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海外留学で触れられる世界のリアル


イギリス滞在中は、アジア時代からのお友だちやイギリス在住の以前からの知人に会うこともありましたが、現地で出会った人たちとも積極的にコミュニケーションをとっていました。イギリスにやって来て一番最初に出会った香港留学生のママAさんとは、滞在中何度かお会いしてロンドン観光を楽しんできました。

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香港の今

観光の合間にお茶をした際、お互いになぜ子どもを留学させるのか、どうしてその学校を選んだのかといった教育の話から、今の香港はどうなのか?日本人は中国をどう思っているのか?など…国際的でリアルな内容に話が及びました。

Aさんは、香港はデモも落ち着いて一見平和だけれども…みんな我慢しているだけ。自分の意見を発するものは逮捕され、香港の政治関係者にはYesマンしかいないのだと、今は誰も言いたいことが言えない香港になってしまったと嘆いていました。そして経済は先行き不透明、多くの香港人が子どもをイギリスなど海外に送り込んでいて、今年、香港国内のエレメンタリーでは数千人分の入学がキャンセルされたのだとか。長男の学校の新入生のうち留学生は、半分以上が香港からなのだそうで、イギリス政府による香港からの移民の受け入れの影響から香港の留学生は確実に増えているということを実感しています。

これからの香港も心配だけど、世界はどうなるんだろう??日本人から見て中国のリーダーはどう見える?などといったつっこんだ質問をされて、香港ではできないような会話を街のカフェでしていました。ニュースではない生の声を聞き、発想や表現の自由は奪われ、人権も蔑ろにされている…そんなことが本当に起こっていて、そんな国が今まさに世界のリーダー的存在になろうとしているのだということに危機感を覚えてしまいました。


世界から遅れをとる日本は必然

日本は単一民族国家で、陸上ではほかの国との国境に接していませんし、移民も少ない国です。だから英語はもちろん、海外のことがなかなか耳に入らないし、ましてや肌では感じることはほとんどありません。その知識はあまり必要とされないように思います。が、そのことが実は日本が世界から遅れをとり続ける一因となっているのだと私は感じています。

パンデミックが起きた頃の海外と日本の温度感の差は明らかでした。2月初めには、アジアのインターもすでに大騒ぎとなっていました。毎日、学校で会う保護者とはその話題ばかり。チャイニーズニューイヤーにはこぞって帰国する中国系の人たちも帰国する家庭は皆無でしたし、いつ自分たちの母国が入国を制限されてしまうのかも常に心配事でした。一方、日本の家族に話すと大袈裟、気にしすぎと、誰も取り合ってくれず、日本国内では報道もあまりされていないようでした。日本政府の対応が遅れたのは必然だったと思います。

数日前の日経新聞で、30年間横ばいの日本の年収という記事を目にしました。この30年間、アメリカは平均収入が48.8%、OECD平均では33.8%上がっているのに対し、日本はたったの4%だそうです。(それはイギリスの物価が高いと感じるわけです!)世界から取り残されているのは情報だけでなく、経済的な観点から言っても明らかです。

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nikkei.comより


世界を目の当たりにする

上がアジアのブリティッシュスクールに留学した年(当時10歳)は、トランプ大統領が誕生した年でした。上からトランプになっちゃったねとメッセージが届いたことを覚えています。そしてその後Brexitが起き、世界に大きな変化があった年でした。学校でもその話題ばかりで、金融系に携わる寮生の保護者の方がなぜBrixitが起こったのかというプレゼンを寮生たちにしてくれたそうです。

また、当時寮で仲良くしていたMuslimのお友だちのラマダンを実際に目の当たりにした上は、その友だちをかわいそうだ(みんながご飯を食べているのに水しか飲めないから)という話もしてくれましたが、きっとイスラム教という宗教のことについて知った今は、また別の感情や想いが彼の中にはあると信じています。

留学して世界各国の政治や社会、文化や宗教に触れる機会が日常にあることで海外で学ぶということがどれだけメリットがあるのかはまだ我が子には未知ですが、親として感じるのは、これはこのように言葉で表現する以上に大切で大きな意味があることだということです。上はアジアに留学してから、子どもたちが学校に行けず働かなければならない世界があるということを目の当たりにし、貧困問題に関心を持つようになりました。それ以降、将来の目標に貧困問題をなんとかしたいという気持ちを持っています。


これからの子どもたちに求められること

終戦以降これまでは、大国を中心に経済が発展し、競争が叫ばれる世界でしたが、これからは世界が団結し課題を解決できなければ、地球にも限界が見え始めています。世界で起こっていることをどれだけ身近に感じ、自分ごとにできるか、思いやりを持って課題に立ち向かうということがこれからを生きる若い子どもたちには必要とされ、競争ではなく協働が求められています。

日本でもここ数年、メディアなどにも多く取り上げられSDG'sという言葉が流行っているというように感じています。ちょっとオシャレ感覚のような取り上げられ方に若干違和感を覚えているのですが、SDG's自体が広まることはとても良いことだと思います。ただ、それも机上の空論になってしまわぬように、実際に肌で感じることも大切だと思います。そういう感覚を肌で感じて身につけることができることも留学のメリットの一つです。

今、日本の若者はなかなか海外に出ないと言われていますが、今の政治や教育の問題点を見て思うのは、若い世代にはどんどん表に出て世界を見て感じてほしいということです。誰もが簡単にできることではありませんが、日本の学校で学んだことを世界に出て肌で感じることで、思いやりをもって取り組むことができるようになるし、日本の未来を明るくしていくことに繋がるのではないでしょうか…

最後までお読みいただき、ありがとうございました♡




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