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WKB53(AT限定)vol.11

嵐のち晴れ

懐かしのホーム(教習所)。
最後にここに来た時はダウンを着ていたのに、もう長袖シャツだよ。
2か月ぶりなんだから、当たり前だ。

だけど今日は今までにない、嵐のような雨降りになった。
高速教習は中止。
いつもは自転車だけど、傘も役に立たない雨の中を上下のレインウエアと長靴で歩いてきた。
教習でこんな天気の時ってなかったけど、
大丈夫かな。
しかも今日は結構大事な日だというのに。

基本、毎回違う先生がランダムに当てられているのだけど、
今日担当のH先生は、珍しく数回当たったことがある。
飄々とした感じで、一切無駄なことは言わない。
そのおかげか私はこの先生の時、なぜかリラックスできて調子いいのだ。幸先いいぞ。

挨拶をして原簿を開くと
「…ずいぶん、間があいちゃってるけど」
先生にしては珍しく声に戸惑いがこもっている。
大丈夫か?って感じだ。
私もそこは不安です。
とりあえず準備をして、動き出す。
いざ走り始めたら、大雨はさほど気にならなかった。淡々と運転。

時間いっぱい検定コースを全種類走って、発着点に戻る。
「はい。では、検定受けてくださいね」
H先生は相変わらずの静けさではんこを押し、
みきわめの欄の「良好」に丸をつけた。
4度目の正直で、合格した。

ブランクがあってもできた理由のひとつには、
フリーダムドライビングスクールは実は、異世界でも無法地帯でもなんでもなく、
そもそもあれこそが公道というものだよな。という気づきがある。
好き勝手に動く人もいるし、飛び出してくることもあるし、路駐も障害物もある。
それがあったら・起きたらどうするか?常に予測したり判断しなくちゃならない。
あそこを無事に走れたんだから、
整然としたここで、できないわけがない。
決められたことをゆっくり、
確実にやればいいだけなんだ。

H先生はいつも、私が「ちょっと遅すぎかな?」
と思っている時でも
「早い」と言う。
もーっとゆっくりでいいんです、と。
それはすごく心強いから、先生が担当の時は
上手くできたのかもしれない。
今日もそうだった。先生のおかげだ。

そうと決まればすぐにでも検定を受けたい。
また間があいたら余計なことを考えるし
何より忘れてしまう。
急いで見たら翌々日に空きがあったので、さっそく予約を入れる。
ここまできたらもう、いろんなことをあまり先延ばしにしたくなかった。

外に出たらほんの1時間の間に雨は止み、
空気は洗われて眩しいくらいの晴れに変わっていた。
やっとこれで、動き出すことができる。
シンプルにこの天気みたいな気持ちだった。

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