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『1秒先の彼女』タイミングが早い女性と遅い男性のすれ違いと縁を描く台湾映画

郵便局で働く30歳のシャオチーは、美人で彼氏ありの後輩をちょっとうらやみながら、毎日わざわざ窓口に手紙を出しに来る変な男性などの対応をしている。

子どもの頃から、なぜかみんなよりワンテンポ早く行動してしまう癖があり、早口でせっかちのように見える。歌も踊りもずれてしまう。

ある日、ダンス講師を副業としているというハンサムな男性に出会い、バレンタインデーを一緒に過ごす約束をするが、その日が消えてしまった!

抜け落ちた記憶を取り戻すために、休暇を取って旅に出るが――。

ファンタジーな設定で、「ヤモリ」や「消えた一日」のシーンはかなりシュール。主人公が忘れていた思い出や失踪した父親など、過去にまつわる謎解きが仕組まれたミステリーでもある。ラブコメだが、しみじみとする。

「時間」をテーマにした設定は、あり得ないと思いつつ、あり得るかも?と思わせる妙な説得感がある気もするから、不思議だ。

「30歳でやっと愛する人に出会えた!」というストーリーだが、まだ30歳なんて若いじゃん!と思う。もしかしたら台湾の平均初婚年齢は日本より低いのか?と考えてちょっと検索してみたら、30歳前後らしく、日本と変わらない。まあだから、焦り出す年齢なのかな。

主役を演じたリー・ペイユー(李霈瑜)はすごくかわいいという俳優ではないのかなと思っていたら、もともとモデルをしていたらしい。確かに着替えのシーンでスタイルが意外によいと思った。とてもチャーミングで好感が持てる。

「変」なバス運転手を演じたリウ・グァンティン(劉冠廷)は、愛嬌と哀愁の両方があってすてき。南国の台湾っぽい顔立ちに見える。

主役の後輩役のヘイ・ジャアジャア(黒嘉嘉)は、「いきなりすごい美人が出てきた!」と思ったが、囲碁棋士・七段だとは。父がオーストラリア人で、母が台湾人らしい。

イケメンダンサー(?)を演じたダンカン・チョウ(周群達)が出演したという2004年の映画『僕の恋、彼の秘密』は昔(公開時ではないが)見た気がする。

桃の皮が1枚ずつ剥けるように真実が明らかになっていく構成と、衝撃の展開と、美しい景色と、なかなかの苦労をしてきて決して裕福ではない若者2人の幸せを目撃できる映画だった。

台湾に行きたくなる!豆花(トウファ)も食べたい!

作品情報

原題:消失的情人節
英題:My Missing Valentine

2020年製作/119分/G/台湾

配給:ビターズ・エンド

監督:チェン・ユーシュン(陳玉勲)

キャスト:
リー・ペイユー(ヤン・シャオチー役)
リウ・グァンティン(ウー・グアタイ役)
ダンカン・チョウ(リウ・ウェンセン役)
ヘイ・ジャアジャア(ペイ・ウェン役)


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