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「ル・グラン・ガラ 2023/Aプロ」パリ・オペラ座バレエ(東京文化会館)

パリ・オペラ座バレエのダンサーたちによるガラ。まずはAプロを鑑賞した。すべての演目が男女ダンサー2人の組み合わせだった。

クラシックバレエ

ガラで上演されるクラシックバレエは、いわばハイライト版。全幕上演と異なり、全体の流れの中ではなく単独でパ・ド・ドゥなどを見せるため、ドラマ総集編、コンクール、サーカスなどに近い印象になる。舞台セットも、今回の場合は、演目によって、ほぼ無いか、簡素に家具などの大道具が使われるのみだった。

ダンサーの技術が高いので、観客も盛り上がり、高揚感がある。おなじみの技を決めると拍手が巻き起こる。何度も見たことのある踊りでも、見るたびに盛り上がれるのは、いわば伝統芸能だからだろう。

グラン・パ・ド・ドゥは主役2人(クラシックなので多くは男女)のテクニックを披露するもののため、それぞれが跳躍や回転技を繰り出し、「2人の踊り」という名称でも意外と2人の絡みは少ない。

古典芸能系は少しでも自分でやったことがあると、見るときの楽しみが格段に増すと思う。出演ダンサーのテクニックがすご過ぎて笑ってしまうほどだった。人間業とは思えない。なぜあんなにぶれずに安定して跳躍や回転ができるのか?驚異的だ。

生演奏

多くの演目は録音音源を使用していたが、『ソナタ』(ラフマニノフ作曲)はピアノとチェロの生演奏、『3つのグノシエンヌ』(サティ作曲)はピアノの生演奏だった。

生演奏はやはりいい。最初の生演奏だった『ソナタ』は演奏だけでも涙がにじんでしまうが、踊りも演奏に寄り添うようで(音楽が踊りに寄り添ってもいるから、寄り添い合っているのか)、体が楽器として音楽を奏でているようですてきだった。

20世紀以降のバレエ作品

ウヴェ・ショルツ振付の『ソナタ』、ジョン・クランコ振付の『オネーギン』、ローラン・プティ振付の『カルメン』、ハンス・ファン・マーネン振付の『3つのグノシエンヌ』、ジョージ・バランシン振付の『ジュエルズ』、ピエール・ラコット振付の『赤と黒』のうち、映像や作品の一部を舞台で見たことがあるのは『カルメン』と『ジュエルズ』(あともしかしたら『オネーギン』)だけだったと思う。(19世紀の作品かと思うが、マリウス・プティパの『サタネラ』も知らなかった)

ケネス・マクミランの『マノン』もそうだが、『カルメン』と『赤と黒』など、20世紀以降に作られた物語のあるバレエには直接的に性的な振付が含まれることも多い。過激なわけではまったくないが、19世紀以前のバレエと比べるとなかなか露骨な表現だ。

『オネーギン』の鏡のパ・ド・ドゥは、鏡の中から男性が現れるという面白い趣向。

『カルメン』ではカルメンの脚がピーンと伸びて、プティはやはり脚フェチ(?)なのだなと感じる。

『ル・パルク』

映像で見たことのある『ル・パルク』を生で見たかったので、一部だけでも(最も有名なパートだろう)見られてうれしい。

2人がキスしたまま、女性が男性の首に両腕を回し、男性が女性を持ち上げて、男性がぐるぐる旋回し、女性の足が床から離れるシーンは、バランスを取るのが大変そうだが美しい。相手の体に頭や手を這わせる振付は嫌らしくはないがドキドキする。2人の気持ちが高まり、愛が発展していく。

Aプログラム

第1部(60分)

『海賊』
振付:マリウス・プティパ  音楽:アドルフ・アダン
ビアンカ・スクダモア  トマ・ドキール

『ソナタ』
振付:ウヴェ・ショルツ  音楽:セルゲイ・ラフマニノフ
レオノール・ボラック マチュー・ガニオ
ピアノ:久山亮子 チェロ:水野優也

『オネーギン』より鏡のパ・ド・ドゥ
振付:ジョン・クランコ  音楽:ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー
アマンディーヌ・アルビッソン  フリーデマン・フォーゲル
※『くるみ割り人形』より変更

『カルメン』
振付:ローラン・プティ  音楽:ジョルジュ・ビゼー
リュドミラ・パリエロ  オードリック・ベザール

『ル・パルク』
振付:アンジュラン・プレルジョカージュ  音楽:ウォルフガング・アマデウス・モーツァルト
ドロテ・ジルベール  ユーゴ・マルシャン

『ドン・キホーテ』
振付:マリウス・プティパ  音楽:レオン・ミンクス
クララ・ムーセーニュ ニコラ・ディ・ヴィコ

(休憩20分)

第2部(55分)

『白鳥の湖』より第2幕 ★
振付:マリウス・プティパ  音楽:ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー
アマンディーヌ・アルビッソン オードリック・ベザール

『3つのグノシエンヌ』
振付:ハンス・ファン・マーネン 音楽:エリック・サティ
レオノール・ボラック フリーデマン・フォーゲル
ピアノ:久山亮子

『サタネラ』
振付:マリウス・プティパ 音楽:チェーザレ・プーニ
ビアンカ・スクダモア トマ・ドキール

『ジュエルズ』より“ダイヤモンド” ★
振付:ジョージ・バランシン  音楽:ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー
リュドミラ・パリエロ マチュー・ガニオ

『赤と黒』より寝室のパ・ド・ドゥ ★
~ラコットへのオマージュ~
振付:ピエール・ラコット  音楽:ジュール・マスネ
ドロテ・ジルベール ユーゴ・マルシャン

※『イン・ザ・ナイト』は『白鳥の湖』『赤と黒』『ダイヤモンド』(★印の演目)に変更

公演情報

2023年
7/31(月) Aプロ 19:00開演
8/1(火) Aプロ 13:30開演
8/2(水) Aプロ 13:30開演 Bプロ 18:30開演
8/3(木) Bプロ 18:30開演

東京文化会館大ホール

Aプログラム
Bプログラム

S席 ¥18,000
A席 ¥16,000
B席 ¥14,000
C席 ¥11,000
D席 ¥8,000
E席 ¥5,000
プラチナシート(1階最前列 特典付き) ¥22,000
プラチナシート特典:出演ダンサー全員との集合写真


Aプログラム


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