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たまたま読んだ本035 「ウルトラ・ニッチ」スマホひとつで小さくはじめ、日本の商材を世界へ 今すぐ始めよ

ウルトラ・ニッチ

コロナ以降、日本を訪れる観光客が増え、地元住民が不便を被るオーバーツーリズムが問題となっている。姫路城では外国人観光客を4倍の料金で受け入れる案を検討しているほどだ。もっとも日本だけに限ったことではなく、世界的に問題になっている。何か根本的な解決策を見出す必要はあるが、それはそれとして、この本は、ニッチな商材を取り扱い、世界に打ち勝っていく興味深い物語だ。

WAGYUMAFIA展開している著者は、その商材として、和牛を選んだ。
国が和牛と認定しているのは在来牛4種類のみで、黒毛和牛、褐毛和種(赤牛)、日本短角種(短角牛)、無角和種だ。海外産の和牛は黒毛とホルスタインなどとの交雑で和牛ではなく国産牛扱いだが、海外ではWAGYUとして売っている。神戸ビーフといえば、兵庫県で生まれ育った最高級の但馬牛の肉のみをいうが、想像をはるかに超えて世界で知られる食材だ。

著者は、人生のどん底にいたとき、たった一人、自宅のリビングや近所のスターバックスを仕事場にスマホひとつで和牛ビジネスをはじめた。

和牛の輸出は参人障壁が高く、誰でもできるわけではない。そして高付加価値の食材で、差別化ができて、メイド・イン・ジャパンを象徴できる。本気でやれば海外に日本をアピールできる。そんなアイテムは和牛以外にないと思った。

今ほど、小さく、一人で始めることに、適している時代はない。
すべて一人で全部やればいい。できる限りプロの手は借りない、いろいろなメディアにノウハウが転がっている。そこから勉強して自分でやる。
一人だから、熱量を持って居れば助けてくれる人もたくさん出てくる。
一人でやろうと考えれば、すべてのことが可能で、圧倒的なスビードも手にでき、大きな可能性が見えてくる。という。

だが、そのためには少なからず努力がいる。
著者は英語もできる。これは圧倒的な強みだ。海外に出るには海外の人とコミュニケーションができないと始まらない。ただ牛のことは何も知らないし、元々料理人でもなかった。
だから、とことん調べ、徹底的に人に会いに行き、短期の修行や圧倒的な情熱がある人を見つけるなど、経験から得たノウハウを語る。

著者の能力もあるが、徹底的な努力の末に和牛の世界で地位を築いていく過程が、偶然の人脈をうまく生かしていく物語だ。
結局は人脈である。いかにキーパーソンやスペシャリストと出会いタグを組んでやっていけるのか?積極的に外に出ることで人の出会いが始まる。

今、日本食を食べることがファッションでありモードになっている。日本の食材はもっとプランディングすれば、高く売れるようになる。和牛以外にも、気になる高級食材はたくさんあるはずと日本食での海外進出を勧める。

モノはすぐに真似され、リピートがほとんどない。食は食べるとなくなるのでリピートに最適で、数ある日本の誇れる商品、食品、サービスを、小さく始めて、とことんニッチを攻めていけば、日本を飛び越えて世界でも十分勝つことができると訴える。

またハイエンドの市場を作りマーケットを広げることで、生産者から安定して買い付けができ、日本の生産者の育成のもつながると付け加える。

良さをわかる人だけに売っていくと、良さがわかる人がその良さに感動して、良さがわかる他の人を連れてきてくれると、事業のPRの方法まで言及する。

熱量を持った積極的な行動力と努力が良い人とのめぐり逢いを作り、事業を拡大させていく。その事業を徹底的に好きになることだ。何故なら努力はスキに勝てないから。

ウルトラ・ニッチ

出版社 ‏: ‎ ダイヤモンド社 (2024/1/31)
発売日 ‏: ‎ 2024/1/31
単行本 : ‏ ‎ 328ページ
定 価 :  1500円+税 

著者プロフィール

浜田寿人 (はまだ・ひさと)
WAGYUMAFIA JAPAN 株式会社 代表取締役、YAKINIKUMAFIA JAPAN 株式会社 代表取締役 WAGYUMAFIAエグゼクティブシェフ
1977年生まれ。米国留学の後、20歳にてソニー本社最年少入社。株式会社カフェグルーヴを22歳にて立ち上げる。映画メディアCINEMACAFEを創立し、モバイルでのオンラインチケッティングシステムの開発、劇場システムのデジタル化や独自の映画配給レーベルの立ち上げなど、映画のデジタルマーケティングの先駆者となるも、民事再生。会員制フレンチレストラン「COPON NORP」及びハリウッドの食のドキュメンタリー「フード・インク」の配給を契機に和牛の世界へ。 2014年より神戸牛・尾崎牛などのトップブランド和牛をロンドンへ輸出する事業をスタート。2016年WAGYUMAFIAとして初のポップアップを京都祇園にて開催。WAGYUMAFIAとは 浜田寿人と堀江貴文で結成した、「日本の和牛を世界一にする」プロジェクト。和牛の食材としての魅力を伝えるために世界100都市のワールドツアーを敢行。世界のトップシェフと日本の和牛を使ってDJのように独自の料理にしていくのが話題になり、全世界の名だたるVIPから指名される世界のトップレストランへと成長した。現在グループで世界で23店舗(日本、香港、オーストラリア、サウジアラビア)にレストランを展開している。またエグゼクティブシェフとしてミラノコレクションのメインイベントとなるモンクレール70周年の晩餐会をプロデュース、F1バーレーンの晩餐会プロデュース、中東にて王国の晩餐会プロデュースなどを手掛ける。今でも月の半分はキッチンで過ごし、世界から訪れるVIPゲストに向けて料理を振る舞っている。 WAGYUMAFIAの活動を通して、「世界で勝てる日本の食ビジネス、日本の高級商材は他にもたくさんある」と確信。「小さくはじめ、ニッチをとことん攻めれば、世界で勝てる」ということを伝えたくて、本書を執筆した。まだまだ日本に眠っている未来の和牛のようなウルトラニッチを発見し、育成、応援することをライフワークとしている。また、才能溢れる若手シェフなどの海外展開へのアドバイスなども積極的に行っている。

トップ写真:タイサンボク


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