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大人だって、習い事を。脳を活性化させるアート【臨床美術の世界】

先日、臨床美術というアートセラピーがあると知って、子どもの様子を見学、そして体験もさせてもらいました。

一度体験するとその魅力に惹かれてしまい、その後すぐに大人向けの教室に申し込みをしてしまいました。教室での様子をこちらの記事で紹介したいと思います。

「脳を活性化させる」ってどういうこと?

講師は、チョコレートバイヤーでもあるミリ先生( @chocochoco_miri )。

1枚の白い紙に「好きな色で十字を描いてください」と言われます。私はオレンジのオイルパステルを手にとって、大きく十字を描きました。

その後、言われた通りに右上に太陽、右下に家、左上にお花、を描いていきます。この3つは子どもの頃によく描いたし、イラストでもよく目にしているのでサクサクと描くことができます。

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最後は左下。何を描くのかと思ったら、「今朝、起きたときの気持ちを描いてください」と言われます。

今朝、どんな風に起きたのかを思い出し、そのときの気持ちに合った色を選び、ぐるぐると何色かを重ねて、気持ちを表してみました。

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太陽や家、花は、「記憶力の絵」だと言います。既に私たちの頭の中に、アイコンとしてインプットされていいるので、頭を使わずに描くことができます。

一方で、「朝起きたときの気持ちを表現する」となると、朝の気持ちをもう一度思い出すことで心が動き、それを色で表現しようとすることで頭も使います。

そして、ミリ先生はこう言います。

今朝、スッキリ起きたことを真っ黒に塗ることで表現してもOKです。その人にとってのスッキリがその表現だから。人と比べるものではないし、上手いも下手もありません。自分のゴールに向かえばいいんですよ。

五感を使って、自分のリンゴを描く

ここまではほんの導入で、いよいよここからがメインとなる作品づくりです。

渡されたのは、りんご。

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まずは、両手で持って、表面を触る。少しネチャッとした手触りです。

次に、色を見る。赤だけではなくて、色んな色が混ざり合っています。白い点々があって、黄緑や白っぽくなっているところもあります。

そして、匂いを嗅ぐ。ほんのり香る。

もう一度、見る。次は、色ではなく形を。
よく見るとりんごは五角形に近い形をしています。うっすら線も入っている。

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最後に、重さを感じる。両手で持つと軽いけど、片手でへたを持つと、ずっしりと重い。

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こんな風に、りんごをじっくりと観察してから描き始めます。

りんごの中で一番明るい2色を選んで、まずはぐるぐるとりんごの形を描く。

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そして、さらに5色を選んで、「自分のりんご」を描いていきます。8人の大人が、それぞれのりんごに集中。

納得がいくまで描いたら、最後は粉をかけて磨き、艶を出す。

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ツヤツヤになったら、はさみで切る。

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最後は色画用紙に貼り付け。どの色画用紙を台紙にするか、どの色を重ねるか、それも自分で選びます。じっくり考える人もいれば、パッと決めてしまう人も。

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最後は、みんなの作品を飾って鑑賞の時間。ミリ先生は、それぞれの作品の良いところを丁寧にコメントをしてくれます。

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参加してみて思ったこと

大人になった今、子ども時代よりも視野が広がったと思いますが、一方で、今目の前にあるコト・モノに集中し、没頭することは少なくなったような気がします。「集中する」と言っても、それは仕事の生産性を高めることが目的だったり。

「何のため?」を一旦置いておいて、ただ目の前のモノを観察して、目の前のコトに集中してみる。そんな時間は、久しぶりだったなと思います。

臨床美術は、認知症の予防や症状改善、子どもの感性教育、働く人のストレス緩和にも効くアートセラピーの一つ。

まさに、アートで癒しを得られた気がします。思った以上に頭を使ったようで、夜はぐっすり眠れました。

そして、みんなで同じことをするときに、私たちの中に染み付いているのが、「他者と比べてしまう」というところではないでしょうか。

子どもにはよく、「人と比べなくていいんだよ」と言ったりもしますが、いざ自分のこととなると、どうでしょう?

今回、私を含めて8人の方が参加されていました。壁に貼られたそれぞれの作品を見て、私は思わず「うわぁ、、みんなめちゃくちゃ上手い。もしかして、この中で私が一番下手なんじゃ‥‥?」と思ってしまいました。

でもミリ先生は、「自分のリンゴを描けばいいんですよ」と繰り返し言ってくれていました。

大人になると、「人と比べなくていいんだよ」なんて相手に言ったりするけれど、やっぱりどこか気になってしまうもの。

自分がその気持ちを感じ続けることで、子どもとの関わりの中でも「どんな言葉をかけるか?」以外の何かが変化するかもしれません。


しばらく作品を眺めていると、相手の作品も自分の作品も、「その人らしさ」が出ていることに気づきます。りんごを見る角度や使う色、画用紙の色、サインの書き方など。一つ一つが、その人の感性で創造されたものなのです。

鑑賞の時間をじっくり味わうことで、本当に「上手い下手はない」と感じることができました。


次回は、7月17日(土) 13時から。お問い合わせは、ラーンネット・グローバルスクールさんへ。

最後までお読みいただきありがとうございます(*´-`) また覗きに来てください。