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フィンランドの学校が抱える課題とは

2016.12.26に書いた記事

フィンランドでのインターンを終えて、先日帰国しました。

これまで良いところを中心にフィンランドの教育を紹介してきましたが、いくつかの問題を抱えていることが滞在している中で見えてきました。

フィンランドの学校では自由が多く、校則やルールはほとんどありません。授業中であっても、スマホを手にゲームやSNSで遊んでいる生徒も中にはいます。先生は、カバンにしまうように指示したり、すぐには注意しなかったり、授業前に一旦預かったりと、それぞれです。
それでも、どうしてもモチベーションを下げる要因になってしまってることに悩んでいる先生もいます。

ただ、先生達はスマホの持ち込みを禁止するという策はとらず、あくまでスマホがある環境の中でどう学ぶかという視点で議論をしています。授業の中でスマホを使うこともあります。

また、フィンランドでは公立学校の中で多様性を持たせようという方針をとっています。特別な支援が必要な子供であったり、これまでの教育が合わない子供であっても公立学校の中でその子供にあった支援をすることを目指してきました。
その結果、フィンランドの99.7%の子供が学校へ通い、義務教育を修了しています。最近ではこれまで以上に、子供を排除せず様々な子供を公立学校で一緒に学ばせることを重視しています。

ですが、その一方で、国からの教育予算は年々減り、人手が足りないという問題も抱えています。現場にいる先生はいくら個人に合わせた教育をしようを思っても、一人で対応し切れないことは当然あります。本当はもっと支援をする大人がいるといいけれど、予算が十分にないので難しいという話も耳にしました。

高校3年生の最後には全国統一試験が行われます。その結果は、卒業にも大学進学にも影響するもので、生徒にとっては初めての大きな試験です。その試験が、ペーパーテストから徐々に各自のPCを用いてオンライン上で受ける試験に切り替わります。2019年には、全ての教科でPCを用いた試験が導入されます。数学の先生は、内容を教える以前に数式を入力する方法を教えなくてはいけません。「全てをIT化するのではなく、時には紙とペンを使って考えることも必要。」という意見がある一方、「時代に合わせて変えて行くことが大切。試験方法を変える取り組みはとても意味のあることだ。」という意見もあります。
国が決めた方針が現場の教育に大きな影響を与える、という点はフィンランドも日本も変わりません。

世界中から注目され続けているフィンランドの学校でさえ、決して完璧で理想的な教育が行われているわけではありませんでした。ただ、学力向上が第一とは考えておらず、変化する時代と子供に合った教育を常に求め続けていると言う点は事実であったと思います。

日本はこれまで長い間、経済大国を目指して教育を行ってきました。今ではその目標は達成され、物の豊かさでは世界のトップレベルです。

一方で、自己肯定感は低く、幸せを感じる人が少ない日本。
これまでやってきた教育は今の時代と子供には合っていないということを、学校へ行かないことを選択した子供は既に気づいています。学校へ通っている子供も、その保護者も、多くの人が気付き始めています。学校へ行かない子供が増え始め、民間で新しい学校を作る動きが徐々に広がっているこの現状がこそが、今の公教育に問題があることを表しているのではないでしょうか。

公教育の質が下がり、誰もが学校の在り方に疑問を持ち、不信感を募らせる日本の教育は、絶対に変えていく必要があります。なぜなら、それが公教育だからです。公立学校は、誰もが等しくその人の能力にあった教育を無償で受けられるはずの場所です。そこを変えない限り、教育の問題は解決しないと私は思っています。

フィンランドの公教育の質が高いことは確かです。けれど、今の日本にあるオルタナティブスクールやフリースクールなどの新しい学校の取り組みは、フィンランドの先をいっているように感じます。

国が定めた学校以外にも目を向けた時、日本では既に各地で多様な教育が行われていることに気付きます。

その様々な教育の場をもっと公に開いていくと共に、既存の学校も時代と子供に合わせて多様化していくことが、これからの教育に求められていることだと思います。


最後までお読みいただきありがとうございます(*´-`) また覗きに来てください。