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熊とワルツを踊るには? ソフトウェア開発で胃が痛いあなたへ

Est rouge inc. のアプリケーションプランナーのSayuriです。
東京・ダナン(ベトナム)・ニューヨークに拠点をもつグローバルチームで、アプリケーション・プランナーを担当しています。
(仕事についてはリンク先の記事にて。)

今日はソフトウェア開発に携わる、すべての悩めるプランナー、PO、ディレクター、マネージャーにぴったりの「熊とワルツを - リスクを愉しむプロジェクト管理」という本を紹介します。

ソフトウェア開発の古典的名著ともいわれるこの本を、遅まきながら読んでみました。
ソフトウェアのプロジェクトに携わるにあたって必要なエッセンスが、ユーモアたっぷりに語られていて、世界一有名な失敗プロジェクトや "あるある" なシチュエーションから、私達は何を間違えたのか、プロジェクトとは何をどうやり遂げる必要があるのか、落とし穴はどこにあったのか、を解説付きで学ぶことができます。

この本を読むと、世界中で何年もの間、同じような失敗が繰り広げられていることがわかります。国や地域、業種やプロジェクトの大小に関わらずこれほどまでに失敗するとは...。
きっと何か失敗するコツがあるはず、と私も思っていました。


リスク管理って? 私のプロジェクトに必要なの?

日本語版序文にあるように、日本ではあまり馴染みのない「リスク管理」

日本では、単にリスク管理はリスクを避ける手法として理解されている。本書では、リスク管理は「おとなのプロジェクト管理」と規定し、「リスクを管理していない業界は子供のようなもの」とさえ言う。その意味では、日本の業界はまだひよっ子だ。

リスク管理こそがプロジェクト管理であると著者はいいます。

つまり私達が大人で、お店屋さんごっこではなくビジネスをやっているのであれば、当然リスク管理を行って然るべきで、リスク管理を行っていなければプロジェクトは破綻するも当然なのです。

本書では、いくつものプロジェクト失敗例をもとに、どこにリスクが潜んでいるのか、何が・誰がトラップなのか、事前にリスクを発見し摘み取り軽減させるにはどんな手があるのか...の方法論を知ることができます。

本書を読むと、新しいPerspective(視野)=武器 を手に入れた!みたいな気分になれます。
だって今まで闇雲に取り組むしかなかったプロジェクト(野生の凶暴な熊)との戦い方がわかるのですから。
ソフトウェア開発で胃が痛くなった事があるすべての方に、本書を配って歩きたいです。

きっとあなたの心に響いて勇気づけられるフレーズ集 (本書より)

手っ取り早く概要だけツマミたければ要約サイトで、でも著書デマルコらの哲学を感じたければぜひ、本を手に取って見てください。
最後にこの本からいくつか興味深い、そして実務に関わる皆さんがきっと勇気づけられるであろうフレーズをシェアします。

あらゆるプロジェクトに現れると予想してしかるべき普遍的な問題を挙げろといわれたら、 20や30は思いつくだろう。そのうち五つだけを取り上げることにした。 (中略)
1. 内在的なスケジュールの欠陥
2. 要求の増大 (要求の変更)
3. 人員の離脱
4. 仕様の崩壊
5. 生産性の低迷
このうちほんとうに仕事の能力と関係があるのは最後のひとつだけである。ほかの四つは、どれほど懸命に働こうが、どれほどその仕事をする能力と才能があろうが、ほとんど関係ない。この点を強調しておくのは、仕事ができない言い訳としてリスク管理が使われることを危惧するマネジャーが多いからだ。しかし、これらの手に負えない問題に備えておくことがリスク管理の本質である。

信じる権利があるものだけを信じることを「リスク管理」という。

まったくリスクのないプロジェクトに手を出すのは負け組だ。かならずといっていいほど、何も得るものはない。

リスク管理は、このような悪循環を断ち切るために、達成可能な目標とスケジュールを何通りか提示し、終始成功していると実感できる成功プロジェクトを生み出す方法である。

成長する機会もまともに与えられない会社のために、誰が働く必要があるだろうか。だが、これが原因ですべての従業員を失うことはない。失うのは有能な人材だけだ。

われわれは、そのような予兆にあえて気づかないように自分を訓練してしまっている。リスク管理とは、この訓練を解除するものである。

つまらない心配事より、悪夢を攻撃せよ。プロジェクトを揺るがしかねないリスクを発見するには、結果から原因を追究せよ。近づいてくる電車に注意せよ。

計画に運を組み込まねばならないようなプロジェクトにはしない

ソフトウエア・プロジェクトでは概して、勝つために特別なことをするより、負けの程度を抑える方が大事なのだ。

プロジェクトにゆとりをもたせないことが真に勇敢なマネジメントのしるしだとする考え方である。しかし、実はそれは臆病者のしるしである。

私のプロジェクトでは...

私が所属するEst rougeにおけるプランナーの役割は、ワイヤーフレーム作成・デザインディレクション・UXのクオリティ担保の主に3つです。
しかしどんなにプランナーの仕事を全うしていても、最終的にアプリがリリースできなければ意味がありません。
これはプランナー以外のポジションでも同じですね。

その意味でも、リスク管理だなんていうと、マネージャや会社の上層部がやること、というふうに聞こえるかもしれませんが、ソフトウェア開発に携わるすべてのメンバーの必須科目、教養としてインストールしておきたい本だなと思っています。

それにしても「熊とワルツを」だなんて素敵...言い得て妙だと思いませんか?
私も熊数匹と同時に優雅にワルツを踊れるように、いえ、音楽を流すだけで踊らせることができるようになりたい、と思っています。

エスト・ルージュではプランナー採用中

私と一緒に熊にワルツを踊らせてくれるプランナーを、Est rougeでは採用中です。
我こそは!という方、お待ちしております。




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