【現場で感じたフィンランド教育】5分前行動は日本だけ
限定する言葉は好きではない。
だが、そう思いたくもなるフィンランドの教育現場を紹介する。
2021年3月
語学学校の一環でインターンシップをした。
選んだ場所はもちろん公立の小学校。
そこでは驚きの連続だったわけだが、その時のお話を一つしよう。
「5分前行動」
誰もが聞いたことのある言葉。
日本で小学校教員をしていた時も子供たちに徹底させるようにしていたし、自分たちもそう心がけていた。
その5分前行動の精神は、日本人なら皆、体に染みついていて、意識をしていなくても行動するようになっている人が多いのではないだろうか。
そもそも5分前行動の精神は、旧大日本帝国海軍の伝統らしい。
定刻と同時に港を離れる船に5分前には乗っておかなければいけない。
そんなところから来た精神だそうだ。
授業の5分前には準備をしはじめて授業の始まりを待つ。
これが日本の当たり前。
フィンランドの当たり前は全然違う。
授業の時間に動く。
例えば10時20分から授業が始まるとすると、
日本だったら15分には教室にいるし、準備を始める。そして20分に授業が始まる。
フィンランドでは、10時19分にはまだ子供は教室にいない。20分になるとチャイムが鳴り、子供たちが外から帰ってくる。帰ってきたら手を洗ったり水を飲んだり…それらを待って30分ごろから授業が始まる。
朝はもっと面白い。
8時15分から1時間目が始まると聞いていた。
もちろん私は8時には学校についてたし、子供たちを出迎える準備を整えていた。
8時5分、静まり返る教室に授業準備をする先生と、教室をうろうろする私。
8時10分、変わらず静かな教室。学校に子供の姿はまだない。
8時15分、校門が空いた。
子どもたちが校舎の中に入ってくる。
アウターをすべて脱ぐ。(冬だったから重装備)
手を洗う。
荷物を置く。
トイレに行く。
水を飲む。
すべて終わって朝の挨拶をしたのは8時半過ぎだった。
日本と同じく約45分間授業。
15分は準備に使われたことになる。
フィンランドには「朝の会」という時間はなく挨拶をしてすぐに1時間目が始まる。
始まっても30分の短時間。
授業づくり大変だろうな。
・・・いや、むしろ授業作ってるのかどうかが疑問だ。
その話はまた今度。
そんな、時間ピッタリ行動の小学校生活だが、大人になってもそうなのかというとそんなこともない。
仕事でのミーテングや開始時間が決まっている集まりがあると、開始時間前に集まっている人がほとんどだ。(もちろん全員がそろっているわけではないが)
5分前行動の精神がおのずと身に付いている。
やはり、授業や何かを主催する側としては時間内にみんなが揃っている方が始めやすい。だけど、口を酸っぱくして言い続ける必要があったのかどうか。
私が小学生の時なんかは、授業前に教科書が机に出されていないだけで立たされたものだ。
果たしてそこまでして徹底させなければいけない精神なのか。
考えさせられるインターンシップだった。
みなさんはどう思いますか。