山下智久が好きだった
僕は山下智久に憧れていた時期があった。中学生くらいまでかなり憧れていた。
山下智久を知ったのは小学生の半ばくらいだった。寝ころびながらキンキキッズの番組を観ていたら、赤いスーツを着たジャニーズのグループが出てきたのだ。もちろんそれはNEWSでそのセンターが山下智久だった。僕は小学生ながらに衝撃を受けた。こんなにかっこいい人がいるのかと思ったのだ。僕が初めてかっこいいと思った人かもしれない。
その後しばらくして、『ドラゴン桜』というドラマが始まった。そこにもまたかっこいい人がいると思ったら山下智久だったのだ。『野ブタをプロデュース』の時もそうだった。このあたりから『山下智久』という名前を認知した。そして、『クロサギ』が始まった。僕は小学生の頃からインターネットに触れていたので、山下智久の画像をひたすら探していたり、情報をみていた。それくらいぞっこんだったのだ。初めて買ったCDも『抱いてセニョリータ』だった。そして、『プロポーズ大作戦』が始まった。この頃はよくテレビを観ていた。テレビ番組で曜日感覚を認識していたくらいだ。
とにかく僕は山下智久が好きだった。中学生の頃になると、画像をプリントアウトして美容院にもっていって、「こうしてください」と頼んだりしていた。ただ、『ブザービート』や『コードブルー』の頃にはもう興味が薄れていた。男女問わず、アイドルに憧れる時期があるのかもしれない。そして、それが続く人もいれば、卒業する人もいるのかもしれない。僕の場合は中学半ばでもう山下智久に興味はなくなっていた。
今思うと、なぜあれほど好きだったのか分からない。単にかっこよかったからなのか。それ以上に何か魅力があったのか。そりゃ芝居もできて、歌も歌えて、踊りもできる。ただ、失礼だが物凄く芝居が上手かったり、歌が上手かったりするわけではないと思う。僕は踊りのことは分からないから何とも言えない。それでも好きだったのだ。山下智久には何か切なさみたいなのがあるからなのかもしれない。僕はこういう切なさをもっている人が好きなのだ。また、過度にかっこつけていないのも魅力だったのかもしれない。
山下智久の次はラルクアンシエルのhydeに憧れて、次にカートコバーンに憧れて、次にジョンレノンに憧れて、今はボブディランだ。山下智久からボブディラン。何の共通点もないじゃないか。まあとにかく、僕は色々憧れるのだ。
僕は小学生の頃から山下智久みたいになりたいと思っていたが、実際はもちろんそうはいかなかった。僕は今年30歳になるが、山下智久は30歳までに色々なことを成し遂げている。おまけに僕は鬱ときている。山下智久は今なお、活躍している。英語を活かして、海外でも仕事をしている。そして未だにかっこいいときている。ああ、僕は何をしているのだろう。
僕は最近YOUTUBEで昔のジャニーズの動画を見たりしている。僕は今年30歳になるのに何を見ているんだと思う。別に僕は変な趣味はない。もちろん女好きだ。ただ、昔のジャニーズの曲は良いのだ。「こういうのでいいんだよ」って感じなのだ。大体、タッキーがジャニーズジュニアくらいだった時代の動画を見ている。僕はその時代に生まれたので、リアルタイムではもちろん見ていない。このあたりのジャニーズは全盛期だったらしい。確かにルックスも曲も良い。僕が思うに、これは日本人に向けて作っているからだと思う。マーケットを日本に絞っているからだ。今は世界志向や韓国の影響が強いので、何だか面白くなく感じる。
まあとにかく、昔のジャニーズの曲は「こういうのでいいんだよ」って感じの曲が多くていいのだ。僕は今鬱でヘロヘロなので、小難しい音楽を聴きたくない。僕は18歳頃から今にかけて小難しい洋楽を聴いてきた。「邦楽なんて聴いてられるか」、「ジャニーズなんて聴くわけないだろう」って思ってきた。ただもう一周して、昔のジャニーズみたいな曲がいいのだ。ボブディランなんて辛気臭い音楽を聴いていてはいけない。
そんなことより山下智久だ。僕はとにかく一時期狂ったように彼に憧れていた。いつの間にかその熱は冷めた。今僕は鬱でヘロヘロで横になりながら「そういや昔山下智久が好きだったな」と思い出したのだ。あの熱は一体なんだったのか。鬱が治ったら、彼のドラマを見返したり、音楽を聴いたりしてみようかと思う。