。
ここが地元なら誰か迎えに来てくれたよね…
ここが地元なら、誰かの
おうちに寄せてもらえたかも。
会社と自宅の間に、祖父母の家があったし。
上京はしたかったけど、こんなことになるなんて。
とか、、、。

そうこうしていると
最寄りの隣駅まで来た\(^o^)/

人間、わたししかない。
駅の看板も雪でほとんど見えない。
ファミリーマートだけ見えた。

タクシーもいない、
でも、あと1区。
次にメトロのマークが見えたら
あとワンブロックでわたしのおうち♡

歩きだすと、後ろから
タイヤチェーンの音が。
振り返るとタクシー(´;ω;`)

運転手さんもこちらを覗き込むように見る、
あと1区…ここまで歩いてきたから
あと1区位歩けると思うけど…
乗ろう…もうよく頑張った。
断られるかもしれないけど…手を上げたら
すぐに停めてドアを開けてくれた

運転手さん:お姉さん、大丈夫?
どこまで行くの?随分歩いたんじゃないの?

わたし:すみません、銀座からここまで歩いてきたところです…自宅は〇〇であと少しなんですが
乗せてもらえますか?

運転手:乗りな、乗りな。
銀座からここまで偉かったね、何時間?
寒かったでしょ、すぐ着いちゃうけど、
疲れてるからあと1区だって
無事に歩ききれるかなんて分からないよ!
こんな状態なんだから。倒れても誰も気付かない。

そう言って労ってくれて胸がジーン(:_;)

確か深夜料金で1000円位だった。
すぐ着いた、笑
タクシーの暖房を身体が
温かいと感じる前に到着。
マンションのエントランス
ギチギチに停めてくれた。

運転手:無事に帰れて良かったけど、 
まだ気を抜いちゃダメだよ、
足に雪ついてるから滑らんようにな!
すぐ、温かいもの食べて
お風呂入りなさいよ。

多分50半ばのおじちゃんだった。
お父さんよりちょい上だけど、
ほぼお父さん。笑

無事帰宅。
なんと、雪の中9時間かかって帰宅。

玄関で靴を脱ごうにも
足がかじかんで脱げない。
タイツも靴下もずぶ濡れ。

かじかんだ手で少しずつ足から脱がす。

足首から下が全部しもやけ(;´∀`)

ハイハイして脱衣所まで行って、
バスタオルを棚から引きずり下ろして
足を拭いて、、、

泣いた(´Д⊂
涙が1番温かかった。

お風呂に入って、寝たのが5時前。
きょうは休み!
温かくして沢山寝るつもりだった。

ウトウト夢の中に入り始めた頃、
まさかの鬼電。

昨夜、先に帰った店長だった。

店長:朝早くごめんねー
きのう、凄かったね!
わたしメール見てびっくりした…
何が売れたの?
やっぱアンタって追い込まれるとやるね!

でさー、きょうなんだけど、
JR始発から運休なの、
メトロは地下鉄だから多分動くと思うから
店、開けくれる?

多分(わたしの苗字)さんが
1番早く着けると思うだよね〜

や、〇〇さんも居るんだけど
まだ寝てるみたいで電話したけど
全然出ないの!
多分遅番だから、まだ爆睡してるんだと思うー

(わたしの苗字)さん、出てくれて良かったわー
宜しくねー!

もし遅延で遅れても、開店と同時に
雪の中来れるお客様なんていないだろうから
それは心配しなくていいよー。

とりあえず、いつもより少し早めに
出る感じでいいから店開けといて。

わたし:きょう、わたしシフトお休みです。
だから、9時間かけて歩いて帰ってきて、
やっといま、寝るところでした。
だから、他のスタッフに当たってもらいたいです。

店長:えーそーなの、やばいね、9時間。
でも、本社のスタッフにも当たってみるけど、
多分誰も起きてないと思うから難しそうなんだよね。神奈川県の人多いし。

わたしも、今から準備して
いつもより早めに家出るからさ、
とりあえず開けてくれない?
わたし、遅延とかで
多分時間かかりそうなんだよね。
わたしが着いたらその後は帰っていいからさ←え?

結局、誰も来れる人は見つからず、
子供が…とか、最寄り駅まで、遠いから…とか、
JR動いてないから…と
なんだかんだ断られ。

わたしはほぼ寝ずに
再び支度して出社。

メトロは、始発から通常運行で
早めに出た分、早めに到着。

開店準備をしてから、
店の裏で時間を潰した。

店長からLINE:
電車で向かってるんだけど減速だし、 
全然動いてないから間に合わないかも。
もし、開店までに間に合わなかったら
早番やって!シフト変更したことにして。

えー。まぢか。

再び店長からLINE:
有楽町着いた!もうすぐ着く!
わたし、早番予定通り間に合いそうだから
やっぱきょう、(私の苗字)さんは休みね!
私が予定通り早番やるから大丈夫⭕

…w

店長到着:
中番の▲▲さんがJR止まってて
遅刻しそうって連絡来たんだよねー
(私の苗字)さん、中番入ってくれる?
中番の11:45 までは
どっかで休憩してていいからさー

…は?w

10:30〜11:45まで隣のビルの喫茶店で待機。

11:50に中番スタッフ到着。
遅番スタッフが電車の遅延で遅刻の電話あったから
昼休憩回せないかもしれないから、
□□さん来るまで、(わたしの苗字)さん、
入ってもらえる?
12:45(遅番の勤務開始)まで
どっかで時間潰してていいから。

………⚡🔥⚡🔥⚡🤬

そんなことで良いように扱われて
店長が昼休憩から戻ったところで
解放。午後に帰らされました。

私は奴隷として転勤させられたんだなぁと
思った10年前の雪の日の思い出です。

あの時の店長と同じ位の歳になりました。
自分より10個下の若い子に
こんな扱いをするなんて考えられません、今でも。

頭に来ること、他にも沢山されました。
あの時は、下っ端だから仕方ないかなって
思うしかなかったけど。
今思うと、若い子虐めて楽しんでるなんて、
なんて30代なのに可哀相な人なの…って思えますね。

30代って、もっと豊かですよね。笑
若い子捕まえて虐める思考回路にはならないかなって今は思います。

この話、誰にもしてないので、
ここに置いて行くことで
記憶から薄くしようと思います。
きっともうすぐ笑い話に昇華するでしょう。



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