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フランスのレコードレーベルROULÉについて

いつかどこかで書きたいと思っていたROULÉの話を。興味のない人にはどうでもいい話だとは思うのですが。全ての内容は無料ですが、形だけ有料にしました。いい感じの内容と思ったらお買い上げください。

はじめに
Daft Punkを知っている方ならROULÉというレーベルを知っている方も多いと思います。あるいはROULÉ自体を知らなくても、中古レコード屋でフレンチハウスとかダンス系の12インチを掘っているときに、レーベルのジャケットを見たことがある方も多いと思います。ここでは、ROULÉがリリースした作品の内容をレビューするのではなく(それは他でもたくさんあるし)、ROULÉの成り立ちとか、誰がレーベルに関わったのかなど、音楽よりも人にスポットを当ててみたいと思います。

ROULÉ
ROULÉ(以下、ルーレ)は1995年に設立されたレーベルで、Thomas Bangalter(以下トーマ)が設立し、Gildas Loaëc(以下ジルダ)も共に運営にあたっていました。Daft Punkの活動が1993年か1994年くらいからなので、その活動とほぼ同時期にルーレを設立したことになります。リリースの中で一番有名な曲はやっぱり「Music Sounds Better With You」でしょう。2019年にリマスターも出たみたいです(聴いてない)。個人的にはThe Avalanchesのメンバーがバンコクに来てDJをやったときに、ピークタイムでこの曲をかけていたのが印象的でした。誰もが知るクラシックになった曲だし、自分も好きです。
ルーレのリリースは全部合わせても10枚ちょっとです。中古レコードもわりと良く見かける印象で、これといったレア盤もないはず。しいていえば2002年にリリースされたIrreversibleのサントラが少しレアかもしれない。映画が怖そうなので、正直なところ個人的にはこのサントラにもあまり興味が持てない、、。いや、ルーレのこと書くなら聴かなきゃダメだろって話なのかもしれないけど。

Thomas Bangalter
ルーレの主役であるトーマは、Guy-Manuel(以下、ギ=マニュエル)と共にDaft Punkを結成しますが、その前身としてDarlin’というパンクバンドを1992年に結成します。Darlin’のメンバーはトーマとギ=マニュエルの他にLaurent Brancowitzがいて、彼はPhoenixのメンバーであるChristian Mazzalaiのお兄ちゃんで、自身もDarlin’解散後にPhoenixのメンバーに加わります。
Darlin’のときにリリースした曲が、UKの音楽雑誌で「Daft」とネガティブに評されたことが、その後のDaft Punkというネーミングに繋がったと言われています(有名なエピソード、だけど最高!)。Darlin’はDuophonic Super 45’sというStereolab周辺のサブレーベルから7インチを1枚だけリリースしています。ダフトな7インチ、欲しい。

Gildas Loaëc
ジルダは19歳の頃(おそらく1992年頃)にパリでレコード屋を営んでおり、そこにはトーマとギ=マニュエルもお客さんで通っていたようです。レコード屋がうまくいっていなかったジルダは、ギ=マニュエルとのルームシェアやらルーレの共同運営やらを経て、Daft Punkのマネージメントも務めることになります。その後、ジルダは2002年からKITSUNE(今はMAISON KITSUNE)をスタートさせます。今ではすっかりアパレルブランドの印象が強いキツネですが、スタート当初はゴリゴリのフレンチハウスのレーベルだったように記憶しています。KITSUNEのコンピ盤、その当時は良く聴いていました。

Guy-Manuel
トーマとは学生時代に出会い、トーマと並ぶDaft Punkのメンバーです。ルーレとはあまり直接の関係はなく、自身で1997年頃からCrydamoureというレーベルを運営し、20枚くらいの作品がリリースされています。例えばこの後に書いたThe Buffalo Bunchなど、ルーレとCrydamoureの共通点も少しはありつつ、やはり基本的にはCrydamoureはギ=マニュエルのレーベルであり、ルーレとは別物という感じがします。ちなみにレーベルの共同運営者はEric Chedevilleという人で、後にはDaft Punkがfeat.されたThe Weekndの「I Feel It Coming」(2016年)という曲にもクレジットされています。

