Live2Dを使った、アニメーションの3つのこだわり大公開!
こんにちは。Live2D公式デザイナーチーム、Live2D Creative Studioです。
今回のnoteでは、ホワイトデーの作品について前回ご紹介できなかった部分をさらに掘り下げていきます!
前回のnoteでは、作品に登場する白井くんのモデルの中身についてご紹介しました。
まだご覧になっていない方は是非ご覧ください!
今回はモーションの作り方に焦点をあてながら、制作チームから聞いた
キャラクターを魅力的に見せるポイントをご紹介いたします。
後半には白井くん誕生の裏話も載せていますのでお楽しみに!
モーションの根幹!”絵コンテ”
モーションって、いきなり制作しようとするとなかなかうまくいかない場合が多いですよね...。
そこでまずは制作チームに聞いた、どの作品でも共通するモーション作成のコツから紹介します!
そのコツとは、おおまかにいうとこちらです。
・制作したい動きを明確にする
・動きを再現するための素材分けやパラメータを考え、モデリングをする
・明確にした動きを再現しながらモーションを作る
そしてこれらをすべて可能にするのが”絵コンテ”です!
モーション作成する際、なんとなく頭の中でどういう風に動かしたいか考えますよね。
その”なんとなく”を絵コンテである程度しっかり固めてから制作することがポイントだそうです!
そこで今回用意された絵コンテがこちらです。
見た目は一般的なものとは違っていますが「動き方の設計図」として用意されています。
よく見ると細かい設定(セリフ・しぐさ)や、素材分けの仕方などもこの時点で決めていることがわかりますね!
この絵コンテを参考にしながら、必要な動きを割り出しつつモデリングを進めていきます。
また、今回の絵コンテではモデリングの際に変形が難しくなりそうな箇所のラフもあらかじめ描き起こしています。
こちらの社会人時代の白井くんでいうと手の変形前と変形後の形のことですね。この形に合わせてそれぞれ原画の描き起こしやモデリングを進めています。
絵コンテにラフを描いておくことで「どういった原画を用意すると良いのかの判断」がしやすくなったり、「モデリングする際の変形用のアタリ」としても活用できます。
さらに絵コンテの時点で、年代が切り替わる時のポーズについても意識されています。
例えば高校生→大学生の切り替わり時のポーズをみると...
腕周りのポーズを似せていることがわかりますね。
こういった点を意識して、スムーズに場面の変化ができるように工夫されています。
次はモーション作りについてです。
キャラクターの魅力を引き出す3つのポイント
皆さんはモーションを作るとき、どんなことに気を付けて制作していますか?
ここからは魅力的な動きを再現するための3つのモーション制作のポイントをご紹介します!
その① キャラクターの雰囲気に合わせよう!
モーションを付けるとき、やっぱりそれぞれのキャラクターに合った動きを付けたいですよね。
ホワイトデーの作品では色々な年代に合わせたモーション作りにも工夫されたそうです。
そこで、「キャラクター性を引き出すためにはどんな動きをさせたらいいのか」を一例として少しまとめてみました!
例えば小学生時代と新入社員時代の白井くん。小学生時代は「元気」な印象、新入社員時代は「落ち着いている」印象を与えられるように制作されています。
これらの印象を与えるためにそれぞれどのような動きを付けているか、二つのモデルを比べてみましょう。
こういった動きの確認や調整をする際は、グラフエディタを使用すると分かりやすいです。
体の回転Yと体の回転Z、どちらも新入社員時代より小学生時代の方がカーブの幅が大きく(=動きが大きく)傾斜も急(=動きが速い)になっていることが分かりますね!
このように動きを大きく・速くすると「元気」な印象を与えやすく、反対に動きを小さめにすることで「落ち着いている」印象を与えやすくなります。
一方でおじいちゃん時代の白井くんはというと...
見て分かる通り、新入社員時代と比べるとカーブの幅が小さくて傾斜も緩やかになっていますね!
こうすることにより、年相応なゆったりした動きを表現できています。
そしてここでちょっとした裏話なのですが...完成時こそゆったりした動きをしていますが、絵コンテ時では実はおちゃめな動きをする予定でした!
しかし、制作していくうちに、よりおじいちゃん感を出すためにゆったりしたモーションを目指すようになったそうです。
その② 表情変化を豊かにしよう!
