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『ワイルドサイドをほっつき歩け ハマータウンのおっさんたち』ブレイディみかこ著:違いは多々あるがつながる労働者階級

イギリスに住む著者が同世代の中高年の悲哀と愛(?)を活写する本。

著者の夫の長く続く頭痛について。

あまりに頭が痛いので、癌科のアポを取った。だが担当医師との予約は九週間後だ。
「癌科の予約が九週間待ちってすごくない?」
とわたしが驚くと、連合いは答えた。
「うん。待ってる間に死ぬ人もいると思う」
(pp. 124-125)

NHS(National Health Service、国民保健サービス)の崩壊具合が垣間見えて恐ろしい。

労働者の立場が弱すぎる現代に求められる新しい労働者階級の姿とは、多様な人種とジェンダーと性的指向と宗教と生活習慣と文化を持ち、それでも「カネと雇用」の一点突破で繋がれる、そんなグループに違いない。
(p. 239)

生活は大変だが、反目するのではなく、連帯する。ネガティブにつながるのではなく、困難も時に笑いで吹き飛ばして、ポジティブにゆるりと手を結ぶ感じか。


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