The Buffalo Bunch
Play Paul(ギ=マニュエルの弟)とRaw Manによるユニットで、1998年にルーレのサブレーベルであるScratchéから「Buffalo Club」という作品をリリースしています。Scratchéはこの1枚だけしかリリースがないはずです。The Buffalo Bunch的にはギ=マニュエルのレーベルであるCrydamoureからも1999年に「T.I.T.T.S.」という作品をリリースしています。ルーレとCrydamoureの両方からリリースしているのはこのユニットだけのはずです。ルーレとCrydamoureの微かなつながり。

Stardust
冒頭で書いたルーレの代表曲「Music Sounds Better With You」(1998年)はStardustという名義でリリースされました。Stardustのメンバーはトーマ、Benjamin Diamond, Alan Braxeの3人でした。Benjamin Diamondはこの曲がデビュー曲で、その後も2000年代前半くらいは日本でも人気を博していました。Alan Braxeは1997年にルーレから「Vertigo」というタイトルの12インチもリリースしています。

Romanthony
ルーレの話ではないのですが、Romanthonyに関する一番有名なエピソードは、Daft Punkの超有名曲である「One More Time」のヴォーカルを務めていることかなと思います。ついでに「One More Time」が収録されたDiscoverというアルバムに入っている「Too Long」という曲のヴォーカルも務めています。
Romanthonyはアメリカのハウサーで、ルーレ的には「Hold On」を1999年にリリースしているのですが、この曲もそもそもはRomanthony自身のレーベルであるBlack Male Recordsから1994年にリリースされたものでした。実はルーレから「Hold On」をリリースする前に、RomanthonyとDaft Punkはマイアミで出会っていて、Daft PunkのファーストアルバムであるHomework(1997年)に収録されている「Teachers」という曲にもRomanthonyは関わっています。

Roy Davis Jr.
1998年にルーレから「Rock Shock」をリリースしています。Roy Davis Jr.はシカゴのハウサーで、オリジナルとトーマのミックスが収められた12インチの両面は全然違う仕上がりになっています。トーマのダフト節というか、Daft Punkが絡んだアレンジはこの曲に限らずどれもダフトっぽさ全開になるのが改めてすごい。

DJ Falcon
StardustのメンバーであったAlan Braxeのいとこにあたり、1999年にルーレから「Hello My Name Is DJ Falcon」というタイトルの12インチをリリースし、その後トーマとTogetherというユニットを結成して、ルーレから2枚の作品をリリースします。2000年にリリースされた「Together」は人気作で好きなひとも多いはず。DJ Falconはその後しばらくして、Daft PunkがリリースしたRandom Access Memories(2013年)収録の「Contact」にて久しぶりにDaft Punkと共演を果たすことになります。

おわりに
ルーレまわりの人たちを中心に書いてみました。自分の備忘も兼ねてこういうの書きたかったので、書けてよかったです。有料も考えたけど、単にまとめただけだし、無料でもいいかなと思ってこのまま公開します。次に似たようなことを書く場合は有料にするかも。たぶん。とにもかくにも、読んでくださった方ありがとうございました。

リリース
最後に、ルーレのリリースを載せておきます。
ROULE 301 THOMAS BANGALTER "Trax On Da Rocks" (12", 1995)
ROULE 302 THOMAS BANGALTER "Spinal Scratch" (12", 1996)
ROULE 303 ALAN BRAXE "Vertigo" (12", 1997)
ROULE 304 ROY DAVIS JR. "Rock Shock" (12", 1998)
ROULE 305 STARDUST "Music Sounds Better With You" (12", 1998)
ROULE 305 RMX STARDUST "Music Sounds Better With You" (2 x 12", 1998)
ROULE 306 THOMAS BANGALTER "Trax On Da Rocks Vol.2" (12", 1998)
ROULE 307 ROMANTHONY "Hold On" (12", 1999)
ROULE 308 DJ FALCON "Hello My Name Is DJ Falcon" (12", 1999)
ROULE 309 THOMAS BANGALTER "Outrage" (12", 2003)
ROULELP001 / ROULECD001 THOMAS BANGALTER "Irreversible (Original Soundtrack)" (2LP, CD, 2002)
SCRATCHE 701 THE BUFFALO BUNCH "Buffalo Club" (12", 1998)
ROULÉ-TOGETHER TOGETHER "Together" (12", 2000)
ROULÉ-TOGETHER2 TOGETHER "So Much Love To Give" (12", 2002)

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