見出し画像

勅使川原三郎 振付・出演『銀河鉄道の夜』シアターX

宮沢賢治の同名の童話を原作とする朗読&ダンス公演。

勅使川原三郎氏がジョバンニを、佐東利穂子氏がカムパネルラを踊り、佐東氏が録音による朗読を担当した。ほかの(カラス・アパラタスのと思われる)ダンサーたちが、2人のクラスメートや銀河鉄道の乗客を演じる。

いつものことながら今回は特に勅使川原氏による照明が美しく、星の夜空や地上の川べりの暗闇、天上を思わせる天の川のきらめきなどが舞台上に見事に現れていた。

舞台セットは、これもいつもながらと思われるが、簡素で、上手に椅子、舞台手前に透明なプラスチックのかけらのようなものが横長に敷きつめられたものが置いてある。

言葉をジェスチャーのように表現する場面も少しあるが、主に舞台中央で心象風景を踊る。

あらためて、宮沢賢治の『銀河鉄道の夜』という物語はこんなにも悲しく、そして優しいものなのかと思った。本を読んでいるだけで泣けてくるのに、それに勅使河原氏と佐東氏のダンスが創造されるとなると、手の届かない、しかし実は私たちの誰もが行くことになるあちら側の世界と、つかの間しかいられないからこそますます貴重に感じられるこちら側の世界とが、舞台上で一瞬つながり、清らかで残酷でもある場所へと飛ばされる。

佐東氏もだが、勅使河原氏が本当に少年のように見えるのが、いつもながらすごい。しなやかな軽やかさと、子どもとしての恐れがのぞく。何十年もこの世に生きていて、なぜ新鮮な身体を保ち続けられるのだろうか?どうやって生と死に恐れおののくように踊ることが可能なのか?

不思議なダンサーというか、存在である。

作品情報

構成・振付・演出・照明・美術・音楽:勅使川原三郎
出演:勅使川原三郎 佐東利穂子 ほか

9月19日(土) 19:30
9月20日(日) 19:30
9月21日(月・祝) 16:00
9月22日(火・祝) 16:00

料金 (全席自由/税込/入場整理番号付)
一般/前売 ¥4,500・当日 ¥5,000
学生 ¥3,000
シニア(65歳以上) ¥3,000


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?