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女の真っ当は、群れにはない。
小学生の頃に、穢された。
脳震盪なのか、防衛本能なのか、ぼうっとする脳で「私は、どんな大人になるんだろう。どんな人生を歩くんだろう。」って、考えてたの。今、私の中にいる獣よりもずっと、ずっと真っ当な大人になろうって決めた。
中学生の頃に、男を誑かすことは簡単なのだと知った。
股を開かなくても簡単に男は私の奴隷になった、欲しがればなんでも与えてくれた。四葉のクローバーのネックレス、ハート型の香水、ラブアンドピースのシャンプー。それと共に、愛を渡そうとしてくれた。だけど私は、彼らのどれも好きではなかったの。真っ当という輪郭がぼやけてきた。
高校生の頃に、男なんて気持ち悪い生き物だと知った。
高校生ブランドなんていう陳腐な言葉を口にした男に、「頭の悪い、金さえ渡せば誰とでもヤる股の緩い女。」と、罵倒された。私とまともに喋った事なんてないくせに。私は絶対にそんな男の相手をしなかった。すると、今度は「頭の固い、誰からも必要とされない処女。」と罵倒されたの。クズが死ね。シンプルな悪意を持った16歳。真っ当という輪郭を黒く塗り、誰にも汚されないようおなかに入れた。
成人した頃、女は一匹狼なのだと知った。
男は群れで生き、女は一匹、セメントのジャングルを走り回る肉食獣なのだと知った。群れには馴染めない。馴染めないから無能だと言われ、無能ゆえに愛しいと抱きしめられ、閉じ込められる。一匹狼である女は、群れの生活に慣れた男とはどうしても合わないの。ただ、一匹狼の私達は、一度仲間になれば強いのだ。おなかに入れた真っ当を私は取り出し、仲間の前に置いた。みんなが取り出した真っ当も輪郭が黒かった。
「飼い慣らされるくらいなら、死んでやろうね。」
誰かが言った。
そう。
これが、私たちの真っ当なのだ。
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