キャラクターの魅力を引き出すために欠かせないのがそう...表情です!
白井くんもいろんな表情をみせてくれましたね。
表情はキャラクターの感情を伝えるための大事な要素ですので、モーション上ではどのように付けているかさっそく見ていきましょう。
まずは小学生の白井くんです。
目や口、眉の動きなどが変わることでコロコロ表情が変化し、子供らしさや無邪気な感じが出ていますね!
下の画像の②と③は同じ目の形状をしていますが、眉の位置を変えることで目を見開いているような印象を与えることもできます。
一方こちらはおじさま時代の白井くんです。
目元をよく見ると、微笑みと同時に下まぶたが少し上がるようになっているのがわかりますね。
この動きは「目 開閉」とは別に、「目 変形」のパラメータを用意して動きが付けられています。
パラメータを追加することでさらに細かな表情変化を作ることができ、よりキャラクターが魅力的になります!皆さんもぜひ活用してみてください。
その③ 細かいところも見逃さない!
では最後に3つ目のテクニックについてです。
そのテクニックとは...細かい点にも気を配ることです!
例えば下の動画、なんだか見ていて違和感を感じませんか?
人差し指をよ~くご覧ください。
人差し指はプレゼントを置く際に押し込む指なのでプレゼントと人差し指の位置関係はほとんど変わらないはずですが、上でご紹介した動画は大きくずれてしまっています。こちらが違和感の正体です。
より自然で良い動きにするために、プレゼントとそれに触れている指、つまり「物と物との関係性」も細かく意識して動きが付けられています。
また、小学生時代のモデルでは、髪の揺れ方にも細かく気を配っています。
髪の毛の基本的な揺れ方として、横揺れと縦揺れがありますが、こちらのモデルでは横揺れはほとんど使わずに主に縦揺れで髪の揺れを表しています。
より元気でかわいらしい印象を表現するために、このように縦方向のふわっとした揺れを大きく付けるように制作したそうです。
さまざまな細かい点に気を配っていくのは大変な作業ですが、詰めれば詰めるほどその分こだわりの詰まった素敵な作品になるはずなので、皆さんもモーション制作を進める際はぜひ気を付けてみてくださいね。
こだわりのキャラ設定、白井くん誕生秘話
最後に制作チームから聞いたキャラクターデザインや原画についてのお話をご紹介します。
様々な点を工夫して制作されたホワイトデー作品でしたが、キャラ設定にもかなりのこだわりがあるみたいです!
この作品では、「同一キャラによる年齢変化」と「多くの女性に響くような作品」をテーマとして制作されました。
特に「多くの女性に響くような作品」という点においては、どんなキャラデザにするか数々の人気キャラを分析し、たくさんの時間をかけて練りあげたそうです。
その過程で髪や目の色、服装は別のバージョンもいくつか用意されました。
しかし制作担当者いわく、これらの変化を加えただけでは「脅威の無個性」になってしまうということで、髪型を調整して個性を出したりして、今の白井君が誕生したそうです。
髪型は、年代ごとにギャップを出すためそれぞれ描き起こされていて、中でも大学生時代の三つ編みは、お気に入りの部分とのこと。
また、前回の記事でも紹介しましたが、小学生時代以外のモデルは「大学生」の顔パーツをモデル上で変形させて作られています。
パーツを流用して制作していくことで制作効率を大幅アップさせることができるので、みなさんも制作する際はうまく活用してみてください!
また、小物のデザインもこだわりを持って制作されています。
例えば、小学生からおじいちゃんまでの小物の色を七色に変化するようしたり…
気づかれた方も多いと思いますが、おじいちゃんの花と小学生の飴は、動画がループした際にエモさが感じられるよう、似た形状にしたそうです。
他にも年代による背景の変化などなど…
ここでは紹介していない部分でも、こだわりの箇所がまだまだありますので、是非もう一度ご覧くださいね!
さて、2回にわたってホワイトデー作品を紹介してきましたがいかがでしたでしょうか?
キャラデザからモーションまでたくさんのこだわりが詰まっているホワイトデー作品でしたが、その思いが多くの人の心に響いていたら嬉しいです。
Live2D Creative Studioでは今回ご紹介した作品以外にも、スタッフの熱意がこもった作品を随時制作・公開しています。
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