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『僕の帰る場所』★LIPカルチャー部

こんにちは!
Living in Peace(以下、LIP)難民プロジェクトです。

映画好きな方、難民・移民問題に興味のある方だったらご存知でしょうか?5月はじめに日本で暮らす移民にフォーカスした映画、『海辺の彼女たち』が公開されました。

筆者が住む街の映画館では、『海辺の彼女たち』はまだ公開されておらず(5/6現在)・・
公開記念として、藤元明緒同監督の長編デビュー作『僕の帰る場所』の特別上映が行われていたので、まずはそちらを観に行ってきました!


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-作品紹介-

『僕の帰る場所/ Passage of Life』
・監督・編集・脚本:藤元明緒
・2018年公開/ 日本・ミャンマー合作/ 98分
・出演:カウンミャットゥ、ケインミャットゥ、アイセ、テッミャッナイン、來河侑希、黒宮ニイナ、津田寛治

なんと、出演俳優のカウンくん、テッくん、そしてお母さん役のケインさんは、本当のご家族。
お兄ちゃんカウンくんたっての希望で、ご家族で出演することを決めた様です。
このご家族の他にも、在日ミャンマー人として、社会に影響を与えられる様にとの思いで出演を決めた方が何人も立候補されているそう。
日本で暮らす難民の方にフォーカスした映画作品は、まだあまり世に出回っていない中、ミャンマー日本大使館や現地の日本人学校など、様々な機関総出での制作となっています。

-あらすじ-

東京の小さいアパートで暮らすある家族。理由があって、夫婦は故郷のミャンマーを離れ、日本での生活を始めます。
難民認定の申請を行うも、幾度も却下され、心許ない生活を送る日々。

一方、夫婦の間に生まれた子どもたちは、幼い頃から日本で暮らし、日本の小学校に通い、日本語を流暢に話す。両親と話すときも、日本語。彼らは”日本人”として生きています。
しかし、ある時、母は不安定で先行きの見えない生活に気を病み倒れてしまい、子どもたちとミャンマーに帰国することを決意。
日本を離れたくない子どもたちの思いも虚しく3人は故郷へと旅たちます。

-それぞれの立場の、それぞれの痛み-

この作品では、1人の主人公のみに集中してスポットライトを当てるのではなく、「日本で暮らすミャンマー人の家族」をそれぞれの視点から切り取っています。
日本料理屋で働き家計を支えながら、行政での難民申請を行い、日本での生活を確立させようと奮闘する父。
不安定な生活に押し潰れそうになりながらも、クリーニング屋で働き、家事育児をこなし、家族を守ろうとする母。
友達がいて、言葉も通じて、日本で生活をしたいけれど、両親の辛さを慮り、弟がいる手前、自分の気持ちを素直に吐き出せない兄。
お父さん、お母さん、お兄ちゃんと4人で、ずっと、一緒にいたいと泣き喚く弟。

まるでドキュメンタリーかの様に、4人それぞれの苦しさがリアルに描き出されていました。

-日本で暮らす難民・移民の子どもたち-

辛さ・苦しさに優劣はない。
他人の痛みをよそ者が判断してはいけない。
そう思ってはいるのですが、この作品を見ていると、どうしても子どもたちの気持ちに心が引っ張られてしまいます

「子どもは柔軟だから、環境が変わっても新しい場所に適応していける」
「パパもがんばっているから、もうちょっとだけ頑張ろう?」

劇中にこの様な台詞がでてきました。
大人は図らずも、「子ども」という存在を美化し、それゆえ蔑ろにしてしまうことがあります。
大好きな親を悲しませず、周りの人とうまくやっていく為に自分の気持ちを隠してしまうのは、過去を振り返ってみれば思い当たることです。

来日したため、日本語が拙く文化に慣れるのに苦労をしている親と、日本で生まれ育ち’日本人’として暮らす子どもの間にできてしまう大きな溝を
社会の側で手助けできる様にはどうすればいいのか?
まずは、たくさんの方にこの映画をご覧いただき、現実に起こっている出来事の片鱗を感じ取っていただきたいです。

そして、少しでも「日本で暮らす難民の子どもたち」というテーマに興味がある方は・・
以下のnoteに「難民2世の子どもたちの実情」に関する詳しい記事があるので、読んでいただき、関心を向けていただければ幸いです。

絶賛公開中の『海辺の彼女たち』も近々観に行き、感想をシェアできればと思います。皆さんもぜひ、劇場に足を運んでみてください。

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最後までお読みいただき、ありがとうございました! 

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執筆:星島

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