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「私はあなたのことが大好きだよ」

数日前まで、スペイン人の友人が遊びに来ていた。
学生時代のワンルームを彷彿とさせる、コンパクトな私の部屋。
そこに1週間ほど、彼女は滞在していた。
近況報告に始まり、アレやコレやといろんなことを喋り通した。
その中で改めて感じたことがある。
それは、欧米の人は感情をダイレクトに表現するということ。つまり、相手のことを大好きだ、とか、褒める言葉を、直球で伝える。
しかも、ときに映画のセリフのような、ドラマチックな表現で。

例えばある日。
私が「あの人にこう言っちゃったんだけど、言わない方がよかったかなぁ?誤解されちゃったかなぁ?もう少し黙っていた方がよかったかなぁ?」と、悶々としていた時のこと。
彼女は、「その発言は間違っていない。言ったことを後悔する必要はない」などと散々励ましてくれた後、最後にこう言ったのである。
「Don't be afraid to be yourself, my dear. You are amazing. I love who you are.」
日本語にするとこんな感じだろうか。
「自分自身であることを恐れないで、親愛なる友よ。あなたは素晴らしい人よ。私は、ありのままのあなたのことが大好きよ」

日本語にすると、文章で書くだけでも、小っ恥ずかしくて赤面してしまうセリフである。それをシラフで真顔で言うわけである。しかもハグとかしながら。
しかし不思議なもので、英語で言われると、小っ恥ずかしさは全くなく、むしろ、「ありがとう!嬉しい!」と力が湧いてくる。
(そしてついでに、「Likewise! I also love who you are, my dear friend!」(私もありのままのあなたのことが大好きだよ!親愛なる私の友よ!)と言えてしまったりする。)

日本語には日本語独特の美しさがある。
加えて、「ダイレクトに表現しすぎない」という、日本的な伝え方の美もある。いわゆる「奥ゆかしさ」による美。
しかし、こと、友人同士や恋人それから親子など、近しい人同士のコミュニケーションに関しては、欧米風の、ダイレクトにドラマチックな言い回しで「相手をいかに大切に思っているか」「相手の存在がいかに素晴らしいか」を伝え合う文化が好きだ。

なんの映画だったか忘れてしまったが、子どもの頃に見て、いまだに覚えている感動したシーンがある。
それは、何かに挑戦して失敗し、ガッカリしている子供に対して、母親が、
「I’m proud of you」(あなたのことを誇りに思っているわ)と言うシーン。
当時の私は、子どもながらに「こんな風に言われたら、すごく自信が湧くし、また挑戦しようって、思えるなぁ」と衝撃を受けたものである。

以心伝心というのは、ステキな時もある。しかし人間というのは、思っている以上に、一人一人まったく違う。
たとえ血を分けた姉妹であれ、全く異なる考え方、視点を持つ「異文化」の存在だ。
だから「以心伝心」ではなく、ちゃんと想いを言葉にして伝えることは、とても大事だと思う。
何より、言われた方はすごく嬉しいし、言う方も、美しい言葉、ドラマチックな言葉を口にすることで、なんだか気分がよくなる。(少なくとも私はそう)
言霊というように、言葉には力がある。魂が宿る。
美しく、愛情をのせた言葉を伝え合うことは、私たちの心に栄養を与え、日々の生活に喜びをもたらしてくれる。

とはいえ、確かに日本語だと、ちょっと恥ずかしくて、なかなか言いづらいのも事実。でもだからこそ、言葉に出して伝えると、そのインパクトは大きい。

12月、1月はクリスマスやお正月など、大切な人と過ごしたり、クリスマスカードや年賀状を書いたり、ご縁のある人々と連絡をすることが増える時期。
ちょっと勇気を出して、相手の存在がいかに素晴らしく、自分にとって大切かを、言葉にして伝えてみてはどうだろう。

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