見出し画像

《Toro y Moi》チルウェーヴでありロックでありダンスミュージックである。


好きなアーティストの新譜を聴くときの高揚感
それは子供の頃、クリスマスにサンタクロースからのプレゼントの封を開けるときの高揚感とよく似ている。

3歳くらいの頃「ピアノが欲しい」のリクエストに対してカシオだかヤマハだかのキーボードが届いて大はしゃぎしていた私を観た父の、ものすごく嬉しそうな顔を今でも覚えている。

おっと何の話しでしたかね。そうそう、Toro y Moiだ。

Toro y Moi a.k.a Chaz Bear トロ・イ・モワことチャズ・ベアー 本名: チャズウィック・ブラッドリー・バンディック、1986年11月7日生まれ、アメリカ合衆国サウス・カロライナ州コロンビア出身のミュージシャン、音楽プロデューサー、アーティスト、レーベルのオーナーでもある。




画像1


MAHAL

最高のフルアルバムだった。彼のアルバムはマイブームみたいなものが大きく反映されていて玉手箱のようだ。


初めて Postmanを聴いた時は驚いた。音数が極端に少ない正にベースミュージック。その挑戦を辞めない姿勢に今作も心を撃ち抜かれた。本人もApple Musicのインタヴューで「わからないけど(ファンの反応が)挑戦したんだ」と語っていた。MVとジープニーもかっこいい。


”Magazine”

サラミローズジョールイスが唄うとまるでフランス語のようだ。サラミローズジョールイスの音楽はドラムレスミュージックで対照的な印象を受ける。彼女の透明感があり可愛らしく華奢なウィスパーボイスが素敵。

”The Loop”
では彼のイージーゴーイングなパーソナリティが全開な曲。MVで度々登場する奥様もやはり登場。こちらまで和やかな気持ちに。彼は以前インタヴューにて

”Most of my time is just socializing working and just trying to connect peopleI hang out with my dog, my wife, and just chill.A perfect day is just like getting to bed, eating dope food socializing a little bit, having some dog timeI don’t really want much really.
Everything else is kind of just a distraction.”
”私の時間のほとんどは、人付き合いと仕事、そしてただ人々を繋げようとすること。愛犬や妻と一緒に過ごし、ただくつろぐ。完璧な一日は、ベッドに入り、旨い飯を食べ、少し人付き合いし、犬と一緒に過ごすようなものだ。あまり多くを望んではいない。 
他のものはすべて、気晴らしのようなものだ”

実にクールな言葉。
人生を複雑に考える必要は無い。とてもシンプル。妻よりも先に「愛犬」を出しちゃうところもチャーミング。


”I like to really just hang out with homies, catch up with friends 
I tend to hang out with other creative types 
A lot my friends I also just collaborate and work with ”
”仲の良い友人と一緒に過ごすのが好き。
クリエイティブなタイプの人と一緒にいることが多い。 
一緒に仕事をする友人もたくさんいます。”

こちらはアルバムには入っていない曲だが

Flumeと二人で創作したThe Difference”はグラミー賞にノミネートされた。
チャズはこのMVの撮影の為にトレーニングしてきたのに、到着したらペンキをかけられただけだったとツイッターで呟いていました。

ハーリー(Flume)のドッキリでしょうか…ほんの束の間で撮影が終わったことをお察しします…

優雅に歌うToro y MoiとFlumeのドラムンベースという関係性がとても良く表現されていますね。それにしても気怠そうに走るハーリー。途中に登場する彼の愛犬の健気さがなんとも愛おしい。

こちらはFKJのアルバム"VINCENT" (本名!)に収録されている曲

"A Moment Of Mystery"

以前インスタグラムのライブ配信で「スーパースーパーファン」と語るFKJはToro y Moiの大ファン。いや、スーパースーパーファン。

同感だ。彼と取り巻く全ての人もクール。チャズは絵を描いたりレーベルのオーナーでもあるのでブランディングの能力にも長けている。

余談ですがFKJのライブ配信の際にまだ2歳くらいであろうFKJ-Jr.(勝手に呼ばせてもらっている)はシールドを振り回して可愛らしくオムツを履いた姿で踊っていました。実に将来が楽しみだ。

アルバムMAHALを制作するにあたってプロモーションにとても力を入れている事がわかります。なんと一気にMVを現時点で5本(!)は作っているし、ショートムービーや顔の大きな人(観れば分かる)がひたすらレコードを聴いてチルをするシュールな映像まで制作している。
Déjà VuのMVもこれまたかっこいい。リムジンにステッカーを貼ったり、もはやニワトリを乗車させて良いものか…

か、か、語り足りない。

もう心底から語り足りないのだ。敬愛するToro y Moiについてまだまだ語りたい事が沢山ある。でももう2000文字を越えてしまった。過去のアルバムもそれぞれにテーマがしっかりと確立されていて、それぞれが最高傑作。チルウェーヴと一言に終わらせてしまえばそれまでなのだが、ロックであり、ダンスミュージックであるのだ。そして彼の挑戦は死ぬまで続くのであろう。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?