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モーリス・ベジャール・バレエ団「シンコぺ(Syncope)」ジル・ロマン振付:大人のためのファンタジー

モーリス・ベジャール・バレエ団の2018年の公演「シンコぺ(Syncope)」の映像が期間限定(2020年4月10~13日)でオンライン公開された。約35分。

無料の映像配信は、新型コロナウイルス感染症の拡大防止のための措置で世界中で公演が中止になり、その代わりに映像配信が加速化している状況の一環。

ジル・ロマン振付の作品はおそらく初めて見た。モーリス・ベジャール振付の作品を多く踊ってきたダンサーだが、この作品はベジャール作品とはだいぶ違った雰囲気だ。むしろローラン・プティに近い感じ?

普段着のような格好の男性と、中国の陶磁器のカップのようなものを帽子としてかぶっている女性が登場し、「ふざけているのか?!」と一瞬思ってしまったが、この男性の夢の中のストーリーのように展開していき、面白い。

『不思議の国のアリス』のようにファンタジックだが、大人のムードで、ロマンティックで少しエロティック。少し体を押さえているだけのように見えるリフトなどが独創的か。

はっきりとした筋はなさそうだが、物語性を感じさせ、音楽も楽しく、飽きさせない。冒頭の男女のほか、デュオやトリオ、群舞などでの踊りが展開される。

サーカスのような趣もあり、舞台の奥には布が垂らしてあり、その隙間から出入りできる。体が沈み込み、背もたれから通り抜けられるソファも登場する。

ダンサーたちは皆スタイルがいいが、ヨーロッパ系、アジア系、おそらくアフリカか中南米系の人などいろいろいる。

アフリカや東アジアをステレオタイプ的に扱ったシーンや動きもあったかなと思うが、まあそんなに嫌な感じはしなかった。

全体的に楽しい雰囲気の作品だった。

▼ダンス公演のレビューなどは「ダンス評.com」にもまとめています。



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