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お土産の焼き菓子

なんだか千鳥足のお父さんが手に提げていそうな雰囲気のこちらの包み。

サンティアゴ、と書いてある。


サンティアゴといえば、南米チリの首都。
といえば、チリから戻った息子のお土産のように思えるが、なんと違うのだ。

同じサンティアゴでもスペインの「サンティアゴ・デ・コンポステーラ」からやってきた。

左のほうの小さい丸で囲まれたところ
© OpenStreetMap contributors


スペインの北東部、ガリシア地方の名物で「Tarta de Santiago」というお菓子。
Santiago=聖ヤコブにちなんだ焼き菓子で、古く中世から愛されているという。

たっぷりの挽いたアーモンドと砂糖、卵が主な材料で、小麦粉は入らない。
そして必ずサンティアゴ(聖ヤコブ)十字の紋章がついている。

紋章の型紙の上からたっぷりの粉砂糖


これは街のいたるところで見かける。
12年前に家族で訪れたときに撮った写真がこちら。

 サンティアゴ・デ・コンポステーラのお菓子屋さん|2012年8月


シンプルな材料でアーモンドの風味が引き立つ。そして後味にわずかにレモンの風味が残る。
かなりきゅっと凝縮された甘さがあり量は食べられないが、口に入れるとほろっと崩れるしっとりした食感は素朴でどこか懐かしい。


サンティアゴ・デ・コンポステーラは有名なカトリックの聖地のひとつだ。

ヨーロッパ各地からたくさんの巡礼路がある
Wikipedia Camino de Santiagoのページより


巡礼の長い長い旅を経てたどり着く聖地。
そこで口にする、その地の名前の冠されたお菓子の甘みは、疲れたからだに染みわたるに違いない。


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